雨の匂い (中公文庫)

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著者 : 樋口有介
  • 中央公論新社 (2007年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049246

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雨の匂い (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 癌で入院中の父親と寝たきりの祖父、二人の介護とアルバイトで日々をすごす大学生の柊一。本心では人間関係の煩わしさやしがらみを嫌いつつ、その感情に蓋をして淡々とクールに過ごしている。表面上の会話では決して相手を否定しないのに、「都合良く」人が次々と死んでいく様が不気味で作者らしい展開。柊一の感情を、丁寧に描かれた情景や行間で間接的に表現しているのも秀逸で、独特の世界。いつもながら、料理や家事の几帳面な描写に牧歌的な会話、静かに含んだ毒に至るまでたっぷり堪能出来る一冊。「ピース」が好きな方には是非。

  •  一応大学生ではあるものの、家でほぼ寝たきりの元塗装工の祖父と、末期癌で入院中の父親の両方の面倒を見ながら、夜はアダルトビデオ専門のレンタル店でアルバイトをしている柊一。淡々と過ごす日々の中、向かいの家の鈴木ハツを通し、昔祖父が手掛けた緒川家の塀の塗り直しをやってくれないかと頼まれる。その家の向かいは近所でも有名なゴミ屋敷だった。

     本当にこの男は大学生なのか?と思うほど、達観しているというか、すでに諦めの境地なのか、祖父や父親の介護を本当に淡々と、文句も言わずに完璧にこなす柊一。読んでいる間中、その姿の内側に何か暗いものを溜め込んでいる印象をずっと抱いていたのだが、物語後半の行動で「あぁ、やっぱり」と妙に納得してしまった。この話は犯人探しの物語ではないので、この後柊一がどうなったかはわからない。誰か、彼の内面を救ってくれる人は現れるんだろうか。

  • 久し振りに面白い小説に出会えた。

  • 再読。
    癌で入院中の父親と寝たきりの祖父、二人の介護とアルバイトで日々をすごす大学生の柊一。
    淡々となんでもないように家事・介護をこなす柊一、樋口氏の中では異色作。

  • 淡々とした主人公が逆に怖かった。

  • 末期癌の父と,寝たきりの祖父を介護しながら暮らす青年の話。
    ひねくれたような達観したかのような,オッサンくさい主人公は魅力的だったが,事件がなかなか起こらず,終わり方も中途半端で,今まで読んだ樋口有介作品ほどには楽しめなかった。

  • 『ピース』『枯葉色グッドバイ』『月への梯子』に続き、樋口作品読了四冊目。 『ピース』に感動した理由の一つである作品に流れる樋口氏の正義感・倫理観が、この作品では『ピース』以上に強く感じられて大変満足しました。 『ピース』での正義感・倫理が美意識に基づいていたのだと、この作品を読んで理解できました。 『枯葉色グッドバイ』と違い、読後感はかなりビターな味わいでしたが、その美意識のために不快な感じがしないのもいい味わいだったと思います。

  • かなりフカカイな小説である(- -

    前半、「事件」が起きるまで
    かなり長いこと淡々と主人公の日常が描かれる。
    途中で「これは一体何の小説だ?」と不安になる(- -;

    後半、立て続けに「事件」が起きるも、
    何一つ解決しないままに終わってしまう(- -
    何というか、カフカのような消化不良感(- -;

    主人公の若い男性は、樋口氏お得意の
    「ひねくれ者」「韜晦」キャラ。
    周りの登場人物も、一癖も二癖もある人が多い。

    これと好対照に、「近所のおばちゃん」とかは
    まったくのオバチャンキャラとして登場するので、
    振れ幅が広くある意味リアル。

    が、事件にしてもツッコミ処は満載だし、
    いったいこれは何が言いたかったのか...
    いや、特に「言いたい」ことはないのか...

