明治大正見聞史 (中公文庫)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045736

感想・レビュー・書評

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  • 本書は元々は大正十五年に発行された本であり、著者自身が実際に明治~大正の時代を通じて見聞してきた事を記したもの(生方は明治15年生まれ。幼少期は群馬県で過ごし、明治学院から早稲田大学へと進学。新聞社でジャーナリスト・作家として活躍した経歴を持つ)発行当時著者は40代。よくある老人が晩年に若い頃を回想して書いたモノではないので、妙な思い出補正や、年を取ってからの記憶の混濁や後の人のいれ知恵的なモノがなく、同時代的記録になっているのが良いです。
    そして、著者が政治家ではなく、ジャーナリストでユーモア作家であったところからの、世相風俗に対する視点の面白さ、鋭さが文章の中に溢れてて、読んでてホント面白い。

    以下、目次を引用。ね、面白そうでしょ。
     維新当時の滑稽外交   憲法発布と日清戦争
     明治時代の学生生活   政府の恐露病と日露戦争
     明治大帝の崩御     乃木大将の忠魂
     明治大正凝視の中心となった女性
     大正八年夏の世相    大正十年歳晩記
     関東大震災       大震災後期

  • 140503 中央図書館
    群馬出身の生方は、早稲田に学び、書生として明治終盤の東京に、そして朝日新聞の記者として引き続き東京に暮した。100年前の東京の風俗が、つい10年くらい前のことのように甦るような気持ちになる。
    関東大震災の体験談が、とてもリアルに感じられる。子供が6人、ちょうど赤ん坊が生まれた直後であったとのこと。のんびりとした筆致であるが、よくそんなに落ち着いていられたものだ。そして朝鮮人暴動のうわさが駆け巡り、追い立てられるように避難を迫られてしまうという、災害直後の社会パニックの恐ろしさが、ぞくり、とくる。

  • 1991.05.8/25.改版、並、カバスレ、帯なし
    2011.12/22.白子BF

  • 6位
    憲法の発布は手品の本と結び付き、清国の権威が崩壊する瞬間を目の当たりにする。
    学生生活には熱気が漂い、日露戦争ではトルストイに燃える。
    乃木大将の殉死には新聞の二枚舌を知り、大正デモクラシーには風刺で応じる。
    関東大震災のときは妻がお産で、さてさて散々な目に。

    当り前の話なんですけど……人が生きてたんですよね、昔も今も。

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