告白 (中公文庫)

  • 2220人登録
  • 4.24評価
    • (356)
    • (158)
    • (134)
    • (19)
    • (7)
  • 264レビュー
著者 : 町田康
  • 中央公論新社 (2008年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (850ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049697

告白 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 明治26年に実際に起こった大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフにした大作。作者得意の関西弁を駆使して、実際の事件をモチーフにしつつもあくまで町田節。たまに入る作者からの「あかんではないか」というツッコミや、ロックバンドを引き合いに出しての例えなど、本来重くシリアスになりがちなテーマを軽妙にしていて大好きです。

    根っからの残虐非道な悪人というわけではない主人公・熊太郎が様々な紆余曲折を経てついに大量の殺人を犯すまでにいたる経緯を丹念に拾ってゆく作者の目線は、弱いもの、はぐれてゆくもの、滑稽で哀れなものへの深い愛情と共感があって、赤ん坊まで殺した残酷な殺人者でありながらどこか憎めない熊太郎という人間の一生を描き出します。どんな理由があっても、人を殺していいということはないですが、それでもこの熊太郎には共感せずにいられません。

    熊太郎の弟分で、一緒に大量殺人を行う弥五郎も、まあ言ってしまえばただのゴロツキでチンピラなわけですが、直情的で単純な性格、少年の頃に一度だけ助けてくれた熊太郎を死ぬまでアニキと慕う一途さなんか、いっそ愛おしいくらい。どこかで少しづつ少しづつ歯車が狂っていって、取り返しのつかないところまでいってしまう、その残酷な悲しさ。この分厚さを読みきるだけの価値ある傑作だったと思います。

  •  河内十人斬り事件が題材という事で、内容は大体想像できていたが、読んでいて熊太郎が幸せになってほしいと願う自分がいた。
     
     
     

  • この作品が私が生きているこの世界に傑作として受け容れられているという事実は、私にとって救いとなっている。まじめに悩みを抱えたことのある人間なら必ず、熊太郎の中に自己を見る。思弁に陥って堂々巡りを抜け出せぬどつぼ。もがいてあがいて辿り着く結末には涙を禁じ得ない。

  • あれ?おかしいな
    熊太郎は少数派だったはず。
    すくなくともあの物語の、明治初期の人らのなかには、熊太郎ほど思弁的な人間はいなかったはず。

    だのに告白を読了したという人たちの口から出てくるのは
    「熊太郎の気持ちがよくわかる」
    というもの。

    それは単に日本人の読書好きには内向的、ないし、もと内向的な人間が本を手に取る確率が高いからという理由もあろう。ましてこれだけ厚みのある本を読もうと思い、最後まで読みきり、ここにたどり着くということは、そこまでの過程で「ふるい」がかけられており、必然的に熊太郎共感組が残った、ということかな。

    レビューなのかな、これは。


    にしても、現代とはなんと捌け口の多いことか、

    昔の人らで思弁的だった人間は、誰に訴えかけることもできず、かりにそのようなことを訴えかけたとしても、「なにいうてんね、こいつ」みたいな目で見られるのがオチだったのかもしれない。
    そう考えると、心の空虚さとかなんとなく感じる孤立感とかはあるにせよ、圧倒的な孤独感に襲われることがない現代は恵まれた時代なのかもしれない。


    それにしても面白いのは、平次のことを誰も言及していないことである。
    この物語の一番の被害者は平次この人であろう。笑
    苦笑したそこのあなた、ほんとはわかっているじゃないですか。

    みなの意識が知ってかしらずか、「平次とはそういう役回りの人間である」と認識されているような、

    同情すらされない平次。

    一方、熊太郎はある意味、しあわせものかもしれない…

    サブタイトルは平次の悲劇、で決まりやね。


    付箋だらけの最高の読書体験になりました。
    町田康「告白」、おすすめです。

  • 2012/06/29
    いやぁ長かった〜笑
    独特の文章。独特の間。どぎつい河内弁。
    この人スゴイなぁ。
    私の中では、この作品はパンクな金閣寺です。笑

  • 河内十人斬りの事件を題材にしているにも関わらず、河内弁で語られる熊太郎の思弁的な心情が、実にコミカルに写実的に描かれていて独特な世界観を生み出している。
    思ったことと言葉が一致しないという苦しみに悩みながら、思ったことと反対の行動をとってしまう熊太郎は、どうしようもない侠客に成り果てるが、どこか憎めない。やっぱり私は熊太郎が好きだ。
    十人も人を殺した熊太郎が、これ程までに愛嬌のある人間なのだから、最後はやはり切なくなる。
    長編だが読みごたえたっぷりの独特な世界観は他に類を見ない。

  • 主人公、熊太郎の一生を描ききった快作。

    なんかうまくいかんなぁ、あかんなぁ。そんな気持ちが、バッキバキに音を立てて転がって、どっかにぶち当たって、ムカッときて、腹が立って、泣いてしまって、信じてしまって、そんな熊太郎に自分を重ねずにはいられないじゃないか。幼少期からその最期まで、ひたすらに描かれた、熊太郎の生き様は、滑稽で、パンクで、恐ろしくて、悲しい。

    長い小説ですが、その長さにもしっかりと意味がある作品。皆が皆、絶賛するような作品ではないだろうけども、このパワーは圧巻。感情が溢れました。それは、泣ける。とかという意味だけでなく。

  • ここ10年読んだ小説の中でも最高傑作になりそう。

  • 熊太郎
    甘やかされてきた
    賢い
    独楽回しで自分が偉くないことに気づいた
    世間と家の中での評価の違い

    「俺の思想と言語が合一するとき俺は死ぬる」
    独特の思弁癖が「渋滞」している

    世の中には、世間の常識とはどうしても反りがあわず、それなりの良識と純真を持って自分を律してゆこうとするが、いつしかそれが破綻して人生の敗残者となってしまう人もいる。

    貸してもらった本。予想以上によかった。 きにしーの主人公の話。

  • 実際にあった事件が基になっていると知らずに読んでいたので、終盤の展開は読んでいてつらかった。思春期のぐちゃぐちゃな感じとも似ている熊太郎の内面と外面のギャップ。チャンスも幸運もそれなりにあるのに自分でフイにしてしまってどんどん悪い方へ転がっていくダメダメだけど愛すべき人物の物語かと思っていたらあんなことに。独特の文体とユーモアに救われるけど、読後感は重い。

全264件中 1 - 10件を表示

町田康の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
川上 未映子
町田 康
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

告白 (中公文庫)に関連するまとめ

告白 (中公文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

告白 (中公文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

告白 (中公文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

告白 (中公文庫)の作品紹介

人はなぜ人を殺すのか-。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。

告白 (中公文庫)の単行本

告白 (中公文庫)のKindle版

ツイートする