    変な意味でいろいろ考えさせられる一作(- -;

  • 何と無く理解は出来る気がするが主人公の感情の無さが気色悪いし気分が悪かった。 警察側からの小説やと穴だらけの犯行に感じる。穴が無くても色んな接点で怪しまれる気がするので余計な事をし過ぎちゃうかなぁ?人生を捨てたって事かなぁ?自分の読解力では分からん。

  • 初・樋口作品。とても読みやすかった。
    季節感を感じられる描写が多く、夏の色を感じた。
    物語全体は淡々としているが、家庭内のゴタゴタとか、
    近所で起こる事件等、大学生の主人公の周りは静寂とは言えない。
    一見穏やかな主人公男子の内に秘めたる想いが切なくて怖い。

  • 【癌で入院中の父親と寝たきりの祖父、二人の介護とアルバイトで日々をすごす大学生の柊一。塗装工だった祖父の代理で、ある家の塀塗りを引き受けるが、同じ頃、謎めいた少女・李沙と出会って関係を深めていく。やがて町内で放火事件が発生し…。降りしきる雨の中で育まれていくのは愛か、殺意か。】

  • 淡々と進む話。
    柊一のように季節感のある丁寧な料理をしたいなーと思った。
    それだけ。

  • 息子に借金を申し込む母親。娘ほどの年齢の女性と結婚するバーのマスター。物語の根底に流れるのは間違いなく不条理。その不条理の結果が物語の後半のさまざまな死によって現実化する。猟奇的殺人が梅雨空の下で黙々と塀を塗る大学生と重なるエンディングの読後感はよくない。よくないが流れる季節にストーリーを乗せる作者の得意技は十分楽しめた。一気に読める。

  • なにげない場面でも、樋口節が聞いていて面白い。話は9割方なにげなく進む。そして最後の1割でトントントンと進む。面白いんだけど、謎が一つ残ってしまった。

  • 静けさ、穏やかさがかえって不気味な効果をあげているが、どうもそれだけ。異色作。

  • 癌で入院中の父親と寝たきりの祖父の面倒を一人でみる村尾柊一。彼は善意より殺意を必要とした...。あの日、雨が降っていなければ、誰も殺されなかった。必死だけど可笑しくて、実直ゆえに我がままで、優しいくせに傷つける―デビュー15周年を迎えた樋口有介の真骨頂、とにかく切ない物語。

  • 電子書籍で読了。
    作者の他の作品と似ているようでいて、全然似ていない、主人公の壊れたキャラクター設定が絶妙。
    予定調和の世界を突き放したストーリー展開も鮮やかで、非常に印象的だった。

  • 癌で病床に伏せる父と
    寝たきりの祖父の看病をしながら
    淡々とした変わらぬ生活を送る柊一。

    主人公の柊一。
    或る人は《正常》と評し、
    また或る人は《正常じゃない》と評す。

    様々な考え方の人々に出会うにつれ
    彼の中である意志が芽生え始める。

    そして淡々と実行に移されていく…。


    心理描写、風景描写ともに
    数多く巧みに使われているものの、
    その分せっかくの濃いキャラクターの
    登場人物たちが物語に絡みきれてない気が…。

  •  大学生の主人公には、ガンで入院中の父と自宅で寝たきりの祖父がいた。
     彼は、祖父の代理である家の塀を塗装をすることになる…。

     放火事件があったり、主人公がバイトしている店のオーナーのいざこざがあったり、主人公が淡々としているくせに次々に事件は起こります。
     でも、傍観してる主人公。
     ま、樋口さんのキャラはこういう妙に老成した子が多いからなと思って読み進めていたら…。

     やられました。

     なんつーか、「物語の悪意」みたいなものが、ずんときました。
     いやあ、樋口有介、まだまだ隠し玉を持っているみたいです。

     この作品は、主人公がこうで、ストーリーがこうで、だからいいの、と語るより、ただ「読んで」と勧めるべきもの。これから感じるものは、きっと個々で全く違うと思う。
     万華鏡のような作品なんだと思う。

     うん。読んで…ww

  • 2007年11月23日読了

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