西の善き魔女 (7) (中公文庫 お 65-7)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122045965

作品紹介・あらすじ

もうすぐ八歳になる少女フィリエルの「家族」は、天文台に住む父親のディー博士と、お隣りのホーリー夫妻。住民四人のセラフィールドに、ある日おかしな子どもがやってきた。自分の殻に閉じこもり数列を唱え続ける少年ルーン。とまどいながらも徐々に心を通わせていく二人…運命の出逢いを描く、四つの季節の物語。

感想・レビュー・書評

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  • フィリエルとルーンの出会った時の話。

    ルーンがかなり傷ついた状態で。でもフィリエルはほぼ通常通り。(そこがまたいい)

    近くに住んでいる夫婦(奥さんはフィリエルについて行く)もとってもいい人で。

    博士に妬いてしまうフィリエルも可愛くて。

    ここがあって今があるのかぁと。

  • しばらくわすれていたが、西魔女の再読が途中までだったので再開した。
    7巻というか、中公ノベルスではこれが6巻だった。

    当時もかなり気に入っていた過去編。
    今回読んで、これがまたものすごく良かった。人生で好きな本ベスト30には入ると思う。
    フィリエルの気持ちにも、ルーンの気持ちにも同調して泣きまくりでした。
    緑の年男のところ、ラストに二人で荒野をさまようところ、おんおん泣いてしまった。

    自分が親になったいま、タビサの気持ちもよくわかる。
    というか、おかみさんは意外と若いのね。
    本編はこの七年後ではあるけど、かなりおばさんかと思ってた。
    ガーラントとの出会い、わかーい!

    作者が書いててとても楽しかったというこの巻。
    構成といい、文体といい、彼女の最高傑作のひとつにも思えます。

    読んでいて博士のくだり、弟子と娘それぞれの心境にも心が揺れたけど、なによりホーリーのだんなさん!
    この作品でも決して中心的な描かれ方はしていないけど、寡黙で優しいこの人が、この荒地で、何を思い、どう生きてきて、子供たちを愛し、博士に同情していったか。
    これを読めばわかる。在りし日のこのひとのこと…。
    この人が、一人で強く決心し、1巻であのように、悲劇のスタートを切ったこと…。

    だんなさんと、ルーンと3人で、分蜂を見守った夏の日をフィリエルがずっと覚えていたのは、こういうわけだったのだろう。

  • 西の善き魔女、外伝1。
    ルーンに対して過保護なフィリエルが出来上がるまでのお話。
    ここまで読んできて、突然、上橋菜穂子さんの精霊シリーズや梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を思い出した。
    それらと比べると、このシリーズはなんとなく深みが足りない感じだ。それがイマイチのめり込めなかった一因かも、と思い至る。

    8歳のフィリエルと、15歳になった本編のフィリエルとの独りよがり度がそれほど差がないように見受けられるのはいかがなものか。
    ルーンがフィリエルに対して密かに決意したことに、ちょっとギクっとした。
    あれれ、フィリエルのこと好きになれないなぁって思ってたのは、近親憎悪ってヤツ?

  • 西の善き魔女本編を読んでから読みました。

    物語は主人公の幼少期時代のお話で、フィリエルとルーンの2人が好きな私としてはなかなか楽しめるお話でした。物語も本編と比べゆっくり進んでいるぶん、入り込みやすかったと思います。

    しかし、小さい女の子が人殺しを決意し、肉切り包丁持って出かける様子を想像して戦慄したのは私だけでしょうか…。フィリエルちゃん怖い。

  • 終わってなかったー
    よかった‥

    フィリエルのちっちゃい頃のはなし
    ルーンが天文台にやってくる
    エピソード1的な

    ルーンかわいいなぁ
    かわいいかわいい
    たまらん

    あと1巻だよどうしよう
    読むのが勿体無い本って
    わたし的にめったにない

    昔読んでおもしろくて
    またいつか読みたいと思った本が、時間がたってもこんなにも面白いということに、
    感謝というか
    ラッキーというか
    うれしいなぁ

    一読して面白くても、
    再読することがほとんどないので、再読すること自体そうとう面白い(はず)と思っています

    5本の指!に入るかも(>_<)

  • 外伝だった…!
    遠い昔の思い出。フィリエルが不憫でならない。愛されたい、愛されていると実感したいのは当たり前だと思う。
    ルーンを殺したいほど憎むのは、彼女が残酷だからではなくて、幼いからだと思う。
    いまはやっと幸せなのかな。そうだといいなあ。

  • 2023年12月3日購入。

  • ここまでお話しが進んでいるのに なんで子供の時の話しに戻るんだろう?

