- Amazon.co.jp ・本 (850ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122049697
感想・レビュー・書評
-
方言に癖があり慣れるまでは読みづらかった。
最初から最後まで不器用な主人公の心情や思っていることが事細かに説明が加えられている。
共感できるところもあり、面白くない訳では無いが個人的にハマらなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今のところ、人生で一冊を本を選べって言われたらこの本です。
-
熊太郎の一生...自分の心に向き合いすぎてどつぼにハマっていく様が...生きにくそうすぎて...狭い世界での不器用さ切ない狂気
-
熊太郎と弥五郎の兄弟関係の描写が好きだった。
特に、弥五郎が、世間と相容れない、上手く馴染めない熊太郎を愛らしく思う描写が好きだった。
リズミカルな河内弁がたまらない。最初は馴染みが無いので、飲み込みづらいけど、一度飲み込んじゃえば、癖になるような文章だった。 -
高校生のころ一度読み、その当時どんな感想をもったのかさっぱり覚えていなかった。
私を含めおそらく多くの人が主人公に対して持つであろう親近感、思弁と言葉のギャップや自分と自分の外側との間に一枚膜が張られているような感覚、孤独感など。主人公はそういったものに囚われて破滅的な結末を迎えるが、果たして本当に主人公の周りにいた人間たちは主人公と同じような感覚を持っていなかったのか?これを現代人的な感覚、と呼ぶ人もいるが本当にそうなのか私には判断することができない。結局他人はアホで自分は思弁的である、といった誤った認識が彼を破滅させていった。周りの人間はそれぞれの気持ちと現実との折合いをつけて生活をしていたのであり、アホは主人公自身であったのに。そんなアホで最悪な主人公が、純粋で魅力的で惹きつけられてしまう。
「思弁と言葉が一致した時俺は死ぬ」みたいな内容の言葉が繰り返しでてくる。私はこの言葉の意味を正確に理解することができていない。主人公は最後に死を迎えた、そして終盤のある時点までは彼の思弁や考えは現実と一致しているかのように彼は認識していた。それは全て主人公の妄想や思い込みであったが、彼にとっては現実そのものであった。何が言いたいのかわからなくなってきたが、私はこの言葉が印象に残っている。 -
「すんませんでした。全部嘘でした」嘘なんてひとつも吐いてないじゃない。
熊太郎の人生を追いかけているうちに、間に入って翻訳をしてあげたくなる。すらすら読み易いのは流石町田康。
800頁の長編もようやくあと少しだと言うのに、ラストは思わず手を止めてしまった。あかんかったわ。 -
自意識過剰でええかっこしぃなアカンたれの一生を、河内十人斬りを終着点にロックのリズムで語り聞かされる。
ノリノリで読み切ったはずが強烈な節が後を引いて、しばらくこの本のことで頭がいっぱいであった。
(であった、とか言ってしまうほどには)
ようじょこ場でのディスコミュニケーション際立つシーンが印象的。絶望。警察の不毛な会議シーンも好き。
あと最後の方で熊太郎がNo Good Deed (Wickedより)をうたっていた気がする。
紹介文に「人はなぜ人を殺すのか(中略)永遠のテーマに迫る」とあるが、特にそれに迫っているようには思えず。 -
800ページを超えるとても分厚い本だけど、読ませ切る文章力と内容。。江戸時代の話でとっつきにくいかと思いきや、語り手が現代の人風(例にロックバンドが出てきたり)なので読みやすい。
ちょうどこの本の直前に人間失格を読んでいたのだけど、主人公の"思弁的"なところが共通していて興味深く感じた。
-
面白かった。河内弁で熊太郎の心情を細々と語っていくので最初の方は、どうだろうこれは、と思っていたけれど、読み進めていくうちに抵抗もなくなり熊太郎に深い感情移入をしてしまった。頁を手繰るたび、移入は深まり、どうにか熊太郎が救われてくれと思った。どうにか禍事をうまく収めてくれ、と。そんなことになったのも、やけに馴れ馴れしい河内弁と、くよくよした熊太郎の本音に感化されたからだ。おかげで富のことが好きになったし、熊次郎を嫌悪した。ラストについては、あれしか終わりようがないかな、と思った。ちょっと厚いので腕が痛い。