クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

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著者 : 森博嗣
  • 中央公論新社 (2008年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050150

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クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 前作の流れから、主人公の「僕」はクリタだと思って読んだ。そして最後でカンナミが登場して意味が分からなくなった。実は主人公の「僕」はクサナギ(記憶が曖昧になって幻覚を見たり、精神障害が出ている)だと思って読み返すと全てがすっきりする。この本のエピローグから次のスカイクロラまでは病室にいるクサナギ(人格崩壊が起きて自分の事をカンナミだと思っている)の夢だと思う。スカイクロラの最初の方でカンナミがクサナギのミニスカート姿を見てなぜか懐かしく思う所や、クサナギの妹がカンナミと会う場面、スカイクロラのエピローグの最初の文章などスカイクロラと短編を再読してみて所どころにヒントがあり自分なりの解釈が出来た。

  • 「スカイ・クロラ」シリーズの一冊。物語内の時系列では、第4巻に当たります。過去と現在、夢と現実が交錯して、シリーズ全体が迷宮のような構成に仕立てられています。

    栗太仁朗の記憶の断片を持つと思しき元パイロットの少年は、病院から抜け出して、フーコや相良亜緒衣を頼って組織の追跡をかわそうとします。そんな彼を、なぜか草薙水素の影が追いかけてきます。

    亜緒衣は、過去を持たないキルドレの少年が、やがて記憶を取り戻すはずだという確信を抱いていました。なぜなら彼女は、ひそかに少年に対して、キルドレから普通の人間に戻るための薬の実験をおこなっていたからです。そんな彼女の思いをよそに、少年はただ飛びたいという願いだけを心に抱き続けます。

    そして、そんな彼の生き方は、キルドレを利用する社会を批判するYA新聞の杣中だけでなく、戦いに生きるほかないキルドレに同情的な亜緒衣にも、けっして理解できないものでした。ただ草薙だけが、かつての自分自身の心を受け継いだ少年を理解しており、理解しているがゆえに、もはや自分自身でなくなった彼に死を与えることと、かつての自分自身である彼によって現在の彼女に死を与えることの狭間で揺れ動いていました。

    やがて少年は、組織から逃げるために散華に乗り、パイロットとしての腕前が以前と変わらないことを証明して、ふたたびパイロットに戻ることになります。そんな彼の生き方は、すでに亜緒衣から遠く離れてしまっており、亜緒衣は彼の選択を見届けて、みずから死への道につきます。

    『スカイ・クロラ』を読んだときには、物語の静謐な雰囲気に惹かれましたが、この巻で物語の全体像が示されたことで、改めてこのシリーズが好きになりました。途中、成長することを拒否するキルドレの生き方と、地上に暮らす大人たちの生き方を対比させるピーター・パン賛美の物語になってしまうのではないかと懸念したこともありましたが、キルドレであることをやめた草薙の視点を組み込むことで、そうした安直な図式に回収されることなく、空に生きるキルドレの生き方のピンと張り詰めたような美しさを保つことに成功しているように思います。

  • スカイ・クロラシリーズ5作目.
    病院を抜けだした「僕」の逃亡劇.

    初めてこの作品読んだときは,全くわからなくなってしまって,シリーズ全体が「難しかった」というイメージで終わってしまった.当時は読解力が足りなく,また,頭の中で映像化する力の未熟だったのだろう.
    今回,再読してようやく謎が解決した.たぶん当たっているし,疑問はほとんどない.森博嗣らしいトリックだった.ちゃんと読めば辿り着けるのではないだろうか(←偉そうに).

    著者としては,あえて誤読させるつもりで書いたけれど「あぁ,多くの人には伝わらなかったか(一部の人は分かってくれたか)」と思っているのではないだろうか.試しにブクログの感想を見ていると,やはり答えが各々違ってしまっている.そして,多くの読者がこの作品で混乱してしまったがために,短篇集『スカイ・イクリプス』が書かれたのではないだろうか,と僕は想像している.「その答えは間違ってますよ」って.

    関係ないけれど,この世界でロケットってあるんだなぁ.それでも戦闘機はレシプロ.取り決めでそういう技術を「戦争」に使わないようにしているのでしょう.スポーツに近いもの,そして敵に勝つことが目的ではないこと考えると,こういうこともしっくりくる.

