日本の名匠 (中公文庫)

  • 中央公論新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045583

感想・レビュー・書評

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  • 最高におもしろい本ででした。
    「日本の名匠」を読み始めてから、毎夜読書の時間が来るのが待ち遠しくてなりませんでした。
    刀鍛冶や茶碗焼きの名匠の列伝を中心とした内容ですが、そのすべてがおもしろかったです。
    特におもしろかったことを点描すると。

    まず、虎徹。
    近藤勇の差料として有名ですが、海音寺潮五郎は、贋物説を取ります。贋物といっても、元は、清麿。これも恐ろしく斬れます。その刀は、池田屋の変でも、活躍し、刀に大きな痛みは生じなかったということです。
    虎徹は、古鉄、ともいわれ、古い時代の鉄を材料に用いたそうです。

    次に、宮入昭平。
    昭和期の名工です。刀匠として人間国宝に認定されています。
    人間国宝になる技の持ち主ですが、徴兵され、兵として辛い軍務にも就いています。宮入昭平は、軍隊時代に、軍刀を打つことを命ぜられますが、仕事の手を抜くことができない律儀者で、数打つことが出来ず、苦労したようです。

    もう一つおもしろかったのは、新潟の紀行文です。
    新潟は、長岡の外港的役割を持つ港町で、江戸時代から多くの富をもたらしたとのこと。わたしは、長岡も新潟も、行ったことはありますが、当時は格別感慨も持たず歩いたため、あまり印象に残っていません。今度の春に、新潟地方を訪れ、この本を片手に旅をしたいです。特に関屋分水を見てみたいです。

著者プロフィール

(かいおんじ・ちょうごろう)1901~1977。鹿児島県生まれ。國學院大學卒業後に中学校教諭となるが、1929年に「サンデー毎日」の懸賞小説に応募した「うたかた草紙」が入選、1932年にも「風雲」が入選したことで専業作家となる。1936年「天正女合戦」と「武道伝来記」で直木賞を受賞。戦後は『海と風と虹と』、『天と地と』といった歴史小説と並行して、丹念な史料調査で歴史の真実に迫る史伝の復権にも力を入れ、連作集『武将列伝』、『列藩騒動録』などを発表している。晩年は郷土の英雄の生涯をまとめる大長編史伝『西郷隆盛』に取り組むが、その死で未完となった。

「2021年 『小説集 北条義時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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