    と思いましたが

    こんなに子供の時のこと 詳しくはわからないでいました。

    フィリエルは 子供の頃 ルーンの頭をなぐったり

    殺そうとしたこともあったんですね。

    父親が取られちゃう!という やきもち

    なんですが 子供って過激ですね。

    ホーリーのおかみさんの若い頃の 話しも面白かったです。

    ルーンとフィリエルが お互いの足りないことを

    補って 守っていこう!

    なんて この頃から思っていくのも あったかい感じがします。

    あと最後の巻になるのが ちょっとざんねんですね。

  •  あまりに素晴らしいお話が終わってしまうのが忍びなくて、ついつい伸ばし伸ばしにしていた本巻と次巻。気がつけば、すでに2年以上の歳月が経っていた。今回、ようやく読んでみようと手に取ったときには、元のお話をすっかり忘れてしまっておりましたとさ。もう、本当に自分の記憶力の弱さが嫌になるわ・・・。

     気を取り直して、外伝的位置付けの本書を読み始めたのだけれど、もう本当に素晴らしい作品なんだと言うことを、改めて思い知らせてくれた一冊になった。元のお話を忘れた状態であっても、本書は充分に面白い。
     セラフィールドの風景と、そこを舞台に語られる、穏やかで優しい日々のお話。

     やっぱり荻原規子氏は、日本人で最高クラスのファンタジィ作家さんだな、と。
     その丁寧で繊細な仕事ぶりに、心から惚れ惚れします。
     

     もう一度、一巻目から読み返さないと。

  • ルーンがセラフィールドに来た出会いの話。弟や妹ができたときの姉がきっと一度は思うかもしれないことを経験するフィリエル。でも実際行動に移そうとするところはすごいです。この時点では姉弟であり、二人とも年相応に悩む姿が微笑ましいです。しかし結局ディー博士の消息はわからないままですね。

  • フィリエルとルーンの子ども時代の話。
    ルーンがセラフィールドにやってきたところから始まります。
    数学的頭脳、記憶力は天才といってもいいくらいのルーンですが、育った環境のせいで最初は全くしゃべらない従順な子どもであったと。
    自由奔放なフィリエルの子どもらしさに感化され、徐々に本来の性格を表してくるようになるのです。色のない世界から、満ち溢れたフィリエルのいる世界に放り込まれたルーンは、そりゃひな鳥が慕うようにフィリエル一筋になってもおかしくはないのでしょう。
    フィリエル自身も、父である博士に認めてもらいたいばかりにあれこれとやった挙句、ルーンを殺すことにしたというくだりがそりゃもうルーンにとっては斜め上の発想で危なっかしいことこの上ないと思われても仕方がない。八歳の子どもが肉切り包丁抱えて決心するんですからね。将来のロウランド家の苦労なぞ何のそのという感じですね。

  • 落ち着け・・・『フィボナッチ数列』を数えて落ち着くんだ・・・。『フィボナッチ』は黄金の『数列』。私に勇気を与えてくれる。

  • フィリエルとルーンの出会いの話。ルーンが徐々に人間らしくなっていくとともにフィリエルが嫉妬を覚え殺そうとまでするあたり衝撃的だったけどその時のルーンの対応にまたこみ上げてくるものがあった(理由を知ってるだけに)。本当の父親がいながらホーリー夫妻とともに住んでいるフィリエルの父親に対する複雑な感情も見えましたし、外伝ではあるけれど本編以上に素晴らしく感じました。

  • フィリエルとルーンの子供時代のお話。特に大きな事件があるわけではない、ルーンが来てからのセラフィールドの生活を綴った1冊。
    にもかかわらずラストシーンはぐっと来てしまう。
    特にホーリー夫妻の優しさが身に染みる1冊だけに、旦那さんの最後を思い出して胸が痛くなる感じ。他人の子供にあれだけの愛情をかけられるのはすごいなぁ。

