世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049666

作品紹介・あらすじ

世界で四十年余にわたって読みつづけられているマクニールの「世界史」最新版完訳。人間の歴史の流れを大きく捉え、「きわめて特色ある歴史上の問題」を独自の史観で鮮やかに描き出す。ユーラシアの文明誕生とそのひろがりから、紀元後一五〇〇年までの四大文明の伸展とその周縁部との相互干渉まで。地図・写真多数収録。年表つき。

感想・レビュー・書評

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  • 私は、ずいぶんと昔になりますが、受験の選択科目は世界史だったのですが、同じ年代ごとの地域別の横の関係がむずかしくてよく理解できないまま受験しました。近現代史も学校では時間がなくて、教科書が最後まで終わっていなかったという記憶があります(もちろん、受験の結果は惨敗です)
    それでも世界史は嫌いではなく、むしろ好きで、「いつかもう一度勉強してみたい」分野のひとつでした。

    それで、何冊か世界史の本は家の本棚に積読されていましたが、「一体いつ読むんだ」というくらい長期間置いてあり、「今でしょ」ということになり、数年たった今、先月からひと月半程かかりましたが上下巻を通読しました。

    世界史の積読本は他に山川の『もういちど読む山川世界史』や『銃・病原菌・鉄』などもあったのですが、(つい書店に行くと、読んでいなくても買ってしまうんですね)最初に読むには、やっぱりこのマクニールの世界史にして、私は正解でした。(他の本はまだ読んでいないので、ちゃんと比較したわけではないのですが)
    私程度だと、全くの世界史初心者でしょうから、一見、字が大きくて要点のまとめてある、山川などの方が、わかりやすそうですが、なぜそうなるのか、順序だてて進んでいくマクニールの通史の方が要点中心の山川より、歴史とはこういう流れで進むのだというのがよくわかり、理解度が深まったように思います。

    下巻の後半の第一次世界大戦以降は高校で習った記憶がないので、読むのがかなり苦しくなってきましたが、「ローマ」「シルクロード」「ルネサンス」のあたりは、歴史的にもはなやかで、記憶にもよく残っていた部分で、読んでいるのが非常に楽しく、勉強することの心地よさを実感することができました。この本は大学生協で売れている本らしいですが、私は高校の時にこの本を読めばよかったなあと思うことしきりでした。(高校の時はこの本の存在は知りませんでした)

    私のような、世界史の劣等生でもわかるように書かれたこの長い通史を、ひとりで書くという偉業を成し遂げてくれた、ウィリアム・H・マクニールと訳者の方々には感謝に気持ちでいっぱいです。
    この本を基礎として、忘れないうちに、これからまた他の世界史関連の本を楽しんでいけたらと思っています。

    • 大野弘紀さん
      大人になったからこそ、改めてちゃんと学びたいことって、ありますよね。


      追伸
       フォローありがとうございます。
       まことさんの本...
      大人になったからこそ、改めてちゃんと学びたいことって、ありますよね。


      追伸
       フォローありがとうございます。
       まことさんの本棚は、ハウツー本が多く、感想を読んでいるだけで勉強になります。
      2018/10/06
    • まことさん
      こちらこそ、フォローありがとうございます。
      返信が遅くなり、申し訳ありません。
      小説以外の本は、最近読み始めたばかりで、拙いレビューばかりで...
      こちらこそ、フォローありがとうございます。
      返信が遅くなり、申し訳ありません。
      小説以外の本は、最近読み始めたばかりで、拙いレビューばかりで
      お恥ずかしい限りです。
      2018/10/07
  • 全く頭に入ってこないのにも関わらず通読。世界史の映像で観るような世界観みたいなのは感じられたかな。とにかく宗教のことや闘いから時代は経過してきたのかなというぐらいしかわからなかった。ゲームやアニメなどでも武器や道具のことなどなんとなくプレイしてよく出てきているが、このような歴史を研究して作られてるのかなと思うと、これらの事はよくアレンジされてるなと思った。きっと下巻を読んでもさっぱりだろうが、なんとなく通読はしておきたい作品。

  • やっと読了。私の中では読了までに一番時間がかかった本かもしれない。宗教や文化からくる民族の精神に重きをおいた著作のように私には思えた。上巻が終わっても、まだ私には世界史を半分も分かったようには思えない。
    下巻も頑張ろう

  • ようやく読み終わった。購入してから10年余り。
    ヨーロッパに住むことになったので久しぶりに続きを読み始めて見たら、眠くなることもあったけれど、そこが繋がるのかという驚きや発見もあった。時系列の羅列ではなく流れがあるので読みやすい。

