十二人の手紙 (中公文庫)

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著者 : 井上ひさし
  • 中央公論新社 (2009年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051034

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十二人の手紙 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 井上ひさしは夫が好きで、よく薦められるものの、ちゃんと読んだのは初めてだったかな?
    (以下、ネタバレというほどでもないですが、未読の方は先に、先入観なしに作品を読む方が良いと思う。)

    文庫本の奥付けには1980年初版発行と書いてあり、本当に初めて世にでた年とどれくらいずれがあるかはわからないけど、まあだいたいそのころなのだろう。時代物というには新しいけど、現代物としては読めない、中途半端な時代感覚ーー読み始めはこれにひっかかって、ちょっと入りにくい。
    でも、手紙形式だけでストーリーを紡ぐというスタイルは見事だし、またその語られるストーリーのエログロ(?)さが適度に刺激的で、ワイドショーで他人の波乱の人生をついつい追っちゃうような心理で、面白くなってくる。(ワイドショーとちがって、少なくとも建前上は架空の出来事なので、不必要に胸を痛めることもないし。)
    それだけでもじゅうぶん面白かったけれど、終章がまた素敵でした。どう素敵かということは解説の扇田昭彦さんという方が書いている通り。解説でのカフカの引用「文学は祈りに傾く」という言葉もなるほどなあと思った。
    うーんじわじわ来るなあ…。

  • プロローグを読んだ時、手紙っていいものだと思いました。こんなに綺麗な日本語、久々に見た気がしました。昔の作品だから、と言えばそれまでですが、感情や状況を相手に伝えようと言葉を選んで書く手紙は、言葉の乱れも最小限になるのかもしれません。
    さて、そんな風に手紙の良さを再確認しながらほのぼのと読み始めたら、プロローグからとんでもないことに…。
     どの話(手紙)も印象に残るものですが、特に『桃』は考えさせられました。どちらかというと悲劇的な話が多いですが、エピローグの様々な仕掛けには唸らされました。読んで良かったです。

  • 「手紙」から展開していく12人の物語。

    ストーリーがテンポよく進んでいき
    読んでるほうに隙を与えたところで
    裏切る!

    本にも、こういう書き方があったのか!と。

    今までこんなおもしろい書き方の本に
    出会ったことがありません。

    一つ一つの物語が意外と濃く、読み応えあります。
    (難しい、という意味ではありません。。)
    何度も読み返してしまいそうです。

    仙台が舞台のストーリーもいくつかあるので
    余計にページが進みました。

  • キョンキョンの書評を見て気になってチェックしてた本。
    それがなかったら、きっと手に取らなかった本。

    結果的に、2016年で一番印象に残った、出会えてよかった本になった。
    今年はあんまりこれ!って本に出会えなかったな~。。。と思ってた最後の最後に。

    手紙だけで構成されたお話。
    だから語られない空白の部分が多いはずなのに、自然と想像力がいつもより働いて、景色が浮かぶ。
    特に「赤い手」はショッキングだった。
    ほとんどが公的な書類。
    なのに1人の女性の一生が語れてしまう。

    今だったらメールとかLINEになっちゃうのかな?
    それはそれで成り立つし面白いかもしれないけど、
    あの時代の手紙の一方的に一気に気持ちを伝える感じとか、タイムラグが物語をおもしろくしてるんだろうな。

  • 手紙。短編集。『小泉今日子書評集』にて。
    いろんな”手紙”によって明らかになるその人の様子。なかでも「シンデレラの死」が印象的だったー。最後のエピローグで、これまでの短編に出てきた人たちがいろいろ出てくる。

  • 読み始め…16.11.5
    読み終わり…16.11.6

    さまざまな身の上の人が書く手紙。
    近況を綴り、気持ちを伝え、返事を書く。
    まったく別人の十二人の手紙でありながら
    ところどころに共通する人物が見え隠れする。

    他人の手紙を読むなんて
    なかにはこんなこと書いちゃっていいの??
    という際どい内容もあったりして
    そんな手紙を読むだなんて
    見てはいけないものを盗み見しているような
    後ろめたさと
    いけないことをしているとわかりつつも
    ぞくぞくわくわくとするその快感に
    もう後にはひけなくなる....

