告白 (中公文庫 ま 35-2)

著者 :
  • 中央公論新社
4.23
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本棚登録 : 4103
感想 : 400
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  • Amazon.co.jp ・本 (850ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049697

感想・レビュー・書評

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  • どうしてこんなに、っていうくらい分厚い。
    思弁的で不器用で鈍くさい熊太郎の思考が、テンポの良い文章で洪水みたいに頭の中にザザーッと流れ込んできて、この本を読んでいる期間中は、自分の中の熊太郎的部分がざわついて落ち着かなかった。
    大昔のトラウマが、いつまでもいつまでも心をとらえ、その人を苦しめ、しまいには大きな歪みになって害をなす。熊太郎の場合はそれがついには人を殺めるところまでいきついてしまう。
    あかんではないか。
    あかんのであるが、とことんダメな熊太郎のキャラクターにすっかり魅了されているため、あかんと思えなくなってしまう。むしろ応援してしまう。
    物語の初めから、狂ったテンポで流れていた音楽が、最期に急にとまる。銃声が鳴る。なんともいえないすごみがあり、ぞわぞわした。
    もう一回読もうと思うには、ボリュームがありすぎるが、これはすごいものを読んでしまった、と思った。

  • 人が誰しも抱えていること、でも目を背けていることをガンガン抉ってくれた感じでした。だからこころがいたいし体力使ったし疲れました。でも向き合いたくても言葉にできないの。バイブルです。

  • 12.09.24
    借り物だから読了したけどそうでなかったら途中で放棄していた。読むのしんどかった。
    河内弁やノリは面白かったけど、毎回同じような自省しかせず成長も変化もない人間の半生をダラダラダラダラ読むのは苦痛でした。
    谷はイイ漢だったけど、熊次は言い訳ばかりの狂人にしか見れなくて。
    こんなに長い必要ある?

  • 町田康がこんな普通に真面目な小説を書くとは。いや他のが不真面目つってるわけではありませんが、「ストーリー」がしっかり作ってあるのにちょっとびっくり。
    実際の事件をもとにしてるわけだから、ストーリー展開がしっかりしてるのも当たり前なんだけど、なんつーか町田康的な意図的破綻みたいのがない。
    あまりに没頭して読んでしまったので読み終わったあとでぼんやりしてしまい、なかなか現実に戻ってこれず、ふとした拍子に物語の世界のこと、熊太郎のこと、弥五郎のことを考えてしまってる。それくらいの衝撃がありました。
    すごい小説だと思います。
    最後のほうはもう読むのもツライ。
    しかしこの河内弁、東京のひととか意味わかるんだろうか・・・。

  • 明治に実際起こった大量殺人事件をモチーフに、人はなぜ人を殺すかというテーマの長編小説。
    主人公の熊太郎は思弁的で、考えて考えて生きる人間。思考が行動に直結しないがために、周りから疎ましがられたり変な孤高感をもったりしている。気付いたらそういう人間になっていて、後戻りできないと思う段に至ってやっと以前の自分を振り返ることができる。そんなドツボにはまっていって最終的に凄惨な事件を起こしてしまう。
    俺にもこういう面があるなーと思いつつも、では後戻りできるポイントはどこなのか。どうやったらわかるのか。そもそも思弁的なことはいけないことなのか。そんなことを考えてしまう辺りが主人公に似ているなと思ったりとメタって考えることもまた小説中に出てきて、ドツボにはまっていることだけ確認できるという困った感想。



    ~読書をしながら思うことメモ~
    最近、良い意味で「自分を削ぐ読書」をしている気がする。
    どっかで「個性だと思っているところをすべて取り除いて、残ったものが本当の個性」という言葉に出会った。
    本の中で、自分に似たところがある主人公が、あの時こうしていたらの平行世界を生きていたり、同じようなことを考えたり、信念を曲げずに生き抜いたりしている。俺は個性は考えてることに宿ると思っていたけど、読書していると意外と近い人や考えに出会う。
    今の自分からこうやって出会ったものを引いていくと何が残るんだろう、俺にしか考えられないことや言葉ってなんなんだろうかと、ちょっと怖くもワクワクしながら読み終えた本を重ねています。

  • 途中で挫折。また今度

  • ものすごく面白かった。海外文学作品によくある、うじうじ生きるだめ無職の心理描写と、明治の関西のど田舎独特の粋な感じがあわさって、とってもとっても良かった。始めは、町田康の自伝的なものかとおもったけれど、明治時代の実話に基づいてるらしい。実話ものでも、物足りなさは全くなかった。町田康の作品を初めて読んだけれど、個性的な作風なのに受け入れやすくてびっくりした。明治時代の話なのに堂々と平成の話をしたり、「がーんとなった」等、口語っぽいものもうまく表現に伝わってて、ほんとうに面白かった。

  • 素晴らしい。
    殿堂入り!