  • 世界に起きる変化=歴史の内容を、発生した出来事を立脚点に、「文明の変化/伝播」という世界史的観点から説明している。いろいろあるが、鉄器や鐙、戦車の例などは面白かった。

    技術や資本が蓄積・保存でき、剰余ができることにより時間ができていくことで、別の作業が可能になり、新しい変化を導出する基盤となる。

    そこに、他の文明などからの影響を、置き換えや一部受け入れ等を行い、成果物が出てくるという流れになっている。「変化を取り入れる・置き換える」にあたっての理論は、時の為政者の毎回の苦慮ポイントであり、対応もインドのように取り入れ同居させてしまうパターンや、完全に滅ぼしてしまうパターンなど様々。理論は宗教がベースになっていることが多い。

    一方、同じ宗教内部でも細目などへの考え方が違うことで、集合的な命令に対して常に反発する層が発生する可能性を抱えていることで崩壊してしまったりするケースも。対応的に個々の命令ばかり出すと、集合体としての安定性が揺らぐという、矛盾を常に抱えている(ギリシャのポリスは個人の自律と集合を、ホメロスの詩やポリスと英雄の同質化で絶妙に解消したケースや、中国のように官吏へ試験を課し、可能な限り為政者側の同質性を高める工夫など)。社会の分極化は文明の代償であると述べられている。

    アルファベット文字による知識の大衆化、貨幣による市場の浸透とその価格変化により社会へ柔軟性を与える、水田とそうでない畑作により求められる労働の種類が違い、それにより人員の性質に影響を与える、など事象とその背景の理屈がとてもよく理解できた。

    更に日本史は急激な転換を、特に外部要因を受け発生させ続けた特異な歴史とされていること、古代インドの影響をアジア全体は強く受けていることなど、述べられていた。(前者は下巻で詳述?)

    一方で、語順倒置の話として、新しい事象の理論を過去に典籍に求めるということが中国の儒教やキリスト教の例で紹介。その行為が行われえるだけの、深さのある教義であるということでもあり、また預言的と言われるのはこういった行為が行われるからそう呼ばれる(論理を見つけに行く作業)ともいえる。

    更にその理屈があるのであれば、現状の社会の分化の促進が見られることは、文明がある方向に進んでいることでもあり、後々に分化の背景とその結果と共に語られうる変化フェーズにいることは容易に想像がつく。または為政者側へは技術や資本が蓄積され、結果的に時間が空くケースも同様に促進されていることから、何かの変化の背景として位置付けることができるはず。過去より社会が安定性を持っているがゆえに、そのスパンや変化の結果も見えづらくなっている可能性あるが、これこそが「歴史」そのものであると言える。

  • 世界史の概観をもう一度読んでみたいと思い、本書を手に取りました。上巻ではユーラシア大陸と北アフリカでの四大文明の勃興から、中世までへの変遷がまとめられています。
    大陸での民族の移動や、統治制度の変遷、そして文化の相互影響が完結にまとめられていてわかりやすく読めました。個別の地域の詳細な歴史は別途専門書を読む必要がありますが、世界史の大きな流れを把握するには良いのではないかと思います。

    ギリシアの都市国家ポリスが、領土により既定された国家の主権という概念のはじまりとなり、ローマの法体系の構築が契約関係、財産権や時代に即した立法など、今日の法治国家の基礎を形作ったというような記述は、現代社会が長い歴史の流れに浴していることを思い出させます。

    またキリスト教、ヒンズー教、仏教などがなぜ幅広い地域で信者を獲得していったか。それはこれら宗教の普遍性が都会生活者すなわち故郷を離れて暮らす者たちの必要に即していたことや、アウグスティヌスの”神の国”が、西欧の世界観の源流となった点など、今後さらに読書をしてみたい論点も見つけることができたのは嬉しい点でした。

    アジア地域に広範な影響を及ぼした文化として、インドの文明が挙げられています。遠い日本まで連なる仏教の伝播の軌跡を今日まで認めることができることからも、この指摘には納得することができました。

  • 3月30日の王様のブランチの文庫ランキングで第三位
    昨年の4月~9月東大早稲田慶応の大学生協で最も売れた歴史書だそうです。

    エッセイだと思いました。
    そして難しいところが多いです。
    東大早稲田慶応の学生さんなら楽勝なのでしょう。
    ただ、こんな私でも自分の概念にあるものは非常に面白かったです。

