歴史入門 (中公文庫)

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制作 : 金塚 貞文 
  • 中央公論新社 (2009年11月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052314

歴史入門 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ブローデルが自著『物質文明・経済・資本主義』のエッセンスをまとめたのが本書である。訳者は本書を最高の「ブローデル」入門と呼んでいる(邦題については出版社の意向とかで決まったものだろう)。ブローデルと言えば有名な「アナール派」の代表的人物の一人。僕はアナール派について概要ぐらいしか知らなかったもので、「とりあえず何か一冊」と思って本書を手に取った次第である。

    そんなわけだから、僕は『物質文明・経済・資本主義』も読んでいないのだけど、大著の内容をこれだけコンパクトに(文庫本150頁足らず)まとめるわけだから、統計的なデータ類は捨象されて出てこないし、様々なエピソードなども思い切り削ぎ落とされているはずである。だが、その結果なのかどうか、本書からは著者の歴史学者としてのパースペクティブをはっきりと読み取ることができる。歴史の基層には著者が物質生活と呼ぶ、人々の日常生活からなる層があり、その上に市場経済そして資本主義の各層が折り重なっていく。特に、市場経済と資本主義の区別などは、新鮮で面白いところである。

  • 新書文庫

  • 他の方のレビューが とても参考になりました。「地中海」が本屋で見つからないので、本書を買いましたが、「地中海」を読む前に 本書を読んでよかった

    ヨーロッパの経済史だけかと思ったら、プラス評価の対象として 日本の経済史も結構出てくる

    薄い本だけど内容は凝縮しています。何度も戻り読みしながら、やっと読み終えた感があります

  • アナール学派の泰斗、フェルナン・ブローデルの講演録。

    邦訳の本書は『歴史入門』というタイトルなのだけど、原題は『資本主義の活力』。講演の内容も「歴史学とは」云々でなく資本主義や資本主義の発展の定義付けというべきもの。邦題の付け方に疑問を感じざるを得ないけど、あえて寛大に解釈すれば「ブローデル歴史学の入門」といった意味だろうか。

    そういう意味で言えば、たしかに本書はブローデルの歴史観をざっくり理解するのに適しているのかもしれない。それは非常に大雑把に言えば商業と資本主義の歴史ということになるか。とはいえそういう全体理解は脇に置き、第三章に登場する「世界経済」(economie modiale)と「世界=経済」(economie-monde)の対比、というかその対比で示される後者の概念がおもしろい。

    「世界経済」は単に全世界的規模でみた経済状況のことを指している。一方「世界=経済」は、経済活動により組織され秩序付けられた、相対的に独立した地理的範囲であり、自律的な歴史を持ち、拡大と収縮、統合と分離、中心移動を繰り返す圏を指している。この範疇は万博の世紀において大英帝国のもと「世界経済」と領域的な一致を見る。

    本書の中でしばしば参照・対比されるE・ウォーラステインの世界システム論と似ていて、それは現実であると同時に分析のための概念的なツールの意味合いが強いように思える。近代以前の地球上に分布していたヨーロッパ以外を中心とする世界=経済への言及は東アジアの中華思想の世界の歴史学とも観点が相通じていて──どちらが学術的に先行しているのかは不明だけれど──、なるほど歴史の巨視的理解に有用に思えた。

    そういう点で収穫もあったが総じてブローデルがしゃべっていることの1割も理解できていない気がする。ともあれぺらっぺらの文庫本なのでとっつきやすさは抜群であった。。

  • 生の講義を聞いているようで、胸が熱くなった。「物質文明・経済・資本主義」を読み進めていきたい。

  • 邦題にはかなりの違和感がある。原題を訳せば『資本主義を動かすもの(La dynamique du capitalisme)』。この本はブローデルの『物質文明・経済・資本主義』という大著の概要や考え方を簡潔に提示した本だ。話は『物質文明・経済・資本主義』で扱われたトピックに限られており、例えばE.H.カー『歴史とは何か』のように、歴史そのものについて大構えで論じたようなものではない。歴史学の泰斗が学問全体について語ったのかと期待すると肩透かしを食う。

    原題から分かるように、この本でブローデルは資本主義が成立する仕組みついて語っている。ブローデルと言えば歴史の流れを短期、中期、長期と分けて考察したことで知られる。これらはその後、出来事événement、複合状況conjoncture、長期持続longue dureéと変容される。この本および『物質文明・経済・資本主義』ではタイトルからも連想されるとおり、物質生活、市場経済、資本主義の三つの概念図式が取り上げられている。とはいえ、これら3つが短期・中期・長期にそれぞれ対応するわけではない。短期の層に当たるものはなくて、物質生活は長期持続、後の二つは複合状況にあたる。

