一階でも二階でもない夜 - 回送電車II (中公文庫 ほ 16-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052437

感想・レビュー・書評

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  • 4つのパートに分けられているエッセイ集。
    久しぶりに堀江さん!と思って読み始めたのでⅠはエッセイではなく短編かと思って読んでいた。
    Ⅱで獅子文六を取り上げている1編が嬉しかった。ⅡからⅢ、そしてⅣへと少しずつ堀江氏の身辺に纏わる話へとまとめられている。
    タイトルと書き出しからは思いも寄らない道を通り意外な景色や人を見せてタイトルへと着地したり総評であったりするのがやっぱ好きな文章だなぁと思う。

  • たぶん90年代の終わりか2000年ころの記憶を刺激されながら読む

  • やさぐれて本に救いを求める時、手にするのは須賀敦子のエッセイか、白水Uブックスの翻訳もの(柴田元幸訳か村上春樹訳)と決めている。これらの本はいつもワタシの本棚の積ん読列に並んでいて、今回もどちらかを読もうと本棚に向かった。そこではたと堀江敏幸のエッセイがあることに気がついた。6年前にブックオフで買った古本だ。ずっと積ん読列に鎮座して風景の一部になっていたせいか、まったく目に入っていなかった。そして今回、6年の鎮座を経てようやく手にした。

    パリ滞在時のエッセイも楽しいのだけれど、ワタシはそれ以外の、つまり、ちょっとひねった日常の風景から入って行く彼のエッセイの方が味わい深くて好みだ。町の中の小さな公園、フランスのテレビで見た日韓W杯、閉園間近の遊園地のゴンドラ、見知らぬ男にもらったタバコの火、抜歯した後に食べるチョコレート、などなど。しかも、エッセイの書き出し数行で想像した内容と、少し違うエンディングを迎える話が少なくなく、堀江エッセイの味の深さをじっくり感じられる。もちろん、清涼感の高い空気感に包まれているのは、いつもの堀江ワールドと同じ。ただ、本書では、著者のちょっと抜けたところも感じられて、水色に近い清涼感の中に、少し赤味がさしているようにも思えた。
    また、ワタシの個人的な特記事項としては、須賀敦子が亡くなった直後に著者が書いたエッセイが本書に収録されていることだ。冒頭に書いた通り、半分の確率で須賀敦子の本を手にするつもりだったところ、堀江敏幸のエッセイ集に目が留まってそれを手にし、そしてその中に須賀敦子への追悼エッセイがあった。(しかも、美文!) なんという巡り合わせ。積ん読列に呼ばれたとしか思えない。

  • 堀江さんの静かでどこか温かい文章が好きで、回送電車Ⅰに引き続いて読んでみました。
    54篇の散文。
    須賀敦子のこと、獅子文六の悦ちゃんが紹介されています。

  • ロベール・クートラス展にて図録と一緒に販売していたのを買って読んだ。クートラスについては『無神論者の聖人』というタイトルがつけてあった。まさにキリストのような髪と髭と澄んだ瞳の画家にぴったり。しんとした静けさをもつ堀江さんの文章とクートラスの画が重なりあうよう。田中小実昌、須賀敦子についての文章も胸を打つ。エッセイのような短篇のような形で大切な何か守り伝えているように感じた。『なつやかた』『すいようえき』『順送りにもたせて生かしときたい火』も好き。

  • 『回送電車』シリーズ第2巻。
    読んでいるとゆっくりした時間が流れているようで気持ちが良くなる。
    万年筆と鉛筆のエピソードが好きだが、自分が使うペンはもうフリクション一辺倒なのであった。消えるインク万歳w
    檸檬爆弾を丸善に仕掛ける客は今もいるらしいが、石鹸でも代用出来るとは知らなかった。しかし、自分もポケットにレモン石鹸が入っていたら丸善に向かう衝動に駆られそうな気がする……。

  • レモン石鹸・・・懐かしい。まだ学校では使われているのかな?
    チビ鉛筆・・・甥っ子もためてたな など、忘れていた日常を思い出す。

  • 普段は文庫本なんて二十分ほどあれば読み終わってしまうのだけれど、この人の冗長な言い回しをもってすると、一読しただけでは分からないところを矯めつ眇めつしたり、行間の文章を読まなくてはいけなくなったりする。ので、そんなところが好きです。躊躇いの作家。

  • 一巻に引き続き。

    じっくり読みたくなる一冊。

    前回ほど抱腹絶倒することがなかったけれども、ふふふとにんまり笑ってしまった。

  • 8/18 読了。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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