狼なんかこわくない (中公文庫)

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著者 : 庄司薫
  • 中央公論新社 (2006年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047587

狼なんかこわくない (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • "若々しさのまっただ中で犬死しないための方法序説"
    庄司薫氏の青春論。

    傷つきやすい青春、とか、そういった類いのはなしはたくさんあるけれど、もしかしたらその中で庄司薫ほど、そんな"青春"をまっすぐ見つめた小説家はいないんじゃないか。
    傷つきたくない、傷つけたくないという若々しさ、他者を愛することのむずかしさに向き合い、10年間、悩み考え尽くした結果が"赤頭巾ちゃん"なのだと思うともうどんどん愛しくなる。

    その人生をかけて、若々しさという壁を正々堂々のりこえて、他者への愛を語る庄司薫、その切実なドラマティックさにわたしはもうすっかり惚れ込んでしまっているのです。

  • 現代の青春のまっただなかで、純粋さと誠実さを求め、あくまでも「他者肯定」を夢見て闘おうとする若者のための指南書。

  •  中年に差し掛かった著者が、自身の青少年期を回顧しつつ、その時代への社会の目線を斜に構えながら切り取っていく。
     いい大人がこんな風な自己憐憫満載の懐古的青春録を書いて気恥ずかしくはないのかということと、その斜に構えっぷりな叙述に鼻白む感じ。

  • 薫君4部作に引き続き、庄司薫を読む。
    この本は小説ではなく、エッセイだ。1971年の刊行なので、かなり古い本だけれども、僕は庄司薫は小説だけしか読んでいないので、この本は初読。
    饒舌な文体で書かれているところは小説と同じなのだけれども、内容は読み取るのにかなり骨が折れる。巻末に素晴らしい解説(萩原延壽と御厨貴の2人)がついていて、この本の読み取り方の素晴らしいサンプルを示してくれてはいるが。
    内容の読み取りが浅いことは承知の上で(内容ばかりでなく、論の進め方もまわりくどいという印象がある)、この本の好き嫌いを言えば、あまり好きではない。

    解説からの孫引きになってしまうけれども、このエッセイに書いてあることの一部を要約すると以下の通り。

    「夢多き青春」を頑張って生きる式の努力は、努力すればするほど結局は他者を傷つけ、自分はその人間らしさを喪失してしまうのではないか。青春の真っ只中で「純粋」と「誠実」を人間の最高目標として求めようとすれば、そのこと自体で「純粋」と「誠実」を喪失するというパラドックスに陥る。このテーゼは、いずれ「自己否定」につながり、「自己否定」の論理を突き詰めていくと、「現実否定」に必然的に激しく転化していく。
    「純粋」と「誠実」を喪失しないためには、複雑で困難な状況にも耐えられる強さ・力が必要であるが、その力を備えようとする努力は、結局は他者を傷つけかねない、という堂々巡りになってしまう。
    とりあえずは(若々しさの中で、あるいは馬鹿馬鹿しさの中で犬死にしないためには)、そういった問題から逃げておくに限るのだ。

    実際に本を全部読んでみないと、これだけでは何のことやらさっぱり分からないだろうけれども、そういったことが書いてある(と思う)。
    「自己否定」や「現実否定」にともすれば陥りかねない青春期の心の動きをもって、題名の「狼」と呼んでいる。努力が他者を傷つける、とは、ドストエフスキーの傑作が文学青年を絶望させ、マリリン・モンローの微笑が他の女性を傷つける、といったようなことだ。
    そんな馬鹿な、と多くの人が思うだろう。他者との比較、優勝劣敗を競うことが人生の本質ではないだろうと思う。人生とはもっと別なもの、例えば、と考え、例えば「赤頭巾ちゃん気をつけて」の最後の場面のような、と思いついてしまい、これはなかなか一筋縄ではいかないな、と思ってしまった。

  • 「優しさ」と「強さ」。「弱者と」と「強者」。強くなるために、誰かを傷つける、若しくは誰かを踏み台にする。そして身につけた「強さ」。その力を多くの人々に還元する。時代は変わっても、思春期の欲望と愛の矛盾をグルグルと回りまわって書かれている。自分にとっては、とっても同感できる作品だった。

  • 豊かな社会の情報洪水のなかで、若者はいつまでも大人になれない。成熟を困難にする現代の青春のまっただなかで、純粋さと誠実さを求め、あくまでも「他者肯定」を夢見て闘おうとする若者のための、永遠の指南の書。

  • 70点

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