自民党―政権党の38年 (中公文庫)

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著者 : 北岡伸一
  • 中央公論新社 (2008年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050365

自民党―政権党の38年 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戦後70年を振り返る夏の自由研究、政治編。自民党政治=戦後政治史を概観した秀作。
    自民党の成立には、冷戦・中選挙区・派閥が三位一体で関わっている。(社会党に対抗するための保守合同、かといって圧倒的多数はとれない中選挙区制で多数をとり続けるための派閥制度)。
    もともと派閥は、カリスマ性と明確なビジョンや政策をもったリーダーによって率いられていた。この派閥を拡大する能力が権力への近道となり、その行き過ぎが金権政治となって国民の信頼を損ない、また派閥の組織維持自体が目的化してきた。国際情勢の複雑さが増し様々な責任を求められる時代に、自民党は硬直化し、大胆なリーダーシップを発揮できなくなった。
    本書の取扱い範囲は宮澤内閣までだが、その後、安倍、福田、麻生(ついでに鳩山)内閣が1年交代したあたりなど、本書に登場する彼らの父・祖父と比べた見劣り感には絶望感を覚える。(政治家の経験、人脈、金脈を継承するための二世議員の増加は必然であり、60年代から既に始まっていた)。
    さて本書では、「小選挙区における投票は、実は主として党首に対する投票なのである」と指摘されている。このリーダーで、この政策で政治をやるという明確な方針の提示が求められている。そうして選ばれた現・安倍内閣の源流をたどれば、当然祖父岸信介となるのだろう。本書では、第3代総裁の岸を事実上最初の総裁ととらえている。また保守本流の定義を「日米協調路線の維持強化」とし、その確立を吉田路線と岸路線(安保改定)の融合に置いている。なるほど、さすれば安倍内閣の安保改定路線は、まさしく保守本流中の本流、と言えるようだ。

  • 戦後政治を保守本流の点から考える上で良い一冊である。岸信介が確立した経済重視+日米協調いうスタンスがどのように続いていったか、どのように変化していったか。
    派閥政治においては、政策・人物本位の組閣は難しかったものの、派閥均衡という枠組みの中で政治課題にアタックしたのもまた事実である。そして「政治」に長けた有為なリーダーを輩出できたのもまた事実であり、最近の「言葉」「雰囲気」に長けたリーダーとはまた違うものではあるだろう。
    この本を読んでいて心配になるのはポスト安倍である。派閥の衰退と官邸強化に伴う閣僚人事によって、次のリーダーが全く見えない。良くも悪くも政策・人物本位であり、政策対立がわからない。
    日本政治の来し方を考えさせられる一冊である。

  • 自民党が包括政党化してきた歴史を追う秀作。

  • 自民党政権は、冷戦と中選挙区制が前提という主張には、強く同意。

  • 【読書その18】先日東京大学で最終講義をされた北岡伸一氏の著書。最近は政治関係の本を読むことが多いが、これまで読んだ政治関係の本でも非常に面白かった本の一つ。
    本著では、自民党の55年体制構築から細川内閣成立による自民党下野までを分析。
    自民党の歴史は戦後政治の歴史。様々な法律の成立の背景にある政治状況等を学ぶ上で非常に有益。

  • 僕が読んできた中で、自民党の歴史を学ぶ上では最高の読み物です。政治の裏側とその功罪がわかります。
    人文学部経済学科一年遠藤準也

  • 保守合同から55年体制が崩壊するまでの自民党の歴史を綴っています。自民党の功罪を知る上で有用の読み物だと思います。

  • 自民党のおおまかな歴史は分かった気がする。ただ、今まであまり自民党内の具体的な政治家について勉強したことがなく、知らない人がいっぱい出てきて細かい部分に関してはあまり頭に入らなかった。これから勉強していく上での基礎となってくれたらいいなあと思った。

  •  現・東京大学法学部教授(日本政治史)の北岡伸一が、1995年に読売新聞社から出した「20世紀の日本」シリーズの第1巻として出したものの文庫化である。解説は飯尾潤(政策研究大学院大学教授)が担当している。ちなみに同シリーズについては、出版社は異なるものの既に五百旗頭真『占領期』が講談社学術文庫で文庫化されている。今後も同シリーズの文庫化が進むことを期待したい。

    【構成】
    序章 自民党政治の歴史的背景
     1 戦前の政党政治
     2 占領下の政党政治
     3 保守合同への道
    第1章 自民党政治の確立
     1 鳩山内閣と石橋内閣
     2 岸信介と安保改定
    第2章 自民党の黄金時代
     1 池田勇人と所得倍増政策
     2 佐藤栄作と沖縄返還
    第3章 自民党政治の動揺
     1 田中角栄と列島改造
     2 三木武夫と保守政治の修正
     3 福田赳夫と全方位外交
     4 大平正芳と新しい保守のビジョン
    第4章 自民党政治の再生
     1 鈴木善幸と和の政治
     2 中曽根康弘と日米同盟の強化
    第5章 自民党政権の崩壊
     1 竹下登と税制改革
     2 海部俊樹と湾岸危機
     3 宮沢喜一と自民党政権の崩壊
    おわりに 五五年体制以後の自民党

     序章で、自民党結成前史が触れられた後に、55年体制が事実上定着した岸内閣までの草創期、池田・佐藤長期政権の黄金期、田中内閣以後の変容と凋落と各時代ごと戦後内閣史が転回されている。その叙述の中心は、派閥間のバランスに留意する各内閣の成立過程にある。

     自民党という戦後日本史に現れた極めて特異な政党について、その長期政権たりえた要因を探るにはその歴史的経緯をつぶさに検討することが必要なのは当然であろう。確かに著者が巻末において指摘するように、1960年の安保闘争に見られたような激しい与野党対立は、1960年代以降自民党内の派閥間対立に向けられ、そして1980年代にいたっては派閥内対立によって総裁=首相選定がなされるようなるに至った。政策決定過程の矮小化が、政治不信=自民党不信を決定的にし、1993年の政権交代が行われることになった。

     本書は、そういう自民党史の概説としては非常にわかりやすくスタンダードなものだと思う。しかし、逆に言えば幾分ありきたりで面白味に欠ける部分があるのも否めない。田中角栄のロッキード事件を頂点にする自民党の汚職事件は枚挙に暇無く、自民党の得票率は右肩下がりであったにもかかわらず、なぜ自民党が38年もの間政権党であり続けたのかという問いについては、自民党内部の分析だけでなく、選挙時の動員、野党の動向、国際関係等々自民党以外の外的要因が必須になるのではないだろうか?(本書では後援会システムについての言及はあるが、そこに割かれている紙数は少ない)そういう包括的な意味での自民党史を深化させた研究は今のところ見あたらない。もちろん一朝一夕にそのような著作ができあがるわけではないだろうが、これは戦後日本政治史研究が明らかにすべき重要な課題だと思う。

  • 大平正芳の主張がしっくりく来た。実務的かつ、現実主義だから。その一方で、飛躍も必要というのも分かる。佐藤とかは、その部類だろう。ただ、飛躍出来るのは限られた人間だけのような気もする。

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