  • ナ・バ・テアに仕掛けられた作者の罠、語り手をミスリードさせる手法が、まさかここまでの伏線だったとは・・・・
    正直、混乱して、いまだに何が正解なのかはわからない。
    ただ1つ言えることは、私が漠然と感じていたとおり、これは草薙水素の物語だということ。
    地上での酩酊感と、空での爽快感、この2つが交互にやってくることにより、読者はますます話にのめり込んでいく。

    この作者は凄いな、とあらためて思った。

  • スカイ・クロラシリーズ、第五作。時系列も主人公が誰かかも、もう判らない…森さん自身、詩がお好きなようだから、わたしは「詩」として読もうと。内容云々より言葉のリズムとか空気感が独特で瑞々しくて好きだ(^^

  • 「スカイ・クロラ」シリーズ

    96ページからの会話が好き。最初に読んだ時は全く記憶になかったが、よく見ると、認知症について解説しているような場面がある。全体的な認識としては、子供は物事を感覚的に理解しているが、大人は言葉で説明し理解したがる?
    シリーズを読み進めて来ると勢いで読み切ってしまうところかも知れないが、じっくり読めば一番興味深く、感情的で核心を突いている巻の様に思う。

    *2008.6 *2016.10

  • 空を漂うような感覚になる文体。一通り読んだら、スカイクロラの映画も見てみたい。

  • この物語をからスカイクロラに繋がって行くわけですね。なるほど。
    結局の所全体像が分からないのが正直なところですが面白かった。でもこれ思ったより硬派なのでみんなついて行けたんですかね。飛行機の描写が多いし、感情的に乾いた表現が多くて(でもとても素敵な文章)感情移入をあえて拒否しているような印象を受けました。しかもスカイクロラだけ読んでも何が何やらさっぱりなので入口としては間口が結構狭い気がします。いや面白かったです。読んでよかった。

  • 大人と子供の違い。
    大人ってなんだろう。
    他人のために生きること?
    ではキルドレは?飛行機に乗ることに生きる価値を見出し、それが戦争という場であって、誰かのためになっているのであれば、体は子供でも、大人と呼べるのか。

    戦争って、第三者から見ると、悲しみを生むだけの行為でしかない。殺し合いは、殺されたもの、殺されたものの家族、その地域に多くの悲しみを残す。
    ただ、戦争は、生物学的にみても、種を守るための行為であり、生きるために食べ物や住むところを奪う行為とも言える。
    そして、戦争する者が、必要な行為と認識しているのであれば、それを止めることはできない。
    平和が全てというのは、押しつけなのだろうか。

    クサナギスイトと呼ばれる人物昔いて、カンナミと呼ばれるクサナギスイトに似た人物がいて。
    全ては輪廻。どこかで誰かに通じている。

  • 読み終わった直後の感想、
    え?なに?全然わからない!!でした。笑

    何回もシリーズ読み返して、スカイクロラに戻ってまた読み直して、自分なりに考えて、自分なりの答えを見つけた。つもり。
    いろんな解釈があっていいのかなあ。
    森博嗣の思惑通り。これもきっと。


    シリーズ最終話。「僕」は誰なんだろう、とずっと考えながら読んできて、最後、あーそうだったかと、もうゾクゾクした。
    わたしはこの話の「僕」はクサナギだったと思いますよ。

    もう一冊あるみたいだから、読むのたのしみ。でも、読んでも謎は、解けないんだろうなー。

  • 毎回空を飛んでみたくなるお話ですが、いつまでも死なないとなると周りとかだんだん関係なくなっていくものなのかと考えさせられます。それともそういうように薬で制御させられてるからなのかな。親とかもみんな見送ってしまうだろうし、記憶も薄れていくのか今だけになっていくのか興味深いです。ただやはり私は戻れるなら期限付きの人生がいいですね。

  • 僕 って 誰?
    謎が解けていくのだが、それ以上に???が頭の中に渦巻く。
    続き読もう。

  • 内容はほとんど理解できない。
    感性で読むべき作品だと思う。
    決して嫌いではない。

  • 話し手が誰なのか混乱する。

  • この巻の主人公はいったい誰なのか、クリタなのかクサナギなのかカンナミなのか、最後の最後でやっと分かるんだけど、ちょっと自信がない。主人公が混濁した意識の中でみる幻覚が最終的にはぜんぶ空を飛ぶことに繋がっていて、それだけ強くただ空を飛びたいと思っている気持ちが伝わってくる。

  • もう飛べない空の下で追っ手から逃げ続ける。ドロドロした地上を。
    取り上げられる度に渇望していた空。
    子供が玩具を返してと縋るように渇望していた空。
    少しずつ大人になり、折り合いがつくようになって、でもやっぱり諦められなかった空。
    耳の奥で聴こえる声。