    そしてずっと疑問だったフィリエルとルーンの結びつきがよく分かった1冊でもあった。今までの巻でこの二人の結びつきがあまりよく分からず、突然のラブラブ展開においていかれたりもしたけど、この巻を読んで良く理解できた。もう一度読み返したら、本編の受け取り方も違ったものになりそう。

  • フィリエルとルーンの出会いの話。やっと人間らしい博士が出てきて安心した。今まで彼の存在があまりになかったから。しかし、殺されそうになってもなお受け入れようとしたルーンは昔からでかい男だったんだな。

  • フィリエルとルーンの子供時代だけど、舞台がセラフィールドだけってこともあってまとまりがあって、その分内面の深堀ができていてよかったな。
    萩原さんは子供の内面を描くのが上手い。

  • 西の善き魔女 7

    セラフィールドでの、幼き日のフィリエルとルーンの出会いの物語。
    ホーリー夫妻が懐かしい。

    数字しかしゃべらないルーン。
    けれどもルーンは博士から特別扱いされているように感じ、
    ルーンに複雑な気持ちを抱くフィリエル。
    しだいに、ルーンさえいなければ、と思うようになる。

    フィリエルがいるからここに居たいのだと素直に言う
    ルーンがかわいい。

  • フィリエルとルーンの幼少期を描いた外伝。
    二人ともかっわいい…!かつ、野生児ですね(笑)
    ルーンは昔からヤンデレ気質があったんですね。

    最後におまけでついてるお墓参りの話が好きです。にやにやします。

  • 図書館借用。
    フィリエルとルーン八歳の頃の話。
    節分とクリスマスと正月を混ぜこぜにしたミツバチ祭りの描写はとても良かった。おかみさんの武勇伝も。
    同じ年頃の子どもを持つ親としては大人の事情に巻き込まれる子どもたちに切なくなった。フィリエルのトンデモ思考も八歳なら許せる。ただこのまま十五歳になったのは…箱入り娘ならぬセラフィールド入り娘ってことか

  • 悲しくて悲しくて泣いてしまった。

  • フィリエルとルーンの幼いときのお話。
    おかみさんの武勇伝がかっこよかった。オチまで含めて。
    ルーンがだんだんセラフィールドに慣れて、感情豊かになっていく様子がおもしろかった。
    フィリエルがルーンを殺そうと思ったことがあるなんて、ちょっとびっくりした。
    でもそこに至る鬱屈した感情は理解できる。子どもの感覚。
    お互いがお互いのことを小さなころから守ろうと思うシーンに感動した。絆強過ぎる…!

  • ついに次は最終巻。お話を終わらせるのがもったいないです。

  • 本編ありきのお話ではあるんだけど,もしかすると本編よりも好きかも知れない.セラフィールドの閉ざされた世界で暮らすこどもたちと大人たちの,危うい土台に立ったつつましく輝かしい日々のおはなし.

    児童文学のファンタジーでは,世界が変わったり大きな出来事が起きるのが多いけれども,こういう静かで驚きに満ちた日常を描くのも,その世界で生きる人たちに命を与えるには必要じゃないかなあと思う.
    とっても面白かった!

  • フィーとルーンの出逢い、共に過ごした季節の移ろい。
    ルーンにとってフィーはセラフィールドそのもので、太陽だった。
    フィーが居たからこそ、ルーンはルーンになれた。

    本編は正直なところ、もう読み返すことは無いと思います。
    でもこの外伝はまたいつか読み返したい。

  • ルーンが初めてセラフィールドに来てからのお話で、フィリエルの父、ディー博士もちょこちょこ登場します。


    フィリエルがルーンに嫉妬して殺人を企てる下りがあまりに彼女らしくて笑えて、でもちょっと共感できて何となく涙ぐみました。でも子どもながらの残酷さと率直さ、単純さがたまらなく滑稽で自分にもそんな覚えがあるから尚更面白く感じました。

    あとハチミツ祭で緑の年男が訪れ恐怖におののくルーンをディー博士が優しく介抱する場面を見ると、やっぱりルーンはずっとずっと辛かったんだなと思っていたたまれなかったです。

    後でルーンがセラフィールドに来たばかりのことを語ってる場面があるけれど、その表現が文字通りに殻にこもっている描写なので、それ程までの仕打ちを受けたんだと痛感しました。


    そんな彼の目の前に現れたフィリエルによって、彼が彼らしく意志を持って行動し、フィリエルと一緒に居れることが7巻まで読んでみてしみじみと嬉しかったです(親か)

    外伝面白い!!

