日本の歴史〈1〉神話から歴史へ (中公文庫)

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著者 : 井上光貞
  • 中央公論新社 (2005年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (593ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045477

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日本の歴史〈1〉神話から歴史へ (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 内容的には古いけど,日本古代史を学ぶ姿勢が勉強できる。神話の処理の仕方も,一周回って現在を先取りしていると思う。でもあとがきはダメ。他の巻と違って内容の古さを補うようなものになっていない。

    (使えそうなところ)※古い本だから現在では誤りとされる説もおそらく含まれている。
    ◆更新世(洪積世)はヨーロッパでは氷河によって特色づけられているが,日本では富士山など多くの火山が活発に活動していたため,「赤土の堆積した時代」であった。関東では「関東ローム層」とよばれる土層で,完新世(沖積世)に堆積した黒土とは明らかに異なる。かつて,火山活動が活発な当時において人間が生活することは難しいとして,新石器時代に属する縄文時代以前には日本に人類は存在しないというのが定説であった。しかし,1947年に相沢忠洋氏が微小な石辺を群馬県岩宿の関東ローム層から発見,石器であると判明し,日本にも縄文以前の生活があったことが判明した。現在では日本各地で旧石器時代の痕跡が見つかっているが,それらの石器はハンドアックス→ブレイド→ポイント→マイクロリス(細石器)の順に発達していると考えられる。(p126~139)

    ◆かつては日本最古の文化であると考えられていた縄文文化は,1877年に巻貝の研究をしにやってきたアメリカの動物学者モースによって発見された。彼は汽車の窓から偶然,東京都品川にある大森貝塚を見つけ出し,発掘作業に乗り出した。江戸時代にはしばしば天狗や雷などと結びつけて考えられていた貝塚はしだいに脚光を浴びるようになり,これが日本における考古学の始まりとあった(なお,奈良時代の人間は昔に生きていた巨人の生活の残滓と考えており,江戸時代の人間よりも意外に的を得ていた。巨人のしわざと考えられたのは,縄文早期には海進がさかんで,現在よりも海岸線がずっと内陸に食い込んでいたから)。縄文時代は氷河時代以後,他文明の基準では新石器時代にあたる。世界の諸文明とは異なり,日本では磨製石器の発明と農耕が結びついていないが,代わりに縄文文化は世界最古の土器とも言われる縄文土器によって特徴づけられる(このことが分かったのも第二次世界大戦後のことで,放射性炭素年代測定法による発見であった)。考古学者はこの土器を用いた型式編年を細かに行ってきた。はたからみるとつまらないようなことをしているように見えるが,それはじつは「考古学の物差」というもっとも基礎的な仕事にしたがっているのである。(p143~156)

    ◆竪穴式住居とそこから見つかった人骨のようす,そこから導き出せる縄文早期の生活の貧しさ,そこからの成長を描いたp156~p166はそのまま使える。メソポタミアにおいて農耕文化を準備したナツメヤシにあたるのが日本ではクリやクルミなどの木の実だった。渡来人の刺激で成立した弥生文化を受容するだけの力を縄文人は持っていたと考えられる。

    ◆モースが大森貝塚を発見してから7年後に新種の土器が発見され,その地名から弥生土器と命名された。この土器に代表される弥生文化は縄文文化と異なり完全な農耕(現在では田植えを行っていたことが証明済み)を特徴とする文化であった。この時代には金属器がもたらされるが,成熟した金属文化が朝鮮半島経由で急速に流入したため,日本には青銅器と鉄器がほぼ同時期に流入した。弥生前期に生み出された石包丁も,弥生後期にはすでに鉄製のカマにとってかわられている。また,弥生前~中期の奈良県唐古・鍵遺跡の唐古池からは大量の木製農具が出土しているが,このような木製道具で耕せるのは湿田に限られているため,弥生後期には鉄製農具に代えられている。「弥生式農業集落は,はじめは低湿地をえらんでいたのだが,中期以後の生活圏は,住みにくいじめじめした湿潤地をさけて,塀や周辺の丘陵地帯や,山をこえ,... 続きを読む

  • 一般向けの通史シリーズである中央公論社の「日本の歴史」の第1巻ですが、記紀神話と考古学における戦後歴史学の成果を紹介しながら、古代日本の真実に迫ろうとしています。

    記紀神話の解釈については、津田左右吉の文献学的・批判的研究や、大林太良の神話学的研究などを参照し、さまざまな角度から、歴史とそれを記録する人間の営みについて、比較的詳しい検討がおこなわれています。また考古学的観点についても、井尻正二や森浩一らの研究成果を紹介しながら、戦後の歴史研究の新しい息吹を読者に伝える内容になっています。

    邪馬台国論争や江上波夫の騎馬民族説をめぐる論争などにも立ち入り、それぞれの立場から寄せられた議論を比較検討しているところなど、一般向けの通史としてはやや踏み込んだ内容になっていますが、著者の議論の運び方は懇切で、分かりやすいと感じました。

  • 謎に満ちた日本民族の生成を神話学・歴史学・考古学の最新の成果によって解明、神話の中の真実を探り、女王卑弥呼を語り、日本の歴史の夜明けを描く。

  • 50年前の本だけど、大きな流れを捉えるには良い本じゃないかと思う。

  • 神話の部分を読みたかったので、神話以外の時代は流し読みした程度だが、文献学的、考古学的、その他膨大な学問的な知識と批判精神で物事を分析していて圧倒される。歴代天皇が神話なのか実在なのか等、興味深い話が多い。

  • わたしは、今日本に留学しています、日本の歴史や、文化や、習慣を了解のは、必要です、それは、日本でよく生活できるに役立つと思います。

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日本の歴史〈1〉神話から歴史へ (中公文庫)の作品紹介

第二次大戦後、画期的な進歩を示した歴史学と発掘成果いちじるしい考古学とは、古事記・日本書紀の世界に、まったく新しい光を投げかけた。これら諸学を総合的に協力させることにより、従来の歴史書には見られない鮮明さで、古代日本はその姿を現すこととなった。巻末に森浩一「四十年のちのあとがき」を付す。

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