    こんなにいくつもいくつも立て続けに
    人の書いた手紙を読ませられると、
    他人の生活を盗み見た罪悪の罰に
    いつかどこかへ
    突き落とされてしまうのではないかという
    恐怖に怯えつつ、なのにその恐怖にさえも
    快感を期待している自分がいて
    読むことがやめられない...

    人の手紙を読むというのは罪ですね。

    まったく接点のなかった十二人の
    手紙を書いた主たちは偶然ににも
    ある日ある場所に集まることになる。。
    そして事が起きてしまう――

    ペンフレンドのなりすましなんかは
    今でいう出会い系?と通じるところがありそう。

    昭和の時代の古めかしい
    ノスタルジーな空気が心地いいです。

    表紙カバーの
    封筒から覗いているカードが意味深....。

  • とっても面白かった。手紙形式って、嘘かほんとかも分からないので、ドキドキする。

  • 書簡形式で構成されている短編集。一遍一遍は勿論秀逸であったが、最後のエピローグでそれらがつながるのはお見事としか言いようがない。これを機に他の作品も読んでみたい。

  • 短編連作
    中身は手紙という形式をとっていて、一人語りの場合もあれば、双方の返信がある場合もある
    ミステリーっぽいのは楽しいけど、どういうこと? みたいに中途半端な形で終わっているものもあって、バラつきがあるかな
    最後の1話が総まとめみたいになっているので、それはよかった

  • 背景の時代がふるいので、少し物足りなさは感じたが、手紙とゆう手法のため、読みやすかった。
    比較的、悲しい話、結末が多くて、少し後味の悪さみたいののは残る。

  • 十二の手紙に、エピローグ。
    手紙が語る物語。人情話や恋愛話、またミステリーにクライムサスペンスとさまざま。
    エピローグまできて、もう一度最初から読み直し。
    ありがとう、井上ひさし!

  • 書簡形式。
    手紙と手紙の間に何があったのかとか、手紙の内容は真実なのかとか、想像しながら読めるのが面白かった。
    画家の男とその妻の手紙から成る「鍵」が一番好き。

  • 手紙のやり取りで語られる12の物語に加え、エピローグでそれまで登場した人たちが集結するという、趣向をこらした作品。
    それぞれの短編ごとに仕掛けがあり、なるほどねと楽しめる。
    とくに、出生届から始まる一連の書類で一人の女性の生涯を語る「赤い手」の巧みさには脱帽した。また、エピローグで、みんなのその後の人生がほんのりとだけうかがえる点もよかった。
    単行本の発行は1978年とあるから、かれこれ37年前ということになる。が、その古さも含め、今どきの作家にはない味わいのある作品だ。

    井上ひさしの作品を手に取ったのは、おそらく学生時代に『ブンとフン』を読んで以来のこと。舞台はその昔、「小林一茶」や「国語元年」を紀伊國屋ホールで観た記憶もあるのだが。
    何より作者の代表作『吉里吉里人』が未読だったことを思い出し、ちょっと恥ずかしい気分に。そろそろ手を出してみようかな。

  • 全て手紙だけで構成された短編集。
    あまりネタバレするのもよくないと思うから、とりあえず読んでみてほしい。
    途中で「ん?」と思い始め、最後ではっとするはず。

    短編作品1つ1つもおもしろいだけでなく、本としても面白かった1冊。
    「赤い手」「ペンフレンド」「泥と雪」辺りが好き。

  • 読書を意識するようになって?初めて読んだ井上氏。構成は変化に富んでいて確かに飽きることはなかったのだけど、話は哀しくて切なくて出口が見えない。そして、その主は女性。井上氏は男性だからね。

