暗い落日 (中公文庫 ゆ 2-21)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 36
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050068

感想・レビュー・書評

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  • この暗さがなんともね、イイネ!
    もうね、今どき漁村の近くの断崖から車を落下させてなんてもうね、津軽海峡・冬景色、ですんで展開的に無理があるけどね、この昭和なら許されるわけですよ。畳の一間に絨毯をひく貧しさとか、成り上がった金持ちとその強力な父親に抑圧された息子みたいな設定とか。それもまたアリなわけですよ。
    色恋沙汰も全く無し。ひたすらストイックに頑張る主人公にサラリーマンの悲哀を重ねつつも共感せずにはいられない、そんなおっさん向けの物語。

  • 国産ハードボイルドの黎明期を飾るとされる長編。あからさまにロス・マクである。重い空気感は悪くないが、悲劇の根幹にある秘密に、ひねりがなさ過ぎる。この程度の真相なら、もっと早くに看破してもらいたい。それと、自分の方は他人を信用せずに、嘘ばかり吐いてるくせに、他人には自分を信用してもらいたがる探偵の身勝手さが、微妙に神経に障る。

  • 時間があれば。

  • [ 内容 ]
    私立探偵の真木は、実業家・磯村の依頼を受けて、十九歳の劇団研究生・乃里子の行方を捜し始めた。
    調査が進むに従って、バーの女、ボーイフレンドの父と関係者が相次いで殺され、一族の暗く重い過去が真木の前に現れる。
    日本ハードボイルドの始祖による、不朽の名作。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 友人より勧められる。

    【評価】
    最初は、文章が下手…と思ったけど、下手というよりも徹底して主人公含むキャラクターたちの心情描写を避けているのか。そのせいで事実や行動の羅列に終始しているように見える。こういうのがハードボイルドっぽい文章なのかもしれない。(追記:あとで知ったところによると、「人物の感情を排した文体」そのものを指しハードボイルドというみたい)
    人物たちの悲しみや行き詰まりを心情描写ではなくあくまで外観描写(=主人公視点)で描くことで、もともと込み入っている事件の概要が見えやすくなっており、また語らず匂わせる程度にとどめることにより、彼ら自身の長年抱えてきた鬱屈や悲哀を「想像させる」手法はよく決まっている。
    ロスマク「ウィチャリー家の女」に対する反感をもって書かれたと触れ込みで渡されたので、相違点を探すつもりで読んでみた。(わたしの読解が当たっていれば)確かに、ロスマクの方で回収しきれていなかった、事件の元凶とも言えるある人物の欠陥を、物語の収束にきちんと取りこんでいる。
    やや古典であり、人物の性格などは回収対象に含まれていなかったのかもしれないので、ロスマクを責めることはできない。が、その瑕疵をあえてハードボイルド的手法と文体で描き出しつつ、本書を非常に湿っぽい形で収束させていることに、作者の意図を感じる。

    【感想】
    しかしなぜ日本でハードボイルドをやろうとするとこんなにもおっさんくさい印象になるのだろうw 私立探偵、警察、やくざ… タバコくさいな!w
    アメリカの小説だと、コロンボっぽくていぶし銀な印象なのに…。
    それから、主人公・真木の性格は、あまりハードボイルドっぽくなかった。 義侠的精神で捜査するってのは、探偵としても妙に現実離れしていて、お涙ちょうだいのムードが漂い、いやなんだよなあ。そういう意味では、(キャラクタとしてはだいすきだけど)浅見光彦も同じかも。資金もなく犯人捜す理由も薄弱。「わたし、気になります!」で済むレベルならともかく。

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著者プロフィール

結城昌治

一九二七(昭和二)年、東京に生まれる。四九年、早稲田専門学校を卒業し、東京地検に勤務したが、結核が発病し三年間の療養生活を送った。五九年、短篇「寒中水泳」によって認められ、『ひげのある男たち』『ゴメスの名はゴメス』等を執筆し、ユニークな推理作家として注目された。七〇年、「中央公論」に連載した『軍旗はためく下に』で第六十三回直木賞を受賞。ほか『夜の終る時』『志ん生一代』など著作多数、「結城昌治作品集」(全八冊)がある。九六(平成八)年一月没。

「2020年 『軍旗はためく下に 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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