  • 物語の動き出す、本編の前日譚。
    田舎も田舎、ど田舎どころか、人の住まない荒地の天文台と、それに寄り添って家畜を育てて暮らす一家。そこに住む子供たちの、慎ましやかな暮らしのお話。

    「西の善き魔女」な要素は抑え目ですが、何てこと無いシーンで泣けるのは今までの伏線があってこそ。いやもう本当に、読んでて胸が苦しい。
    なんて綺麗なお話なんでしょ。なんて残酷な作者なんでしょ。
    こんな風にも書けるんですね、荻原さん。

  • Usually I don't go for side stories as I like to indulge in the main story... but reading about the arrival of ルーン and how he and フィリエル grew up in セラフィールドwas great! It also made me realize how extreme children can be (especially フィリエル).

    Reading the last book next!

  • フィリエルとルーンの、特にルーンの幼い頃がわかる一品。
    長編とセットでなく、単品で読むと絵本のような香りがする。
    物語の進行には関係ない停滞した話だったので、あまり好きではないが。

    この本で一番すきなのは、
    「こういうの、へたくそだよ」
    「黙って近づけば、ずいぶん簡単だったのに。人を殺すときには、刃物を見せたらだめなのに。それから、握り方がまちがっている。刃を水平にもたなければ。そうすれば、肋骨に当たらずに内臓までとどくから」
    「人が殺せると思うなんて、ばかだ。こんなだったら、かえり討ちされてしまうよ。人を殺すところ、一度も見たことがないくせに。どういうものかわかってもいないくせに」
    などの、フィリエルがルーンを殺そうとするシーンの一連の彼の台詞です、牧歌的な世界を舞台に、また牧歌的に見えるように覆いのつけられたセラフィールドを舞台に突然現れた子どもの、おそらくは実体験に基づいているのだろう台詞からは凄惨な過去が垣間見えます。フィリエル視点で進行するためにこのシーンでさえも、ゆるやかな物語調を逸脱することはありませんがすこしどきっとさせられます。
    幸福の中に潜む陰惨な過去、いいですねぇ。そういう語りは好みです。解りやすくって。

    これに対してフィリエルはルーンを殺そうと思っていても、自分の嫌なものを排除したいというだけの、子どもの癇癪の域を出ない。単なるわがままでしかないのである。その対比が少し、面白い。

    また、おそらく凄絶な過去を経てきているのだろうルーンもしかし情操の育ちが遅いのでしょう。
    「最初と最後が矛盾しているから変だ。証明にならない」の台詞に苦笑がこぼれます。人間の感情の変化と言うものを度外視している彼に。
    そして台詞の人称が「僕」から「ルーン」に移り変わるのがみものです。それだけでルーンの感情の変化がわかるのですから。

  • 博士好きだなぁ…
    本人が出てくるのはこの巻だけという常套手段にやられてしまった…

  • もやもやするこの2人のこども。こどもはこんなことしません絶対。フィリエルの住んでる環境にルーンにほにゃららをしようと思うきっかけってあるのかね?

    書いた人…大人だ。
    リアリティーがない。感情描写下手?

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著者プロフィール

荻原規子・東京生まれ。早稲田大学卒。『空色勾玉』でデビュー。以来、ファンタジー作家として活躍。2006年『風神秘抄』(徳間書店)で小学館児童出版文化賞、産経児童出版文化賞(JR賞)、日本児童文学者協会賞を受賞。著作に「西の良き魔女」シリーズ、「RDGレッドデータガール」シリーズ(KADOKAWA)『あまねく神竜住まう国』(徳間書店)「荻原規子の源氏物語」完訳シリーズ(理論社)、他多数。

「2021年 『エチュード春一番 第三曲 幻想組曲 [狼]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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