変わる家族 変わる食卓 - 真実に破壊されるマーケティング常識 (中公文庫 い 106-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052192

作品紹介・あらすじ

首都圏に在住する一九六〇年以降に生まれた"子どもを持つ"主婦を対象として、五年間にわたって実施された食卓の実態調査"食ドライブ"によって明らかにされた驚くべき現代日本の食卓の実態。食卓写真付きアンケートの徹底分析によって、日本の家庭で起きている人間関係、価値観、教育観等の変化にも迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 食の崩壊という言葉が聞かれるようになって、長い月日が経ちました。
    男女平等、女性の社会進出が進み、家事は女性だけが担うもの、という考えが少しずつ変わってきていますが、それでもなお、日本の世の中ではまだ女性が子育て、食事づくりを担う風景が多いと思います。
    その食事風景がどう変わっているか、という2000人以上を調査した広告代理店が、変わりゆく日本の家族・食卓風景をまとめました。
    話には聞いたことがあるけれど、本当に凄い変化が訪れて、それが一般化されているのだな、と感じました。
    もう凄すぎて失笑…。
    でも、自分にも一つ当てはまることがあって反省。(嫌いな野菜は刻んで目立たなくして子どもに食べさせる…というところ)
    子どもの嫌いな野菜は基本、食卓に上らせない。
    作っても残されるなら無駄だから作らない。
    週末にようやく家族がそろう日には、手作りではなく、自分も楽しみたいので家では作らない。
    遊びを重視した日は食事のことはどうでもいい。
    味見をしないでお弁当を作ったり冷凍食品を入れるが、家族から文句は出ないので、多分大丈夫なはず。
    朝食のパンは、あわただしい朝は食器を洗う時間がもったいないので食器は出さない。
    食べないよりましだから朝はカステラやケーキを食べさせる。
    …等々、とにかく手間と愛情?が減ってしまった…と感じる回答の嵐。
    焼き魚(グリルの片付け)煮物(時間がかかる)も面倒くさいから一切やらないという回答も多かったのだとか。
    世界遺産に和食…、でもその和食が日本から消えそうな気がしてきました。大丈夫?日本!

    2017/04/17

  • 今月の読売新聞に筆者の記事が載っていたので、興味が沸いたため読んでみた。こんな食生活を改善するためにはどうしたらいいのか、結論まで出さなくてもいいがその方向で話をして欲しかった。食事への無関心は、私にとっても深刻な問題かもしれないと思った。生産業、流通、表示やメディアなどの問題が、この結果をもたらしているのなら、それぞれにどんな問題があるのかを、この著者の視点から知りたくなった。

    おそらく、この本のメッセージは、自分や家族の食事についてもっと興味を持ち、考えた上でどんな食事をとるかを決めるべきで、メディアや世間の目や自分の一時的な気分に左右されすぎている人が多い。ということなのだと思う。

    実態がひどいことはよく分かったし、定点観測的な調査の威力は凄まじい。ただ、言い方が嫌味。前後で「私は、今どきの主婦を批判したい訳ではない」と言っているが、そのような本には見えない。少し前の本なので、時代が違う部分もあったが。

    また、どうしてダメなの?という料理がたくさんあった。例えば残ったかぼちゃペーストをパンに塗ったり、形のいいお重に入れて食べ物をよく見せたりすることなどは言う程のことかな、と思う。筆者は、土井善治さんの本とか、どう見るのだろう。マニュアルや表示に頼りすぎることを批判する一方で、色んな具が入ったシチューを批判するなど、一貫性がないように感じられ、著作が本当に言いたかったことがぼやけている。

    私は共働きのため、夕飯の調理に使える時間は長くて一時間。時間の制約がある中での妥協点を見つけるのは、すごく難しいが、この本に出てくるような人のように、ポリシーのない食べ方はしたくないな、とは思った。出産を機によく言われるのが、無理をするな、手を抜け、ということだ。それと同じくらいの圧力で、子供や家族の食事は大切だ、ということも言われる。調理に手は抜いても、何を食べたい、食べるべきなのかはちゃんと考えたい。一時間の調理時間でも、出来ることはたくさんあるし、楽しく、健康に食べる気持ちを失いたくないと思った。

  • 面白かった。

    主婦の食卓状況(約2000食卓)の定性調査結果をまとめた内容になっている。驚くべきは結果の中身より、2000年当時には異常と見られたであろう食卓状況が、今読んでみると殆ど違和感がない点だと思う。

