外交官の一生 (中公文庫BIBLIO20世紀)

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著者 : 石射猪太郎
  • 中央公論新社 (2007年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (521ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122048195

外交官の一生 (中公文庫BIBLIO20世紀)の感想・レビュー・書評

  • 大正から昭和初期、太平洋戦争敗戦までの外交官としての生涯を著した自伝。
    著者は太平洋戦争時に幣原外交を霞が関正統外交とし、軍部の批判を強めていく。戦後直後に著したものであるが故に、詳細に亘る記載が真実味を注ぎ、正しい史実を知る意味でも興味深い。
    著者は外務大臣や次官を経験はしていないが、現場第一線で活躍した外交官であり、当時、日本が先進国に進む上での海外での尽力、貢献を読み取ることができる。
    また、著者の赴任地がアジア、南米、ヨーロッパと多岐に亘ることで、各地の当時の政治状況、日本との関係等が理解でき、各国との間に現在にも繋がる歴史的意義を知ることができた。

    幣原貴重郎の「外交五十年」も読んでみたい。

    以下引用~
    ・国際協調主義、平和主義、対華善隣主義政策の三主義について
    この三主義は、誰が創始したともなく、またこれを実行する手段方法も、時の環境に応じて幾変化しているとはいえ、歴代の外務大臣が、概ねこれを踏襲して、自己の政策に織り込み、自然外務省に浸み込んで、いつしか霞ヶ関正統外交の貴重となるに至った。・・・
    が、それでもまだこの三主義は、内容も散漫であり、輪郭もはっきりしていなかった・。それを理論づけ、敷衍して集大成したのが、幣原外交であった。

    ・外交に哲学めいた理念などがあるものか。およそ国際生活上、外交ほど実利主義なものがあるのであろうか。国際間に処して少しでも多くのプラスを取り込み、できるだけマイナスを背負い込まないようにする。理念も何もない。外交の意義はそこに尽きる。問題は、どうすればプラスを取り、マイナスから逃れ得るかにある。
    ・・・この意味において、外交は商取引と同じである。・・・商取引にも商業道徳が重んぜられるように、外交には国際信義がある。・・・
    この国際信用を維持し、登揚するのが外交の大道であり、特に幣原外交は、力強くこの大道を歩み、一歩だも横道にそれなかった。
    要するに外交の生き方は、商売の行き方と全く軌を一にする。外務省正統外交の本領は、国際社会に処して算段を正しく弾き、正しい答えを出そうとするところにあった。まどろかしく見えても、正直で地道な行き方が、総合的に大きなプラスをわれに収めるゆえんだと信ぜられた。
    が、軍部や政党や右翼は、目前の利益をのみ望んで、二プラス二イコール五、あるいは五マイナス三イコール三の答えを外交に強要した。

  • 幣原の「外交五十年」の後に読むと面白いのではないかと…てか石射の幣原スキーぶりについ林董くんを思い出しました。

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