    熊太郎の思ったこと、出来事は決して他人事でないように思えた。
    個人的に思いと行動が一致しないことは意外とあって、この本で今まで見えてなかった自分の中の一部分にスポットライトが当たったような感じがした。

    熊太郎が紆余曲折した人生を経て、最後に発した一言がとても感慨深い。

  • 「わたし、言いたいことちゃんと言えてる?」って考えさせられた。

  • 2011/06/04完讀

    六顆星名作!

    這個故事以河內音頭的「河内十人斬り」殺人事件為內容。主角熊太郎成長在明治時代,他擁有極度的思辯癖,但極其單純貧乏的河內水分鄉下的「百姓言葉」卻無法表達他心裡所想,這種焦躁使得他常常腦中充滿大量想法擠來擠去,但舉動脫口說出的話語卻又是另外一套,或者想太多讓事情更為複雜,讓他更難平衡。沒人能理解他,被當笨蛋,又讓他更加受傷;又因為小時候殺害葛木ドール(的幻覺)讓他自暴自棄沈淪於賭博之中不事生產,和自己的「小弟」弥五郎混在一起。偏偏他的命運又常常種蒲仔生菜瓜(例如說想幫忙別人討回公道卻誤闖同音的另外一人家,事後反倒成為笑柄;去跟女生搭訕就說出一些莫名其妙的話被當作變態),三轉四轉讓他走向沈淪的命運,和長得跟「森の小鬼」的松永熊次郎結下孽緣,好不容易娶了美女縫又被松永寅吉戴綠帽,松永父子終於激起他忍無可忍的正義心,最後走上殺人並自決的路。

    作者對實在是操控語言的天才,文字流暢時帶詼諧,有時荒唐卻又真實無比,意象新穎,在混沌混亂與矛盾共存的特殊文體,在標準語和河內方言運用,讓人眼花撩亂,相當傑出(我實在很喜歡裡面的河內方言,有時粗俗令人莞爾一笑,又相當活靈活現,看熊太郎說話和思考實在是一件很有趣的事情)。心與大環境的無法溝通和疏離,這是個值得深掘的哲學主題,這根本就是當代許多人最大的迷惘。

    町田康曾在演講中說「ここ数年、人間の種類が減ってきている気がする」「”いろんな人がいる”ということを許せない人が増えて、多様な人間観が排除されている」,或許也是這個原因,讓他嘗試對熊太郎這種異樣而獨特的生命心理進行細膩無比的描寫吧。觀察一個生命苦悶漸漸累積直到悲劇形成,雖然帶著嬉笑怒罵,其實是很嚴肅的一件事,而作者強迫症般一再地讓熊太郎獨白,各個都是他的血淚吶喊。這其實是個很沈重的主題。人漸漸被電視與電腦中的言論統一,這種現象其實一直是我很憂心的(周遭的人講話都越來越像了),大家在柔性的影響力中漸漸被統一思考和行為模式,讓會思考的人、與大環境有齟齬的人越來越難被理解(反正電視從來不需要你思考,大家只要鸚鵡學舌就好),也更容易被社會驅趕在外。想與這個社會有連結、想讓自己被他人所理解、想讓自己的心和社會不要有這種嚴重的隔層膜的疏離感(就像書中熊太郎帶著獅子頭看世界的那種感覺),將會越來越困難。outsider在這個社會,是不是越來越難生存呢?

    讀完之後有好多好多的想法也擠在我腦中,只是現在也不知道該如何去精確的表達。這也是一本後座力很強的書,讓我會一直思考。閱讀過程就像一場盛宴,讓我很滿足。傑作,傑作,傑作。

    (850page)

    • sollers1さん
      私には、このレビューのほうが、『告白』よりも傑作だと思います。
      私には、このレビューのほうが、『告白』よりも傑作だと思います。
      2011/10/23
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著者プロフィール

町田 康(まちだ・こう)
一九六二年大阪府生まれ。作家。九六年、初小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞・野間文芸新人賞を受賞。二〇〇〇年「きれぎれ」で芥川賞、〇五年『告白』で谷崎潤一郎賞など受賞多数。

「2022年 『男の愛 たびだちの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田康の作品

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