社交する人間: ホモ・ソシアビリス (中公文庫 や 9-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (389ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046894

作品紹介・あらすじ

グローバル化によって衰退する組織原理。国家や企業を離れ、茫漠とした「地域社会」のなかに曝される現代人に、心の居場所はあるか-。「社交」の復権による新しい人間学の誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 人の生き方、結びつき方によって、社交の在り方も変わるのかなと思い読み始めた(ら、予想以上に深くて驚いた)。

    生産から贈与へ。
    共同体のウチから、ソトへ出ていきながら繋ぐ者が現れ、異なるモノ同士が交わる必要性が出てきた。
    武力ではなく、また隷属でもない交わりの方法として、ある種の儀式的行為が生み出される。

    一つの型に則りながら、自他に礼を尽くす。
    この堅苦しさは、現代においては忌避される要素にさえなっていると思う。

    終盤に書いてある、あらゆるコミュニティに存在し、その場によって自分を演じ変えていくような繋がり方が現代的だということでもある。

    自身にとっては、私的な居場所がたくさん増えることは、生きる上での安心に繋がる。
    働き方改革、ワークライフバランスなど、仕事以外の個人の時間を尊重する向きは強まってきた。

    一方で、強い蓮体感や帰属意識を求めるような職種の場合、組織をどのように成り立たせていけば良いのだろうか。
    筆者の言うように、一周回って、また一定の職種に対する敬いが戻ってくるような、そんな未来はやって来るのだろうか。

    インターネットによる姿の見えなさは、気遣いを破壊し、お互いに守るべき矩をもはや越えてしまったように思う。

    在宅ワークが普及することの良さはもちろんあるのだけど、だからこそ組織が、生身の姿の見える場所としての社交を、今一度考え直す時に来ているとも思った。

  • コロナですっかり制限されてしまった「社交」、きちんと学んでみようと購入。原始の頃から社交はあり、そのおかげで進化が早まったということは間違い無いだろう。一方で、社交に失敗して死を選ぶことも少なくなく、諸刃の刃と言える。友情や愛情という感情と異なり、社交は指示や命令によって所属することになった場でも発生するが、信頼が成り立たなければ発展しない。近代とは、契約に基づく無記名の取引が主体であり、社交が省略された世界とも言える。ここに違和感を持ち始めたタイミングでコロナの影響で社交が断絶させられ、人々がその価値を再確認することとなっている。契約社会の先は信頼社会ということで、ますます社交が重要になるだろう。

  • ふつうの相談 より

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著者プロフィール

1934年生。京都大学大学院博士課程修了。中央教育審議会前会長。大阪大学名誉教授。『世阿弥』河出書房新社 1964年、『鴎外 闘う家長』河出書房新社 1972年、『文明としての教育』新潮新書 2007年など

「2010年 『「教養」のリメーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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