    個人的に共感する点も多い。『処理する快感、ゼロリセットの喜び』の辺りなど。

    確かに、こういったものは定量調査では見えにくい。今のメーカーはネットでアンケートを取れば殆どのことが解決すると思ってるかもしれないし、価格面やスピードや手間から調査会社もネット調査を勧めがちだが、たとえば、若年層の本音などはこういった定性調査で汲み取るべきなのかもしれない。

  • 著者が行った「普通の主婦」を対象として行った食卓に関する調査から分かった数々の衝撃の事実が書かれている。ケーキやたこ焼きを朝食にしたり、食にこだわっていると答えた人がカップ麺や冷凍食品を多様していたりといった過程における食の崩壊が延々と例示されており、問題提起のような形となっているが、どちらかというと文体は批判的である。こいつらどうしょうもないでしょ、ホント昔はこうじゃなかったのに、いったい何考えてんでしょう、というような著者の主観と偏見がが文の間に終止満ちあふれ、正直うっとうしい。

    定性調査であるため定量的な数値データは無いが、そもそもその調査の対象となった人達は都市居住者なのか世帯年収はどうなのかというプロファイリングが無く、また特にどのような人達にその傾向が強いかというようなセグメンテーションもないため、マーケティングのデータとしての価値はない。参考程度。

    但し、定性調査としての踏み込みはそれなりに深いので、例示されている主婦達の声は、現代の主婦のインサイトであろう。特に、第二章で挙げられてる「私指向の主婦達」で語られている対象者達は、最近脚光を浴びている「Mart」の読者達と重なるであろう。彼女達は、創造的なトレンドリーダーとして認識されているが、意外にそのインサイトはこの本の主役となっているこまった主婦の一派であるのかもしれない。唯一この点だけが、本書で役に立ったといえるところである。

  • 498.5
    図書室だよりNO.22で紹介

  • アサツー・ディ・ケイ勤務の著者が中心となって実施した「食DRIVE」調査結果から見られる現代の家庭の食卓・食生活の傾向が記述されたもの。食の重要性・優先順位が下がってきて、利便性が優先されている。家族の生活・健康・栄養を下支えするもの、という考えは希薄になってきているのだろう。子どもとすべて平等に取扱うのはおかしなことになるんだろう。少子化とあいまってそれがかえって食を崩壊させている。家族のエンターテイメントという要素はあるのだろうが、非日常なことなんだろう。さらには調査結果から見られる性向なども興味深い。調査当時30代だから、現在だと40代の女性たちが新たな食生活をつくっているんだろう。もっとも、その世代だけの問題ではなく、その上の世代から受け継いできて今があるのだろうが。

  • この本は本当に衝撃的でした。と同時に、自分たちも同じこと…いやそれに近いことをやっている。そのことに対しても愕然とさせられました。
    ここに書いてあることが確かに今の家庭、特に若い世代の食卓であるのであれば…お米の販売は一から見直さないと…そう考えさせれた内容でした。

  •  1960年以降生まれの主婦が作る食卓を精密に調査し、まとめたものです。浮かび上がる実像はそこらの怖い話より怖い…のですが、それ以上に、正直に回答している(つもりの)アンケートと、実態の乖離という現象を興味深く思います。
     本人には嘘をついたり見栄をはっているつもりはそれほどなくて、アンケートに出てくるものは自分の思う「自分」なのでは?と。
     それと、「ものごとには正解があって、それを回答するべきである」という著者の言うところの正解主義って、食事に限らず色々な局面に蔓延している気がします。

     他の著作もいくつか読みましたが、ここまでくると安易なアンケートというものがどれだけ信用できないかが身にしみます。

  • 現代の家庭の食卓事情を知ることができる点では面白く、本当か?という実例も当てさらさら読める。

    しかし、結局この人は何が言いたいの?で、これからどうしていけばよいの?といった疑問だらけの本である。私の週間では昔を懐かしむ叔母さんのたわごとにしか見えない。

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著者プロフィール

1953年北海道生まれ。法政大学卒。大手広告会社勤務等を経て、現在大正大学客員教授、日本能率協会総合研究所客員研究員。1960年以降生まれの人びとを対象とした20年に及ぶ継続的な調査研究に基づき、現代の家庭や社会に起きるさまざまな現象を読み解くことをテーマにしている。著書に『変わる家族 変わる食卓』『「親の顔が見てみたい!」調査』『普通の家族がいちばん怖い』『家族の勝手でしょ!』『日本人には二種類いる』など。第2回辻静雄食文化賞受賞。

「2017年 『残念和食にもワケがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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