- Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122048164
感想・レビュー・書評
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森博嗣の詩に決定的に足りないのは、
苦悩とか悲しみとかそういう負の感情。
ここに収録されている詩もきっと、
さらりと書いてしまったのだろう。
それが悪いというのではなく、
そういう時代なのかな。
嫌いだという意味ではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『スカイ・クロラ』の函南を想像してしまう詩たち。
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森先生の理論が最後までなかなか捉えられず、何を言わんとしている詩なのか分からないものがあった。しかし、生への切迫感を終始漂わせつつも、何か生への安堵感を感じる構成になっていた気がする。まだ感覚的にしか分からないが、読むと恥美的で、命を題材にした刹那的な美しさを感じた。スカイクロラシリーズのセリフの断片が、数編の詩に入ってたのが、学生時代ファンだった自分としては嬉しかった。この詩集をさらに「大人」になった数年後の自分が読んで理解が深まるかは謎だ。極めて限定的な層のみに理解できる作品な気がした。
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森博嗣で初めて読んだんが詩集て。
銀色夏生の詩集ぐらいしか日本人のものはまともに読んだことないです。
詩集出すような作風だと思ってなかったから、むしろ興味本意の冷やかし読書。
だけど後半の作品の盛り上がり方すごい。詩集や短編はどう考えても作品の順番が評価に大きく繋がるけど、これは成功してる。畳み掛けて、ちゃんと落ちる。強いて言うなら助走がながい、かなあ。
でもぜひ小説も読みたいと思いました。
「胸のうえに手をのせていると悪い夢をみるよ」
「海の向こうにはなにがある?」「夜と粉と髭と泥」 -
森博嗣の詩集! 理系的だけど文学的、心地良い冷たさな不思議な詩たち。装丁も素敵。
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『いつも通る道でも
違うところを踏んで歩くことができる
いつも通る道だからって
景色は同じじゃない
それだけでは、いけないのか?
それだけでは、不満か?』
『後悔エトセトラ
思慕コンパクタ
逡巡パラメータ
憂鬱ストラクチャ』
『胸の上に手をのせていると
悪い夢を見るよ』
『飛べないことを
知らない連中が
飛んでいるのだよ
生きられない理由を
知らない連中が
生きているように』
『かすかな奇跡と軽やかな予感と
生きているという呪文にかかった君と』 -
森ノベルスを開いたすぐそこにある短い詩が好きだったのです。
本編を読まずとも、その詩を読み返すためだけに、何度もノベルスを本の山から掘り出して眺めたものです。
鋭く切って返す言葉の切っ先は、まさに「魔的」な魅力。
ノベルスに書いてあるものとはまた違ったヴァージョンもあるので、それもまたボーナストラック的魅力です。
●「僕の額を見ろ」
●「走るために生まれてきた」
●「四季の箱」
の三連コンボでノックアウト。
こっそりひそひそと音読して、こっそり満足するのです。 -
綺麗な詩集。言葉の選び方、や連なりに響き。そういうものが味わえるシャープさ。
激しい内的衝動よりも周りの世界と相対する人間を切り取っているようなイメージ。私は美しい言葉の連なりが好きなので結構好きですが、その反面そのさらりとした感触はとっかかりがないようにも思えます。
ただよく引用される「ハウリングする思考」は特別。 -
読み味がシャープですな
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こういう世界、好きだなあ。「間違いはなかったか」がいい!