    例をあげます。奈良~平安の日本についてちょっと書かれています。

    >一方、日本は(朝鮮と違って)中国から距離的に離れていたため、中国の文化圏に完全にのみ込まれてしまう危険をあまり感じなかった。そこで日本は600年から1000年までの間に、仏教、儒教をはじめ彼らが輸入し得る中国文化のあらゆる要素を歓迎して受け入れた。この時示された、外国の文物に対する日本人の精力的な熱狂性は、それ以後の時代にも何度かくりかえされ、その度に日本の歴史は急激な転換を見せたが、これはほかには見られない、まったく日本史だけの特徴である。……

    とこんな感じなので、わからないで読み進めたところも、わかれば相当楽しめたと思います。
    読みながら、もっと詳しい本をいろいろ読んでみたいと思いました。そしてまたこの本を読みたいと。
    そうしているうちに巻末に中公文庫既刊の紹介。
    あっぱれ。

  • 最近は山川出版社の「もう一度読む山川世界史」がビジネスパーソンに流行っているそうです。

    高校生の世界史の教科書といえば山川出版社です。
    タンスの中に山川出版社の世界史の教科書を読んだ人でないと、本書は難しいかもしれない。
    というのも、本書を読む人は専門家ではなく、世界史の概要をさっと読み返したいと考えている人が多いのではないかと思う。とすると、重要な事は、その時代で起こったことを詳しく読む(時代の縦の部分)とその時代に他の地域で何が起こっていたのか(時代の横の部分)。

    本書は山川よりも時代の背景や事象を少し詳しく記載されているため、縦の部分の知識を増やすことができるが、相当に意識して読まないと横の部分を欠落して読んでしまう。
    例えば、第1回十字軍が開始されていた時、インドと中国そして日本はどのような事が起こっていたのか、なんてのは本書では意識しないと、章毎にある地域での事象を説明しているため、わかりにくい。
    なお、山川も同じ構成で書かれているが、簡潔に書かれているため横のつながりがわかりやすいと思う。

    ということで、横の関係性を一応わかっている人が縦の部分を補充したいという問題意識があれば本書は非常に有効です。
    縦の部分に関する記述は、さすが世界のベストセラーです。

  • 単なる通史ではなく、歴史の新たな考察を発見できるのではないかと思い手に取る。確かにひとりの歴史家が著しているので独自の観点が読み取れ興味深い。
    文化史へ多くの紙面を割いていることも特徴。キリスト教、イスラム教、仏教等の宗教の勃興や伝播、またお互いの関連性、地域の特性等、頭が整理された。
    一つの勢力が征服者として地域を移動する中で、いかに文化(宗教等)が伝播し、影響を及ぼしたのか、また影響を及ぼさなかったのか、その意義を考えた。

    注意すべき点は、この本を読むにあたり、相応の基礎知識が必要だということ。つまり、この本は初心者向けではない、ということ。

    わずかではあるが、日本に対する記述も興味深い。

    最後に、翻訳がどうもこなれていない。一部、直訳的なところがあるのか、日本語として読み難いところが残念。

    以下引用~
    ・ナイル流域特有の地理的条件も、政治が中央集権化することを助けた。ナイルの両側は不毛な砂漠だったから、その方向からの危険な外的な侵入はなかった。
    ・ローマ法の能率性と柔軟性は、193年にローマの平和が敗れた前も後ろも、有効な社会経済体系を維持するのを助けたことはたしかである。・・・これは、後代になって商業の再興を大いに助けたのであり、ローマ帝国の現代への永続的遺産のひとつとなったのである。
    ・もし、アジアに、インド人を中国人、日本人、朝鮮人、蒙古人、チベット人、ビルマ人、カンボジア人、セイロン人と結びつける共通の文化的伝統が存在しているとすれば、それは古代インド文明、特にその宗教的表現の及ぼした感化の結果にほかならない。ヘレニズムの成果もこれほど巨大ではなかった。
    ・そこで日本は、600年から1000年までの間に、仏教、儒教をはじめ彼らが輸入し得る中国文化のあらゆる要素を歓迎して受け入れた。この時示された、外国の文物に対する日本人の精力的な熱狂性は、それ以後の時代にも何度かくりかえされ、その度に日本の歴史は急激な転換を見せたが、これはほかにはみられない、まったく日本史だけの特徴である。
    ・中国の安定に役立ったもうひとつの因子は、才能ある個人を帝国の官僚制に補充するための試験体系だった。

  • 拾い読み。
    農耕民族、西洋を中心とした歴史観が驚くほど一貫しており、あまり気分のいい書き方ではない。
    遊牧民を蛮族と呼びその残虐性といちいちさしはさむ。なぜか農耕民は平和主義的で武力に訴えない性質と決めている。騎士道のことが好きらしく、定義不明の騎士道をインド史の説明にまで展開している。
    そこそこ面白いが、一人の著者の見方による読み物である点を留意するべき。

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