海のふた (中公文庫 よ 25-4)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122046979

感想・レビュー・書評

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  • 素敵な刻みたい言葉がたくさんある

  • はじめちゃんと友達になりたい人生でした

  • .

  • 綺麗で素敵だった。よしもとばななさんの小説は、何年も前に読んだキッチン以降読んだことがなかったことを思い出して タイトルに惹かれたことも相まって直感で手に取った。
    抱いた印象としては、文章が端的でわかりやすいのでスッと心に入ってくる。言葉選びが上手で何度も引き込まれた。自然や海の生き物の描写を通して人間が忘れてしまっているものに気づかせようとしているのかなあ、と感じた。
    地元をこよなく愛する主人公も良い

  • よしもとばなな作品を初めて読んだのは二年前の六月。「キッチン」を読んだ。それまでばなな作品に触れたことがなくて今さら読んでもなあと思うところもあったけれど、それでも手に取った。王道すぎるものには一度乗り遅れるとなかなか手が出しづらい。でもそれでも手を取らせてくれたのは友人のひとりのSが面白いと言っていたからだったような気がする。
    そんなSがふと、この本を「読みませんか」と言ってくれた。今ではよしもとばななが大好きな僕はありがたく貸してもらうことにした。

    主人公のまりちゃんがとても好きになった。まりちゃんの一人称で書かれた物語だから彼女の素敵さを表立って素敵だと言っていないところがとくに好きだ。はじめちゃんがまりちゃんにかける言葉でどきっとするほど印象的なものがある。
    「なんだか、まりちゃんにそう言ってもらったら、突然、全てがなんでもないことに思えてきたよ」
    社会の理不尽さに面して傷つくことになったはじめちゃんと接していき、まりちゃんは怒りそして疑問を感じる。彼女は生まれ育った寂れている町でかき氷屋を開きながら考える。
    ほんとうは折り合いなんてつけなくてもいいはずのものに、折り合いをつけることが当然とされている。正直者が馬鹿を見るなんて言うけれどこんなひどい話はないはずなのに。
    まりちゃんが一つ一つに向き合ってくれることによって、ああやっぱおかしかったんだと、知らずのうちに諦めようとしていたことをもう一度素直に受け止められた。ありがとうまりちゃん。

  • まりちゃんは活気あったころの子供の頃の土肥の町を追い求めていた。夏の町は観光客でごった返し、海の中には鮮やかな世界が広がっていた。しかし、その色鮮やかな世界は時代の流れとともに失われてしまった。土肥の町はしなびてしまい、海の生き物は死に絶え、色彩を失ってしまった。

    そんな色を失いつつある土肥で、まりちゃんは色彩を取り戻そうと町のみんなの心のよりどころになるかき氷屋さんを始めた。子供や老人が集まって、かき氷を食べながらひと夏の思い出を紡ぐような景色を提供するために。

    きっと伊豆半島をめぐってみれば、その町の景色を守ったり、新たな景色を彩ったりしている町の事業者がたくさんいるんだと思う。

    そんな伊豆半島の魅力的な事業者さんを取材し、紹介できる日々が戻ってくるのを心待ちにしている。

  • やっぱり、私は、言葉にできない同性同士の友情物語が好きなのかもなー

  • 故郷のさびれた海辺の街でかき氷屋を営む主人公まりはこの夏だけその母の親友の娘であるはじめちゃんの面倒を見るようになる。まりははじめちゃんの面倒を見るうちに彼女の心の美しさに惹かれて次第に心を通わせていく。

    まずよしもとばななの圧倒的表現力に脱帽した。作家として面白いプロットを書けるのは1つの才能だが本作のように淡々としたシンプルなストーリーを優しく心地よいテンポで描けるのも作家としてたぐいまれな才能だと実感した。彼女の他の著書も読んでみたいと思った。

  • 大好きです。
    身近な色々なものを大切にしたくなるそんなお話でした。

    海も山もある寂れた観光地の人間としては、淋しさも嬉しさも共感できることばかりでした。

    「この町に来た観光客が、言い知れない懐かしさや温かさを感じて、そして「また来よう」とここを大切に思う気持ちを、住んでいる人たちの糧になるような輝きを、置いていってくれるようになりますように。」

    この言葉を胸に日々暮らしていきたいです。

  • 大切なことを見失いそうになったとき、
    少し心が弱ってしまったとき、
    沁み込んでくるような作品です。

    大好きです。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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