  • 【怖いかい。信じる事は?裏切る事は?だけどそれも全部君の罪だから。ちゃんと遂行するべきだ。】

    成長とは、育てる側の衰退でも有る。そのことに気が付いたとき、人は前にも後ろにも動けなくなる。それがスカイクロラ現象だ。もちろん嘘である。でもさ、よく考えてごらんよ。僕らだって心は何にも変わってない。見てくれなんてそもそもが両親からの借り物なんだから。僕はぞっとするね。それでも、やっぱり、人だから仕方のないことだと君達は言うのだろうけど。

  • 精神的にあっちにイッている人の状況を読み解くのは難しいー。元々性別をわざと隠した書き方をしてきたシリーズだけれど、飛行機乗りなんて最も性別関係ないのがよくわかったかもw。

  • 誰目線で語っているのか最後まで悩まされる一冊。これを読むと、また最初から読み返さなければと思ってしまいます。

  • 僕が誰なのか。いろいろな視点で読むことができた。
    謎が解けないまま終わってしまったが、時系列でスカイ・クロラを読むことで理解できるのだろうか。

  • クリタの記憶を失いカンナミとしての「僕」?。クサナギの一人称も僕で本当にややこしい。クサナギは病院で過去に一度カンナミと会っているはずなのに2人ともそれを忘れてるような会話があるのは、キルドレは過去の記憶が曖昧だから…?謎が増える。。サガラに何をされたかもはっきり分からない。

  • ひさびさに読み直したらわけわかんね(^◇^)クサナギなの?え? もっかいスカイ・クロラよみなおす(・ω・)

  • どこまでもはてしなく、
    リズムとともに続くブルー。
    見ろ、これが僕たちの場所。

    どこまでも細く、
    蛇のようにうねるスモーク。
    そう、あれが僕たちの墓。

    太陽に彩られたエッジ、
    切り込んでいくウィング。
    落ち着かない空気がジルバを踊る。
    光り、震え、揺れ、鳴り、叫ぶ。

    すべてが纏いつき、
    すべてが剥がれていき。

    美しさも醜さも、
    眩しさに色を失い、
    区別できない、なにものも。

    それでも、
    目を閉じるな。

    真っ白な光の中に、
    お前が撃ち込むものがいる。

    必ずいる。

    いつでもいる。

    どこかにいる。

    目を閉じるな。
    眠ってはいけない。

    今までに見たことがない美しい
    翼がきっと一瞬だけ現れる。
    これまでに思ったこともない美しい
    ループを描くだろう。

    その一番美しいものこそ、
    お前の敵だ。

  • ついにシリーズ最終巻。この透明感、純粋さ、その美しさをどう表現したらいいのだろう。難しい哲学が隠されているだろう。でも感覚をつかんで空気を感じとれば一緒に飛べる。それでじゅうぶん。これからシリーズ1作目であり時系列では最後にあたるスカイクロラをも一度読まねば。

  • スカイ・クロラシリーズの最終巻。

    時系列では1巻のスカイ・クロラの直前と思われる。

    シリーズ構成ではスカイ・クロラが時系列の最後にあたり、
    2巻以降はクサナギスイトの過去から主人公を変えながらスカイ・クロラへ進んでいく。

    読み終わったとき「やられた」と思った。

    クレィドゥ・ザ・スカイを読む前と読んだ後では1巻のスカイ・クロラの解釈が変わる可能性がある。

    この巻の主人公は記憶がない。(一時的に忘れているか、消されたか。)
    前巻のまま読み進めれば主人公はクリタジンロウ。
    フーコもクリタと認識している様子。
    しかし、サガラの「あなたはキルドレに戻った」というセリフで
    、「僕」はクサナギスイトである可能性が浮上。
    そしてソマナカは「僕」をクサナギスイトに似ているとしながら、
    「僕」をカンナミと呼んだ。

    では、スカイ・クロラのクサナギスイトは誰なのか?
    カンナミがクサナギスイトなのか?

    もう一度、スカイ・クロラを読み直そう。
    2度楽しめるとは思わなかった。
    楽しみだ。

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クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)の作品紹介

今だけがあって、それだけを考えていられたら良いのに。未来だって、せいぜい明日か明後日くらいしかなければ良いのに-「僕」は病院を抜け出し「彼女」の車で地上を逃げる。二度と空には、戦闘機には戻れないと予感しながら。永遠の時を生きる子供たちを描く、現代の寓話「スカイ・クロラ」シリーズ。

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