神はサイコロを振らない (中公文庫 お 67-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 187
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046238

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたかった本です。再生と残酷さと…それでもこの事故(?)の遺したものは大きいです。
    10年前に消息を断った飛行機が、10年後に乗客乗員そのままの姿で戻ってくる。乗客乗員は10年前のまま、だけれど丁度出発した日の10年後である3日後にはまた元の時間軸に戻ってしまうかもしれない…。加藤教授の言ってる事はよく分からなかったけどトンデモ量子力学者の汚名は晴れてよかった。
    10年間、乗っていた家族や同僚は死んだものとして新たな人生を歩んでいた人たちには奇跡の再会。でも、皆さん「お盆の時期だからたまたまあの世からちょっと戻ってきてくれただけ」って受け入れてるの強いな…10年はそれだけ長い時間なのだとつくづく思いました。
    周りの人たちは受け入れてるし、再会と別離のエピソードも素敵なものが多かったです。興梠父の公安への一件はスカッとしました。
    でも寄近警部補の事を考えるとかなりつらいです。目の前で2度も相手が消える、そのうちひとつは明確に亡くなるし…というのは警察辞めたくなるでしょうけど彼女は乗り越える気はします。同人誌のネタにするかも。
    神降くんもそんなすぐ気持ち切り替えられるんだ、とびっくりでした。歴史が変わらなかった事は仕方ないのかな。。
    人って強いなと思いました。これ程の事が起こっても前を向けるんだな。いきなり10年後に放り出されて、あなたは3日後に死にます、って言われてもほとんどの人は自暴自棄にならない。フィクションだけれど…良かったです。

  • 登場人物を絞った方が読み易いし感情移入できて面白くなったと思う。

  • 2018年1月12日読了。

    422ページ

    「神はサイコロを振らない」、アインシュタインが「偶然」を、要素とする量子力学を批判する言葉だったらしい。
    1994年、宮崎空港から羽田に向かってた飛行機が行方不明になり、機体も何も発見されなかった。
    しかし、10年後に突然羽田空港に現れ、奇跡の生還を遂げる。
    しかし、この生還を量子力学的に予言していた教授がいたことと、彼らはまた運命を背負って10年後に現れたのであった。

    小説的には可もなく不可もなく。
    個人的にはあまり面白い小説ではない。

  • 映画のキャスト・アウェイに似た印象。今作の主人公は68名。それぞれの物語が生まれるのだから追いかけるだけでも疲れてしまった。結末は大石さんらしいと思う。
    あらすじ(背表紙より)
    かつて、忽然と消息を絶った報和航空四〇二便YS‐11機が突如、羽田空港に帰還した。しかし六十八名の乗員乗客にとって、時計の針は十年前を指したまま…。戸惑いながらも再会を喜ぶ彼らと、その家族を待ち受けていた運命とは―。歳月を超えて実現した愛と奇跡の物語。

  • 1995年8月15日。宮崎から東京に向かっていたYS-11 402号機が海上で行方不明になった。東大を追われた加藤教授は、量子力学の見地から、2005年に402号機が戻ってくると予言したとおり8月12日に突如現れた。遭難して死亡したと思われていた乗客は消えたときのまま羽田空港に降り立った。10年歳をとった家族らと再開する…。

    あー、SFなんだー。てっきり殺人事件者のミステリだと思って読み始めたが、飛行機が?とあっけにとられた(読前にあらすじは読みません)。

    2004年の作品ということであるが、割りとゴッテリとした話で、各乗客のバックグラウンドが詐欺でやられていたり、阪神大震災等で家族がほぼ壊滅状態であったり、親族に詐欺を働かれたなどの波乱万丈で、さらに本人や家族もまた感情的で激しく濃いキャラクター設定となっているため、読んでいて激しくシェイクされているような感覚を覚える。

    キャラクター設定を強めにして、各キャラクターを細かく切り替えて描写していることで、読者に印象づける狙いなのだろうが、想定以上にキャラクターが濃すぎるもんだから、逆に誰がどうだったのかわからなくなってしまった。

    キャラクター重視の漫画的な描写のため、漫画化もされていそうだが、もう少しなんてことのない平凡なキャラクターがあっても良かった。最終的に気が散って結局どのキャラクターにも感情移入できなかったし、それぞれの描写は「~した」「~した」と細かく物切れで、ちょっと単調だったのも残念。

    まあエンターテインメント作品としては良く出来てる方ではある。

  • 乗客とその関係者が辿る、不思議な時間を描く。ラストに近づくにつれ、急ぎ足になってしまっているように感じた。

    一つ一つの話は悪くないのに、残念だ。

  • 10年振りに再読。
    民間旅客機が突如行方不明となり、ちょうど10年後に
    そのままの姿で帰ってくるというSF。

    ほとんど覚えておらず、新鮮な気持ちでの再読。

    乗員乗客それぞれにドラマがあり、少し切ない気持ちで読了。

  • 設定が面白いだけにちょっと残念な気持ち。乗客の三日間を追う話だから群像劇になるのはわかるが、それにしても盛り込みすぎた印象。ミスターXの謎を追うミステリーにするのか、興梠親子の絆の話にするのか、黒木父の社会復帰への道の話にするのか、なにか一つや二つに焦点を当てた方が面白かったかなあ、と。

  • 飛行機事故で亡くなった人たちがお盆に10年ぶりに10年前そのままの姿で帰ってくるという、黄泉帰りもの。
    理論や理屈はこの際どうでもいい。搭乗者それぞれの群像劇になるので登場人物は多い。しかしそれがうまくいったと言えるかは疑問。待っていた側はまだその年月で言い訳ができそうだけど、蘇った側はその事実を知って半信半疑だとしてもあんなに全員達観できるかね。群像劇にしたい意味はわかるけど、そのせいで散漫になったし、どうにも終わりに向けてしっくりこなかった。
    お盆という風習をベースに突然失われた死者との10年後の邂逅という話はいいと思うし、その後も生きていくものの再出発というテーマもわかるんだけどね。ただそのテーマを強くするには人を絞ったほうがよい気がする。

  • これは面白かった、論理とか考えたらだめだからSFじゃない、群像劇として読む本。

著者プロフィール

大石英司
1961年生まれ。鹿児島県鹿屋市出身。1986年『B-1爆撃機を追え』で小説家デビュー。C★NOVELSを中心に著書多数。陸自の特殊部隊の活躍を描く〈サイレント・コア〉シリーズは、通算400万部を超える。他の著作に、『神はサイコロを振らない』(中公文庫)など。

「2023年 『パラドックス戦争 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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