夜をゆく飛行機 (中公文庫 か 61-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 812
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122051461

感想・レビュー・書評

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  • 【八日目の蝉】【対岸の彼女】の角田光代だからなーと手に取った一冊。
    なので、心に「ズシン」と来るやつを期待してたんだけど…拍子抜けと言ってしまうのもよくないか、自分が読みたいと思ってたような小説ではなかっただけの話。
    四人姉妹のお話、とも言えるし、四人姉妹の末っ子のお話とも言える感じで、とある四人姉妹の家族の、様々な事件や何気ない日常が書かれてる感じ。
    女家族で育った人が、ぼんやり読むのにちょうどいいかなっていう感じでしたー( ´ω`)

  • やっぱり角田さん小説は、いい。姉妹それぞれの些細だけどドラマチックな日常が素敵。

  • 4姉妹がでてくる。

    淡々としてるけどこういう雰囲気好き。
    お互いを「ちゃん」付けで呼び合う姉妹、なんかイイ。

  • 谷島酒店の家族を描いたじんわりと切ない物語。

    こういう、特にハッピーエンドでもなく、何かの解決があるわけでもない、ふわっとした終わり方の作品が、実はかなり好きだ。

    人間臭くて、どうしようもない、感情のやり場に困って、人を傷つけて、自分も傷ついて。
    成長しているんだか、どこかへ落ちて行っているんだか…。
    だけど、それが「人」だと思う。
    家族の温かさと、結局は一人で生きていかないといけないという構図が対照的でもあり、切なかった。

    おばぁちゃんの死を前に、それを「ふつうのこと」にする為に、谷島酒店新装開店オープンを決行した家族の姿が、なぜか深く印象に残った。
    「これこそが、本来の弔いかもしれない」と思う、里々子の言葉が印象的だった。

  • 12.11.16
    所々共感できたりほっこりしたりもあるけど、どうしてもだらだら感が好きになれなかった。

  • 飛行機に乗ったことがなくても、
    大空高くを飛ぶ飛行機を数え、
    願い事を心の中でとなえる。

    そんな、なんでもない、ほんの小さなくせや習慣の日常を、
    大きく切り取ったおはなし。

  • 角田光代さんの作品は、だいたいにしてオチがない。だからこそ、リアルなんだと思う。
    この作品も、酒屋を営む家族のどたばたで、そのまま余韻を残して終わっている。
    小説ではイベントともいえる事件や、なんだか誰かの生き方をかえてしまいそうな出来事がない。
    常にざわざわ波が押し寄せる、そんな感じ。
    山場がないかわりに、山場まで持たせるエピソードもない。言い換えれば、どの場面も何の伏線でもない。だから楽しい。
    小さな出来事や、誰かのつぶやいたセリフ、そういう所から、何かに置き換えられそうなものを救いあげてる。
    どこかにいそうな、騒がしい家族の内側を覗き見してしまった気分。
    虚しいようで、読み終わるとなぜだかほっこりする。

  • 4姉妹の末っ子である主人公が、あまり真面目ではなく、のらりくらりと生きているところが角田先生らしい小説だと思う。「好きになってくれたから好きになる」というのは違うなと、この本を読んで勝手に決めつけてます。

  • 2つのことを感じ取った。幸せな中での孤独感と、ゆるやかな変化と成長。

    母親は専業主婦でいつ帰っても、いつも家にいてごはんを作ってくれて、父親もちゃんと毎日帰ってくる。兄弟もいる。私の子供の頃はそんな感じだった。子供にしてみれば恵まれた環境と言えるのだろう。でもそんな中でも時折孤独を感じることがあった。それは、たまたま帰った時に家人がいない場合や、何かの拍子に静かな一瞬が訪れたりした時である。急に一人ぼっちで世界全体と向き合うような感じになる。遠近感とかも何かおかしくなって、近くにあるものを妙に大きく感じたりとか… あの感覚は何だったんだろう。『夜をゆく飛行機』を読んで思い出したのは、そんな懐かしい感覚だった。里々子に時折訪れる孤独の感覚は私にはとてもなじみのあるものだった。

    他の姉達だったり親だったり親戚に起こる出来事や会話でこの小説はできている。自分のことを振り返った時に、私の世界もとても身近な人による会話や出来事でかなりの部分が埋まっていたのではないかと何となく思いながら読んでいた。そして、自分と近しい家族とのつながりを感じるのはまさにお葬式の時なのである。ミハルちゃんが亡くなった後の時間をやり過ごす場面の感覚も、自分にはとてもわかるものだった。こういう感じを書いてくれる作家がいるのだなと嬉しくなる。

    そして、訪れる里々子への変化。ぴょん吉のことを忘れていたことに気づくところ。何かを忘れて、新しいことへ踏み出す。激動の人生を送っていないという自覚がある私のような者からすれば、こういうささやかな出来事はどれも愛おしい。

    折にふれて、いろんな場面を思い出したい小説。家族にもすすめてみようかな。

    • takanatsuさん
      花鳥風月さんのレビュを読んで、私ももう一度読みたくなりました。
      「遠近感とかも何かおかしくなって、近くにあるものを妙に大きく感じたりとか…」...
      花鳥風月さんのレビュを読んで、私ももう一度読みたくなりました。
      「遠近感とかも何かおかしくなって、近くにあるものを妙に大きく感じたりとか…」という感覚、すごくよく分かります。
      私はこの小説を読んでそういうなかなか言葉にはし難い感覚に共感(共有?)しつつ、同時に癒された(慰められた?)のではなかったかなと思いました。読み返してみたいと思います。
      ありがとうございます(お礼を言うのも変化もしれませんが…)。
      2012/04/06
    • 花鳥風月さん
      コメントありがとうございます。
      この本すすめていただいてありがとうございました! よかったです。
      角田さんは3冊目なんですけど、一番印象に残...
      コメントありがとうございます。
      この本すすめていただいてありがとうございました! よかったです。
      角田さんは3冊目なんですけど、一番印象に残ったかもしれません。そうそう、こういう感覚あったよなあ… とかなり入り込んで読みました。近くのものを大きく感じることもあるし、何もかも遠くにあるような感じになることもあります。なんなんだろうあれは?
      角田さんの他のものも読んでいきたいですね。
      2012/04/06
  • 谷島酒店の家族の日々を描いた物語。
    家族モノだからほのぼのとした作品になるのかと思いきや、一筋縄ではいかないのが角田光代の小説。

    家族だからといって、全部が全部受け入れられるわけではない。
    でも、家族にしか共有できない思いもある。
    どんな家族も平凡なようであり、本当にいろんなことが起こっているのだと感じた。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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