フランス革命史 上 (中公文庫 ミ 1-3)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122047884

作品紹介・あらすじ

あらゆる「近代なるもの」の源泉となった歴史的一大変革と流血を生き抜いた「人民」を主人公とするフランス革命史の名著。上巻は一七八九年の三部会招集から一七九二年のヴァルミの勝利まで。図版多数。革命史年表・ミシュレ年譜・人名解説索引付き。

感想・レビュー・書評

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  • フランスへの筆者の思い入れの強さなど鼻につくところもあり、また登場人物への評価について、フランス革命から数十年で書かれたこともあってかバランスを欠いている印象も持つが、革命とは何か、またフランス革命がどのように変容していったのか、について、明確な視点を持つ筆者による物語に強い感銘を受けることができる書。歴史の奔流の中で現れては消えていく登場人物についても、細かい記載が多いわけではないが、抄訳とは思えないほど生き生きと描かれている。

  •  著者ジュール・ミシュレ、人民史家と称され、フランスを愛し人民による革命を賛美し、革命に関与した人々へのインタビューや各種資料を通じて革命の詳細の研究に没頭したという。
     革命がはじまった1789年7月、ルイ16世「なんだって、それじゃ反乱なのか」「陛下、革命でございます。」(163頁)、なるほど国王のずれた認識をよく表現している。
     著者は、共和国をつくりあげる精神を次のように語る、「若いこと、魂が若々しいこと、血が燃えたっていること、あの生産的な無分別、これである。まだ心の中にしかないものを、はや現実のうちにみる精神。それをみつつ創造してゆく精神。つまり、信念がなければいけないのだ。」(320頁)、著者の精神の高揚を感じる。
     本著は随所にフランスという国家が擬人化されている、「1971年にはフランスは、自己の力づよい処女性を自覚していた。頭を高くあげ、心は無垢。自己の利害を度外視して前進していた。自分が愛らしいことを知っており、じっさい、諸国民から愛されていたのだ。」(352頁)、著者への国への愛を感じる。
     著者の革命に対する高揚感や共和制国家への愛を感じる大著だ。

  • 人民史家ミシュレ
    フランス革命史(革命のはじまり;新生フランス;一進一退;立憲王政のこころみ;王政との闘い)

    著者:ジュール・ミシュレ(Michelet, Jules, 1798-1874、フランス・パリ、西洋史)
    訳者:桑原武夫(1904-1988、敦賀市、フランス文学、多田道太郎(1924-2007、京都市、フランス文学)、樋口謹一(1924-2004、西洋史)

  • [評価]
    ★★★☆☆ 星3つ

    [感想]
    フランス革命から約半世紀ぐらいに上梓されただけあり、フランス革命を実際に体験した人々が生きているため、非常に臨場感のある内容となっている。
    一方でフランス革命関連の基本的な出来事の解説がないので最初に読むにはおすすめできない。

  • 【小倉孝誠・選】
    150年以上も前に書かれた革命論だが、いまだに色褪せていない。共和派の歴史家ミシュレにとって革命はまさに近代の始まりだった。革命をめぐるさまざまな神話と寓意はこの書を起源とする。

  • 新書文庫

  • 著名なフランス革命史の抄訳。上巻では、全国三部会招集からヴァルミーの勝利および共和国宣言までが扱われる。トクヴィルが『旧体制と大革命』で、革命とは距離を取りながら行政システムの連続性を浮彫りにし、革命が革命以前から始まっていたと考えたとすれば、ミシュレが強調するのは革命による「人民」の革命的変化であり、人々が突如情念に突き動かされ、共和国樹立へと邁進していく姿である。その限りで、「共和派」の歴史叙述と言われるに相応しい内容である。ミシュレにおいては、革命当時から国外では非難轟々であった人民の直接行動でさえ、革命の友愛精神の現れであり、ジャコバン派の支配も状況による不可避の選択である。歴史が共和政を最終目的としているという確信が、革命時の様々な残虐行為でさえも、共和政に向かうプロセスの一部として許容されることになる。

  • 2013年10冊目

    ミシュレ:フランス革命史

    フランス革命史とえいばミシュレ、なわけであるが、ミシュレのフランス革命史の根底にあるのは「人民」というキーワードであったように思う。
    フランス革命は人民の意思により誕生し、達成された。時には公会の存在を批判しつつ、徹底的に人民の立場に立つ、それが本書の特徴である。
    それはミシュレの立場にも関係する。ミシュレは時に政治参加の機会があった。しかしながら、徹底した人民の立場から中立的に、どの派にも属さずに歴史を叙述するという信念から政治参加を拒んだ。彼の立場は執筆の観点からみても人民に依拠していたのである。
    そのため、本書の隅々で人民を礼賛する場面がみられる。また、この立場にったからこそ、女性にも幾分か紙面が割かれている。(多くはないが)例えば、1789年10月5日に、女性が国王一家をヴェルサイユからパリへ移住させた事件で女性の役割を説いている。「人民のうちで最も人民的なもの、すなわち最も本能的なもの、それは疑いもなく女性だ」と。革命の発生にはやはり食糧難が背景にあり、このような場合、女性は爆発的な力を生み出してきた。
    その意味でロビスピエールがたたえられている。常に人民の立場に立ったロビスピエールのことを考えれば当然である。

    フランス革命を、冒険小説のように人民が力を獲得していく過程を描く本書は、絶えず革命が偉大であったという印象を放ち続けている。

  • ロベスピエールってヒーローじゃないのか。民衆は家の女房のように気分屋だ。こんな激しい革命は日本人には無理だな。

  • 歴史とは螺旋状に回転する生の集積。

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著者プロフィール

ジュール・ミシュレ(Jules Michelet)
フランス革命末期の1798年8月にパリで生まれ、父親の印刷業を手伝いながら、まだ中世の面影を色濃く残すパリで育ち勉学に励んだ。1827年、高等師範の歴史学教授。1831年、国立古文書館の部長、1838年からコレージュ・ド・フランス教授。復古的王制やナポレオン三世の帝政下、抑圧を受けながら人民を主役とする立場を貫いた。1874年2月没。

「2024年 『フランス史Ⅹ アンリ四世』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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