世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)

  • 26人登録
  • 3.60評価
    • (0)
    • (3)
    • (2)
    • (0)
    • (0)
  • 2レビュー
  • 中央公論新社 (2009年11月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052376

世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • インカの神話的社会がスペイン人と遭遇し、交錯する文化と血が、独立と自由を激しく求めて現代へと至る。魅惑の大陸、ラテンアメリカ1万年の歴史が織りなす極彩色の世界。

  • ラテンアメリカはおそらく地理的な理由から閉塞した空間であったために、その他の世界に比べて技術や社会の発達が弱かった。例えば、首長国と呼ばれる単位での割拠[p19]にあらわれている。これは近現代の地方の分離主義的傾向 (「ラテンアメリカの現実政治の場で実際にはたらいていた力は、統合に向かう求心力ではなく遠心力であった。」[p344-345])や、政治的安定条件の幅を狭めた要因につながっている(「『パトロン・クライアント』の関係」[p402-])。そこへ東への進出をイスラム国家や遊牧民族などによって阻まれ、さらには外圧を加えられた欧州諸国が植民。レコンキスタの勢いあたらしいスペインがその筆頭。

    試行錯誤の末(植民地責任者の解雇多数、原住民の反乱多数…)にようやくエンコミエンダ制[p38など]へ。ただし、北米(イギリス)の定住植民とは異なり行政植民[p38-39、p54-63]。

    時間が経つと共に、現地での混血が進んだり(メスティーソなど)、インカ的ナショナリズムが高まってきたり[p255-256]、教育(イエズス会中心、コレヒオなど[p240]、また布教活動はミッション[p386]ができるなど、未知の土地へ進出するモチベーションになっていたはず)水準が上昇し社会組織が整ってきたりで、本国より巨大になり、独立を志向[※植民地の耐用年数が来た、p311]。

    また、ブラジルは大西洋奴隷貿易が盛んに行われる地理的条件を満たしていたが[p289]そのほかの地域に比べて植民が進まなかった[先住民がエンコミエンダの対象にならない、p288]。独立にもおもに植民地の発達強度による地域差があった。

    独立運動に際して、活躍した人々の土台は本国と現地の間にいたクラカという階層の人々の経済力などか[p228]。独立運動における初期は副王政府 VS 反乱/革命軍の構図。その後の政府内で保守党VS自由党の構図(武力闘争多い)と宗教との対立(教育の基盤は宗教だったし資金も潤沢[p351])。とくに分離主義[「五つの小国が割拠するに至った事情」p352]が強い。カウディリョ[p353]が活躍し、カフェオレ体制[p394]などにみられるように、各州が独自の利益を守ろうとするところに特徴(植民地性の名残?) がある。

    長期軍政が多くの国で続いた理由や、革命、テロリズムなどの混乱はこういった(行政)植民地としての歴史と決っして切り離すことはできない。大きくみれば、どれも起源を遡ると古代の首長国の乱立や植民地として飼い慣らされ混乱した歴史などにたどり着くことがわかる。

全2件中 1 - 2件を表示

高橋均の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)に関連するまとめ

世界の歴史18 - ラテンアメリカ文明の興亡 (中公文庫)はこんな本です

ツイートする