細菌と人類―終わりなき攻防の歴史 (中公文庫)

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制作 : Willy Hansen  Jean Freney  渡辺 格 
  • 中央公論新社 (2008年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122050747

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細菌と人類―終わりなき攻防の歴史 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 人類は伝染病ととても長い間を戦い続けてきた。
    最大の敵のひとつにペストがある。その語源はラテン語のペンティス(Pestis)、サンスクリット語の(Pyi)からきており、流行と破滅を意味する。興味深いのはペストはあらゆる病にその名を覗かせる点だ。小ペスト、赤ペスト、黒ペスト、白ペスト。あらゆる伝染病の代名詞だ。
    戦争において時に戦死者より病死者が上回る。ナポレオンの大陸軍を破滅に追いやったのは、敵軍ではなく、発疹チフス、赤痢、腸チフスなどの伝染病であった。戦地という劣悪な衛生状態は病原菌には大好物だった。皇帝軍に対する真の勝利者はチフスであったのだ。
    そして最後は人類が人類の敵になる。かつてアラビアの医師たちからペルシアの火と恐れられた炭疽病は今日では軍用化可能なすべての細菌の中で最も高い地位を獲得している。「貧しい国の原子爆弾」だ。大量生産が極めて安価で簡易に可能な炭疽菌は恐れない理由はない。
    ペニシリンが発見されるまでの梅毒の治療は悲惨の極みであった。水銀やユソウボクが好んで用いられたが常にリスクを伴い効果は不完全であった。病に寄らずしてその治療によって死んだものもいる。時に性病は恥ずべき病としてその患者が迫害を受けることもあるのだ。
    中世において、協会はハンセン病患者に見せかけの葬儀を執り行った。穴を掘り、一生手放すことのない外套を着た患者がそこに入る。頭の上に三杯の砂をかけ、神父は言うのだ。「汝はこの世で死に、神の下に生まれ変わらんことを」
    エイズやSARS、細菌と人類の戦いはいまだ終わる気配を見せない。伝染病の解明に果敢に挑んだ医師たちに敬意を表すると共に、誤謬と偏見に虐げられ亡くなったすべてのひとに哀悼を捧げたいと思う。

  • 読了。

    【購入本】
    細菌と人類 終わりなき攻防の歴史 / ジャン・フレネ ウィリーハンセン

    昼飯とか休憩中などの食事中に読む本ではありませんね。読んでましたけど…w

    ペストコレラチフス赤痢から、淋病梅毒、炭疽病やハンセン病とあらゆる感染症の歴史。
    何時頃からある病気で誰が発見してどう解消されていったか。
    という本です。
    やっぱ恐ろしいですね。
    当時は特効薬もないので死を意味しますからね。
    現代では少なくなりあんまり感染しないとはいえゼロではないのでね。
    日本人旅行者もマラリアで亡くなったという話も聞きますしね。
    この時代でよかったねという感じもします。
    とはいえ攻防の歴史。
    新しい感染症もあるわけです。エイズとかSARSとか。
    また新たに出るかもしれないので攻防の歴史はまだまだ続くかもしれませんねぇ。

    たいへん勉強になりました。

  • よく〇〇時代は良かったという人がいるが、これ読んでから同じ事言えるのか。
    治療のためにと水銀を擦り込まれても同じ事を言えるのか。

    シミュレーションゲームで兵士が死ぬのは戦闘がほとんどだが、現実に合わせようとすると病気で死ぬ。
    皇帝軍に対する勝利者はチフスであった。

  • ペスト
    コレラ
    腸チフス、その他のサルモネラ症
    細菌性赤痢
    発疹チフス
    淋病
    脳脊髄膜炎
    ジフテリア
    百日咳
    ブルセラ症(マルタ熱)
    結核
    梅毒
    破傷風
    ボツリヌス症
    炭疽病
    ハンセン病

  • 網羅的でよいけど、少し、広く浅くに過ぎる気がする。

  • ペスト,コレラ,腸チフス,赤痢,淋病,ジフテリア,結核,梅毒,破傷風,炭疽病,ハンセン病など,さまざまな感染症の歴史がまとめられている。古くは異なる病気が同じものと見なされたり,その記録を探るのも困難があろう。

    病気の歴史は,病気とのたたかいの歴史と同義だ。その解明と治療に向けて,多くの科学者の努力がある。必死に探る姿から,目の前の病人を救いたいという思いが伝わる。栄誉欲による探究のものもあるのだろうが,それを感じさせない献身的な取り組みがある。

    ただその一方で,今から考えると人権を損なうような研究方法もある。また,多くの犠牲の上に,研究の成果があることも事実だろう。

    いわれのない差別も,感染症には多くあった。特に,ハンセン病については,日本では2008年まで隔離政策が続いていた。はじめは未知のものに対する恐怖心から,それが徐々に固定化していく。現在でも,エイズなど新しい感染症に対する偏見はなくならない。また,新型インフルエンザに対する世の中の反応でも,そのようないわれのない差別が見え隠れしている。何と愚かなことだろうか。

    また,これらの病原体を使った生物兵器の開発,実験が行われている。自らを犠牲にしてまでも,病気の解明や治療法の開発に力を注ぐものがいる一方で,その知識を使って人殺しを考えるものもいる。人類の醜い心とのたたかいは,特効薬がないだけに難しい。

    間違ったことを繰り返さないためにも,過去の事実を知っておく必要がある。また,未知のものに対する過剰な反応を避けるためにも,過去の感染症の歴史と,それが起こるしくみ,さらに治療法などについて,知ることは大切だと思う。過去の知識があれば,新しい感染症に対しても,冷静に対応できるものと信じたい。

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