愚行の世界史(上) - トロイアからベトナムまで (中公文庫 タ 7-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052451

作品紹介・あらすじ

国王、大統領、政治家たちは、なぜ国民の利益と反する政策を推し進めてしまうのか。本書は史上に名高い四つの事件を詳述し、その失政の原因とメカニズムを探る。歴史とは何か、歴史とは役に立つのか、そして人間は歴史から学ぶことができるのだろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 一応"愚行"とは何であるかは冒頭で定義されるものの、それを数多な世界史から探して比較するのは冒頭50ページの一章のみ。
    残りは筆者が語りたかったであろう3つの題材『プロテスタントの台頭を許したルネッサンスのカトリック教皇達の堕落』『アメリカの独立を阻止できなかったイギリス議会の虚栄』『ベトナム戦争』について、その詳細を述べるもの。

    大きな価値が小さな利益のために捨てられ、可能であったはずの解決策を犠牲にして不可能な無理難題が追求される。
    すべてが明らかになった後ではいくらでも非難できるが、当事者にとっては見たいものしか見えないのはいつの時代になっても変わらないことだろう。

    歴史の読み物としては『何をやらせても間違った方向に突き進む』その愚行の詳細を楽しめるが、小説としては、時代背景の描写が薄かったり登場人物が多いわりにその詳細は語られないため、ちゃんと把握するには地力が必要。

    学びの要素は薄めではあるが、成功体験しか語られないビジネス書よりは、役に立つかもしれない。

  • おもしろそーな本だったが、訳が合わず。。
    前提知識がそんなにないから、頭で補完することも叶わず。。

    実際分かっていても愚策をとってしまう、という状況はありえるんじゃないかと思うようになってきて。組織はそれ自体が生き物のように、何か力が働いているような感覚があるんだよなあ。

  • トロイアから始まり、教皇庁の腐敗とプロテスタントの勃興、英国による米国の独立に至る失政を例に、分かりきったことなのに失敗する愚行の歴史を振り返る。

  • 世界史において「愚策であった」と思われる政策や決断について、その原因を明らかにしようと試みている本。内容も論調も決して読みやすいものではないですが、時代も地域も異なる中でなぜ「愚行」がなされたのかを知ることができます。

    著者は政策の愚行を規定するため、「当時の視点から見ても益とならないもの」「実行可能な選択の道が残されていたもの」「個人の政策ではなくグループの政策であったもの」を基準として挙げています。そのうえで、この上巻では「トロイア人が木馬を城壁内に入れたのはなぜか」「教皇庁はなぜプロテスタントの分離を招くような行動を繰り返したのか」「イギリスはなぜ植民地としてのアメリカを失うような行動をしたのか」が取り上げられています(イギリスについては途中で終わっており、残りは下巻へ)。

    これらのテーマにおいて、登場人物たちの愚行の原因は現代でも馴染みのあるものばかり。トロイアについては自己の勝利に対するのぼせあがりがキーワードであるかと思われます。教皇庁については、一人ではなくこの時期の一連の教皇たちがそれぞれに私利私欲の追及・優柔不断・やるべきことの無視・エゴ・頑固さ・放蕩・自身の権利と身分が不可侵であると思い込むことなど、様々な性質の愚行を並べたことで事態が急激に悪化していったことが見て取れました。アメリカの独立に関しては、上巻ではまだ論の途中でイギリスの愚行について詳しくは分かりませんが、アメリカが本気でイギリスからの独立を望んでいたわけではなかった、というところまでは論じられています。

    特に教皇庁の愚行の原因については、250ページあたりで総括されていますが、現代の様々な愚行・失敗にも当てはまるものだと思います。そのあたりを読み、学ぶというだけでも読む価値はあるかと。

  • 私の世界史の知識がないのか?翻訳がなんだか細部に入りすぎていて、面白みにかけた。

  • アメリカ二代目大統領、ジョン・アダムスは、『他のすべての科学は進歩しているに、統治だけは昔のままだ。今でも、三、四千年前からほとんど向上していない』と述べたそうな(ってこの本に書いてある)。それから200年たっても大差ないとなると、人間社会は進歩はしても進化はしないのではないか、と思えてくる、そんな一冊。進化というなら万年単位で考えないとだめかも?または、悪い例ばかりを集めた本だからそう感じるのかも。下巻に続く。

  • 「八月の砲声」の著者による、より幅広い時代の歴史の概説。しかし、その底流は、それぞれの時代に共通した人間の愚かさへの警句で埋めつくされている。

  • 正しい選択肢を取ることも可能だったにもかかわらず何故そうしなかったのか、これが本書のテーマです。トロイア戦争、ルネサンス期のローマ教皇庁、イギリスのアメリカ喪失、ベトナム戦争をテーマに取り上げて分析。


    第一章「愚者の行進」だけでも読む価値ありです。

  • (要チラ見!) 国家と戦争

  • 世界史というと無味乾燥な史実の羅列や科学技術の世界史のような特定の分野の発展をたどった叙述を考えがちである。
    ところが本書は愚行の世界史を扱っている。科学技術の面で人類は輝かしい成果をおさめてきたが、政治の分野では古代から現代まで向上がみられず、相変わらず愚行がはばをきかせている。
    わたしたちのまわりにもふんだんにみられるこの種の愚行を理性的にとらえ判断する目養ってくれる有益な書物である。

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