- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122045415
感想・レビュー・書評
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「どくろ杯」が面白すぎて三部作の二番目「ねむれ巴里」を読んだ
金子光晴って大家のイメージしかなかったけどこんな途方も無い海外生活してたなんて。惨めで淫蕩な巴里の生活だけど
さすが詩人で惹き込まれる文章がちりばめられている
日本や西欧の根っこを考えさせられる
すばらしい作品だった
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自伝三部作の第二弾。
妻の三千代を一足先にフランスへ旅立たせた著者は、彼女を追って船に乗り、そこで中国人の留学生たちとおなじ部屋ですごすことになります。中国の人びとの日本に対する印象は、すこしずつ悪化していた時代でしたが、著者は「同文同種」ならぬ「同糞同臭」を実感します。
パリへわたり、三千代とともに暮らすことになった著者は、上海にいたころと変わるところのない貧乏生活を送ります。二人のまわりには、やはりおなじような境遇にある日本人たちが寄り集まり、金の工面にパリの街をはいずりまわるように毎日をすごします。なかでも、画家の出島春光という男が、著者の身辺にたびたびすがたを見せるようになります。著者は、出島と、彼を第二の藤田嗣治にしようともくろむ伯爵夫人のモニチとの関係を、距離を置いてながめつつも、みずからも出島たちとおなじように金策に頭を悩ませます。また、妻の三千代とほかの男との関係に対して、どこか諦めにも似た心境になりながらも、彼女と別れるための行動を起こすこともなく、その日暮らしをつづけます。
文明都市であるパリを、どん底から見つめる著者のまなざしが、日本でも、上海でも、あるいはパリでも、変わることのない人間の普遍的な悲哀をとらえているように感じました。 -
★2.5、おまけなし。文章がくどくて正直、当方には合いませんでした。
しかしこういうの読んでると、現在よりも世界に飛び出している日本の人間は多かったのかな、と少し思ったりもしなくもなく。
世界に伍していくことが社会の活力の全てなのか?立場によって意見は異なるんでしょうが、少なくともその方面の積極性が希薄になってきていることは確かでしょうし、その意味で生きていくための図太さとは何か?を問いかけてはいる気がします。 -
若い学生と駆け落ちした妻森三千代の気持ちを相手から引き離すべく、幼い子供を長崎の実家にあずけ、パリを目指す作者と妻。
「どくろ杯」では、関東大震災後の二人の出会いから上海、東南アジアでの道行と、妻が先にパリに向かうまでが描かれる。
本書はその続編。
作者もようやくパリにたどり着き、ふたりの暮らしが再びはじまる。
時代は1930年。
第二次世界大戦前の花の都パリである。
無一文の金子光晴は、絵描き、使い走りからゆすりたかりまで、あらゆることをやって生活の糧を得ながら、ここで約1年を暮らし、ベルギーに移ったのち、翌1931年にヨーロッパを離れることになる。
妻と関係がそのような複雑なものであったから、この間の作者の思いは、絶望とか嫉妬とか、断腸の思いとか、筆舌に尽くしがたいとか、そういう言葉では形容しきれない、余人にはうかがい知れないものであっただろう。
詩人として輝かしいスタートをきったものの、生活の上でも精神の上でも人間の最底辺を徘徊するこの期間は、詩も言葉も失われていた期間であったという。
40年という長い年月を経たからこそ、この地獄のような時間が、作者の中で客観となり、こうやって形になりえたにちがいない。この中で描かれるフランスや東南アジアで客死した多くの芸術家志望、ボヘンミアン、食い詰めものたちを思えば、そしてその後の世界大戦がもたらす惨禍を思えば、一種独特のこの傑作が世に現われたことは奇跡にちかい。
それを思うと、やはり芸術家というのは選ばれた存在で、その苦難の道は、モーツァルトの歌劇「魔笛」で主人公が試練の炎を通り抜けなければならないように、傑作を世に生み出すための運命のようにもおもえてくる。 -
高橋源一郎の小説を書くために参考本である。いままで、これほどパリについて詳細に書かれた紀行文はないと思われる。YouTubeでも観光名所や有名なレストランばかりである。ほんとはこうしたガイドブックが必要だったのかもしれない。連れ合いといっしょにパリで生活するということがいかに大変か、についてよく書かれている。
学生が卒業旅行でパリに行く前に、この本を読んでパリのことを知るべきであろう。 -
三部作では大学時代に「どくろ盃」だけ読んでいた。こちらはパリ出張のお供にKindleで。海外に沈没している日本人、昭和初期も今も変わらない様子が面白く読めた。自分も若い時に欧州を見ていたら、その後の人生どうなっていたか。思い馳せた。
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難しい。詩人だからか文章が分かりづらく、前半で断念。また借りることがあれば続きを読む。
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巴里よりもむしろ旅程。
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私には難しかったです。