足利義政と銀閣寺 (中公文庫)

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制作 : Donald Keene  角地 幸男 
  • 中央公論新社 (2008年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050693

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足利義政と銀閣寺 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • ドナルド・キーンさんが読み解く「足利義政」。

    応仁の乱の真っ最中も、何も政治的な対策をすることなく自らの趣味に耽り、「無能な将軍」として歴史に残っている足利義政。
    しかしそんな彼を、キーンさんは「日本人に永遠の遺産を残した唯一最高の将軍」として読み解く。

    丁寧に歴史の襞を紐解いていくキーンさんの筆致はとても繊細で、情感に富んでいる。
    政治家・武士としての能力がなく、また私生活においても幸せだったとはいえない孤独な将軍の、頑固にして至上な「芸術への情熱」が、この一冊を通して伝わってくる。

    義政は確かに、将軍としては無能な人物であったのだろう。
    しかし、だからと言って即「気弱」「流されやすい」「意思がない」となるわけではない。むしろ義政は、何があっても自分の「芸術」への思いを貫き、また完璧にするために、不断とも言えるような情熱を傾け続けたようだ。
    この本を読むと、その義政の芸術への飽くことのないこだわりが、何の無理もなくごくごく自然に伝わってきた。

    その一貫した、自分を偽らない「こだわり」を持って、義政の芸術は現代までその形式を保ち、また受け継がれ、あらゆる形式の基礎となってきたのだろう。
    それは確かに、世俗的には全く役に立たないものであったろう。しかし、そこに生み出された「形式」が、現代にあってなお「基礎」であると同時にひとつの「完成形」足り得ることは、驚くべきことであると、私も思う。

  • 足利義政の評価は本著最後にある一文に集約されるのだろう。「日本史上、義政以上に日本人の美意識の形成に大きな影響を与えた人物はいないとまで結論づけたい誘惑に駆られる。これこそが義政の欠点を補う唯一の、しかし非常に重要な特徴だった。史上最悪の将軍は、すべての日本人の永遠の遺産を残した唯一最高の将軍だった。」
    足利義政の生い立ちから将軍になるまでの史実の理解は勿論のこと、今なお日本文化として生き続ける華道、庭園、茶道等を東山文化に源流とすることを改めての発見できたことは大きな収穫。

    京の文化が応仁の乱により、地方まで伝播された事実も興味深い。

    以下引用~
    ・義政の天賦の才は人の才能を見抜く稀有な能力、さらには社会的地位に関係なく才能ある人間を進んで召し抱えるという形で発揮された。
    ・老子は、「五色は人の眼をして盲ならしむ」と言っている。色彩に気を取られると、物の真の姿を見つけることができなくなるという意味である。一方、墨一色で描かれた絵には、すべての色彩が含まれていると考えられた。
    ・花瓶の中の花が、芸術の一形式になり得るということに最初に気がづいたのは、足利義政の時代だった。この発見が、花道(華道)芸術を誕生させた。
    ・この時期の最も有名な二つの庭園は、たまたま今日もなお見ることができるという理由だけでそうなったのかもしれないが、竜安寺と大徳寺大仙院の庭である。
    ・義政は、単なる優雅な気晴らしに過ぎなかったものに将軍家のお墨付きを与え、儀式化された茶道へと発展させる道を開いたのだった。

    以上

  • 政治、私生活ともに上手く行かなず、歌人としての素養を除けば芸術の才能も凡庸。そんな足利義政ですが、審美眼に優れ、芸術の世界に置いては一芸があるならば身分を問わず重用し、そうして重用した人物を排除するような動きがあれば強い態度で持って対応したそうです。

    こういった一連の姿勢が東山山荘、銀閣寺などの和風建築に置ける一つの形を作り上げ、またその部屋を彩る生け花、そして茶の湯などを生み出すことになります。こうした義政の美意識は、その後の日本人の美意識の形成に大きな影響を与えることになります。

    金閣寺に比べると銀閣寺は地味で私自身はあまり興味が無かったのですが、この本を読む事で銀閣寺の存在を大きさを知る事が出来ました。

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