    物質生活とは交換経済に入ってこない自給自足の生活のこと。こうした素地の上に市場は成り立ってくる。ブローデルはこの物質生活の層に目を配ることを注意している。市場経済をあまりに重視することへの懸念を述べている。

    「[...]井戸の中を覗きこんで、底深くたまった水にまで眼をやることが、つまり、市場価格がその表面に達することはあっても、必ずしもその中にまで潜り込み、かきまわすことまではできない物質生活という奥深い領域にまで目をやることが重要なのである。だから、二重帳簿を持たないような経済史、即ち井戸の縁と底にたまった水の両方を見ないような経済史は、ひどく不完全なものとなろう。」(p.58)

    物質生活の上に成り立つ市場経済は、二階層からなるものとされている。第一階層は市、商店、行商人からなる。第二階層は大市と取引所(p.35)。前者は個々の都市にある市場(いちば)であって、後者はそれらをつなぐ役割を果たす。資本主義を生み出したのは第二階層だ。第一階層はそれぞれの都市の市場のルールに縛られた、公的なマーケットとされている。第一階層の市場はときに活動を束縛するような、透明性と競争を重んじる中にある。市場といっても生産者と消費者は近く、その需要や利益はほぼ予測可能な範囲だ。

    こうした市場に商人たちが安穏とするわけもない。遠方の異なる市場とのアービトラージを狙う人々が現れる。それはプライベートなマーケットというか、ブローデルはこれを「反-市場」(p.71)と表現する。遠方の、誰も知らない市場との取引になるわけだから、適正な利益水準は推し量れない。この取引は競争の上手く働かない、不公平な交換となる。そしてこれによって、資本主義を生み出すような膨大な資本が蓄積されていったという見取り図だ(p.70-80)。

    第一階層の市場はいわば生命体の毛細血管に当たる。個々のローカルな細胞間の物質のやりとりを行う経路だ。第二階層の市場はより遠方と物質のやりとりを可能にする経路、すなわち動脈や静脈である。例えば、中国では市場は個々の都市に限定され、大市は周縁的なものでしかなかったことが、中国で資本主義が発展しなかった理由だとされている。それと違って、日本では大市が発展した(p.47f)。

    ブローデルの考える資本主義の発展モデルを平易に述べた本として興味深い一冊だ。簡潔に読める。ただ、歴史入門というものではない。

  • 2014.12.22 pm19:23 読了。タイトルに惹かれて手に取る。見た目は薄い本だが、内容は濃密。とりあえず通読したが、2割くらいしか理解できていない。経済学や史学に関する知識不足が原因と考えられる。歴史学に関する知識が皆無であっても、専門的な内容を簡潔に伝えようとする著者の姿勢は感じられた。そのため、難しい内容の割に読みやすくはなっている。中国で資本主義が中々発展しなかった背景や市に関する考察が興味深かった。もっと知識をつけてから、再読したい。

  • [ 内容 ]
    二十世紀を代表する歴史学の大家が、代表作『物質文明・経済・資本主義』における歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける、アナール派歴史学の比類なき入門書。
    時間軸を輪切りにし、人間の歩みを生き生きと描き出す、ブローデル歴史学の神髄。

    [ 目次 ]
    第1章 物質生活と経済生活の再考(歴史の深層;物質生活;経済生活―市と大市と取引所;市、大市、取引所の歴史―ヨーロッパ世界と非ヨーロッパ世界)
    第2章 市場経済と資本主義(市場経済;資本主義という用語;資本主義の発展;資本主義の発展の社会的条件―国家、宗教、階層)
    第3章 世界時間(世界=経済;世界=経済の歴史―都市国家;世界=経済の歴史―国民市場;産業革命)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 332

  • あっさりとした考察。

    【結論】
    資本主義は、国際的な資源と機会の搾取で成り立っていること。
    資本主義は、独占に依存していること。
    資本主義は、経済の全てをそのシステムの中に取り込んでしまうことは決してできないこと(経済には三領域がある。物質生活、市場経済、資本主義経済)。

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二十世紀を代表する歴史学の大家が、代表作『物質文明・経済・資本主義』における歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける、アナール派歴史学の比類なき入門書。時間軸を輪切りにし、人間の歩みを生き生きと描き出す、ブローデル歴史学の神髄。

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