日本の歴史 17 改版 (中公文庫 S 2-17)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (549ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046283

作品紹介・あらすじ

江戸開府百年、行きづまってきた幕政を打開すべく、白石や吉宗の政治改革、田沼の重商主義的政策がおこなわれ、それに呼応して町人は、時代の実力者として新しい地位を確立した。一方では、新しい思想や科学が誕生し、近代の黎明がおとずれようとしている…。

感想・レビュー・書評

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  • 中央公論の歴史本第17巻。時代は江戸中期。開府後100年たった頃の話。徳川将軍家5代綱吉から6代家宣、7代家継、8代吉宗、9代家重、10代家治までの政治・商業・農業・文化を辿っていく。各将軍を見ると綱吉は生類憐みの令で有名。詳しくは前巻参照。次の家宣は綱吉の生類憐みの令を綱吉の死と同時に廃止した…家宣は家光や吉宗の様に有名ではないが、隠れた名君であったと筆者はいう。次の家継は病弱ですぐに死去。歴代最年少となる4歳で将軍に就任するも、なんと享年8歳。この頃新井白石、間部詮房が主導する正徳の治があった。次の8代吉宗はTVドラマ『暴れん坊将軍』でも有名だが、享保の改革を行う。上米の制や参勤交代の一時的緩和、目安箱の設置、足高の制を定めたことで有名。次の将軍家重についてははっきり言って暗愚な将軍でしゃべる言語も不明瞭だったという。最後に家治。幼き頃より聡明で祖父・徳川吉宗の寵愛を一身に受けた。帝王学をはじめ、政治等の勉強ごとも熱心で理解も早く、武術や芸術面も素晴らしい才能の持ち主で、正に天才だったという。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou33101.html

  • 以下、本書より。
    【平凡な美徳の将軍】
    六代将軍徳川家宣というと、なにか影がうすいような感じがする。
    それは、前の将軍綱吉が、まことに個性の強い将軍であって、自分の思うとおりのことをやりとおした人物であり、また家宣の後にくる将軍が八代将軍の吉宗とあっては、少しくらい学間があり、見識があったところで、かすんで見えるのもあたりまえというものである。

    しかし、よく考えてみると、この六代目の将軍ほどよくできた人物はいなかったのではないか。
    なるほど、それは家光ほど将軍らしく威を輝かすようなことはなかった。
    学問があり、それを尊重するといっても、綱吉のようにみずからそれを講じて、群臣をこれに従わせるといったこともなかった。
    また、吉宗ほど堂々と所信を貫いたのでもなければ、家斉ほどの豪快さもない。
    まことに平凡な将軍のようにみえる。
    だが、この家宣ほど失政の少なかった将軍もまた少ないのである。
    かれほど、よく民政に注意を払って、百姓の言い分を聞いた将軍はまれであろう。

    君主というものは、個性的で豪快であるよりも、平凡なほうがむしろ民衆にとっては幸福であるようだ。
    古来、英雄といわれる君主のもとに、どれだけの人民が疾苦し、豪傑とうたわれた将軍のもとに、幾千万の兵たちが屍をさらしたことか。
    六代将軍家宣をみていると、わたくしは平凡の美徳というものもあるものだという気がしてならない。

  • 江戸開府百年、行きづまってきた幕政を打開すべく、白石や吉宗の政治改革、田沼の重商主義的政策がおこなわれ、それに呼応して町人は、時代の実力者として新しい地位を確立した。一方では、新しい思想や科学が誕生し、近代の黎明がおとずれようとしている。

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著者プロフィール

1913~2001。山口県生まれ。京都帝国大学文学部国史学科卒業。元立命館大学教授。専門は日本近世思想史、幕末維新史。著書に『近代陶磁器業の成立』『日本近世史研究』『近世封建社会史論』『維新史の課題』『吉田松陰』『日本経済史』『二宮尊徳』『部落問題入門』『高杉晋作』『明治維新論』『変革者の思想』『武士道の系譜』『町人の実力』『幕末入門』『叛骨の士道』『維新的人間像』『「狂」を生きる』『日本地酒紀行』、共編著に『未解放部落の社会構造』『未解放部落の歴史と社会』『近世日本思想史研究』『明治維新人物事典 幕末篇』『日本の私塾』『幕末志士の手紙』『素顔の京都』『適塾と松下村塾』『京都百話』、訳・校注書に『統道真伝』『武士道』『葉隠』などがある。

「2013年 『吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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