  • 【手紙には書けないこと、封筒に一緒に入れておきました】

    一度も飽きずに最後まで読むことができた。どの作品も不安定で蜃気楼のようだった。僅かな切手代が運んだ、誰かの世界は全く未知なる世界へ届けられた。

  •  手紙という形式で物語を進める短編集。手紙上のやりとりから、伏線的に真実は進んでいて、あるタイミングで暴露される推理小説的な趣のある作品。
     登場人物は、キャバレーのホステスになった修道女、文具店につとめる女性、家で少女など多彩で、ストーリーもほっこりとしたものからぞっとするものまで。手紙だけで表現するからこそ、文才のセンスが発揮されていてぐっと引き込まれるのが不思議だ。言葉を選ぶことの大切さ、人に何を伝えたいか、どう書いたらどう伝わるかまで読み切る作者の凄さ。自分が文章を書くときにも、言葉一つ一つを吟味して、その言葉がどのように相手に伝わるかということを改めて意識しなくてはならないと感じた。
     最後のエピローグ「人質」で、手紙上の登場人物が一堂に会するあたりはやられたという感じ。文豪による、非常に面白い挑戦だ。

  • 一つ一つ独立した短編だけど,最後が面白くなっています。星新一の「声の網」もそんな感じで似ているかな―と思いました。面白いです。

  • 井上ひさしさんは、もちろん有名な方なので昔から知っていました。

    「吉里吉里人」を読んでみたいなあと思って、本屋で手にとって、ちょっと読みにくそうなのでやめて……を繰り返し、結局今まで井上ひさしさんの本を読んだことがありませんでした。

    だけど今回のこの本は、私が好きな手紙方式。
    立ち読みしてみたら面白そうだったので買ってみました。
    当たりでした、面白かったです。
    やっぱり好きです、手紙方式(正式にはなんて言うんだっけ?)。

    最後の最後で今まで出てきた人たちが現れるとは思いもしませんでした。

    これをとっかかりに、もっと井上ひさしさんの本、読んでみたいです。

  • 連作とまではいかないけど独立した短編でもなく。
    できにバラツキはありますが、まあ薄いし読みやすいので・・・通して読むと、最後の話で「ああーこういうことがしたかったのね」と納得できるという、ちょっと変わった戯作家ならではの趣向かな。

    ■鍵
    谷崎よりずっと健全に楽しいです^^
    「聾唖者に”同音異字”が存在しない」とは、
    言われてハタと目からウロコ。

    ■桃
    分限者の浅知恵とでも申しましょうか。
    状況は違えど、日常生活で気付かすにやっていそう・・・
    人の振り見て我が振り直せ。

    ■里親
    言葉遊び・・・で片付けるには悲惨な結末。

    ■泥と雪
    離婚届に判子を押させるカラクリ。ここまでするか!?

  • 作品すべてが手紙、というだけで新鮮な気持ちで読めた。作品そのものも古いので、メールやネットが出てこない人間関係って、いいなぁ。連絡手段は手紙だったんだよなぁ。。


    確かに最後の手紙で繋がる所は良かったんだけど、昨今のミステリーをずっと読む読者には若干物足りない…かも??


    奥深い日本語の表現が味のある作品です。

  • コレ、すごいな。二度読み必至。
    手紙の往復だけで構成された小説はいくつかあるが、他に公的な申請書だけしかない章もある。とにかく斬新なのだ。
    登場人物の絶妙な重なり具合と、エピローグで全員が顔を合わせたときの衝撃。
    次のページには、どんなドカン!がくるのかと手に汗握り、イチニノサンと勢いをつけて紙をめくる。
    最初から最後まで、一行の無駄もない、素晴らしい作品。

  • 平成26年10月19日読了

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十二人の手紙 (中公文庫)の作品紹介

キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙など、手紙だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ。

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