トリアングル (中公文庫 た 54-3)

著者 :
  • 中央公論新社
3.36
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本棚登録 : 419
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047082

作品紹介・あらすじ

薫里は33歳のフリーライター。仕事は順調で、妻子ある年上の恋人ともうまくいっている。年下の圭ちゃんは新鮮な喜びをくれる存在。同時に動きはじめた二つの恋はどこへ向かうのだろう…。しなやかな意志をもち、自然体でいきる女性を描いた著者初の長編小説。深遠な感情、ささやかな発見、一瞬の風景を、随所に織りこんだ短歌が鮮烈に伝える、現代の"うた物語"。

感想・レビュー・書評

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  • 短歌の切れ切れは美しいと思ったし、突き刺さる言葉もあったけど、内容がわたしは駄目でした。たぶん、いたって普通で、でも自分とは少し遠いような近くにいるような話なんだけど、主人公の傲慢さがすごく苦手。一般的に見れば傲慢ではないのかな?わたしは恋愛で成功というか幸せだった経験があまりないので、余計に。感情移入も、とても難しかった。

  • 俵万智の歌物語。歌集ではひとつひとつからつながりを感じたり、物語を想像していたけど、今回はバックグラウンドがもともとあるという感じ。
    文体もとてもフラットで、喫茶店で人の恋愛話を聞くような気軽さだ。
    主人公の薫里にはMという不倫の恋人がいるが、それとは別に年下の圭ちゃんと付き合い始めるところから物語が始まる。
    恋愛って、男と女って、結婚って…最近、ひととおりの価値観で固まっていたものが、融解して、少し動きだすような思いで読んだ。
    年上の男性に無限の安心を求めて、年下の男性に刺激と新鮮さを覚えて、母親に理解を求めないながらも助言を欲し、女友達には思わず意地悪になってしまう。
    わかる、わかる。
    最後、主人公が、自分の子どもがほしいと思うところで物語が終わる。
    あの、自分から生まれ出る強烈な玉のようなパワーに出会いたい、という気持ち、素直に共感した。

  • 全然、スッキリしない。

    途中から、このどうしようもない、モヤモヤをどうにかしてくれと、
    祈りにも似た想いで、読み続けたというのに、何も浄化されない。

    勝手だ。

    その中に俺も含まれているけれど、
    人はみんな勝手だ。

    どうしようもなく。

    この感じは瀬尾まいこさんの「図書館の神様」の、不倫相手との描写を読んでるときの感じだ。
    でも、「図書館の神様」には、高校生の垣内君という存在がいて、彼がそのもやもやを吹き飛ばしてくれる。

    でも、この話の中には、勝手な大人しか出てこずに、
    それぞれが勝手な想いを、吐露する。

    それは、誰もが誠実で、誰もが不誠実であるということなんだけど。
    そんなことは、わかってる。
    それが、普通の世界だからだ。

    この話に出てくる、どの関係性を切り取っても、好感が全く持てない。

    そのわけは3つある。

    1つ、まるで自分のダメな部分と重なること。
    2つ、主人公の惹かれる男のタイプが嫌いなこと。
    3つめ、そして何より、垣内君のような、現実世界からしたら「異端」な優しさを持つ人が登場しないこと。

    登場しないからこそ、リアルで、
    リアルだからこそ、俺の気持ちを救ってくれない。

    ずるくて、勝手で、自分の意思とは違うところで、傷ついたり、傷つけたりしてる。
    そんな風にしか生きられなくても、別にいいよ。

    恋愛なんて、そんなもんだもん。

    だからこそ、このもやもやを救ってくれる言葉を読みたかった。

    久しぶりに、読んで「堕ちる」話を、読んでしまった……

    これもまた、人生のスパイスだ。

    そういうことにしておく。

  • 2021.06.01

  • その表現を、言葉を、何度もかみ締めたい1冊。
    題材によるものか主人公によるものか、私個人としては「そうそれ、そうなんだよ」感目白押しだった。
    各人が各人の世界を生きていて知らないことはないと同じという観念、それな過ぎてページの端を小さく折った。

  • 大人のMと、若くて勢いのある圭ちゃん。
    どちらを取るか、自分は何をしたいのか。
    一気読みではなく、味わって読みたい作品。

  • 33歳、フリーライターの主人公は
    仕事は順調
    妻子ある年上の恋人との関係は良好
    フリーターで年下の恋人からは新しい刺激を受けている。
    次第に関係性は変化し、考えもを
    小さな決断を繰り返して、時間が進んでいく。

    挿入されている短歌が素晴らしい。
    心情や心情が投影された情景が詠まれている。
    短く選び抜かれた言葉には力がありインパクトを受けた。

    自信家のアラサーが好き放題!ともとれるが
    主人公が自分軸を定め
    後ででも先でもない今を大事にしている姿は
    潔く感じた。

  • 前にも読んでて、また買ってしまったという・・・
    こういうの多いんだよねぇ(笑)

  • Mと不倫関係を続けている薫里が年下の圭ちゃんと付き合う?ことに。
    少しずつ進んでいく時間と差し込まれる過去(Mとの関係がだんだんと明かされていく)の織り交ざった感じがすごく読みやすく。
    圭ちゃんの時間軸は現在で彼の気持ちが進んでいくのが分かった。一方の薫里はいったりきたりで進まない。「階段の踊り場」にいるかんじが分かりやすい。
    共感する話ではないが、そういうところもひっくるめて面白かったです。

  • 俵万智さんの作品は初めて。
    短歌がスパイスみたいで良かった。

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著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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