モラトリアム人間の時代 (中公文庫 お 31-4)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053113

感想・レビュー・書評

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  • 途中で読むのが苦痛になった。
    著者の最大の功績は成長途中の若者を「モラトリアム人間」と命名した事だろう。
    しかし著者の視点は昭和5年の戦前生まれの男のものであり、それが発表当初1971年頃には普遍的な考えであったのであり、基本的に「だらしない若者」という価値観が根づいている。
    その根本には家父長制思考があるのだが、農村社会制度から工業労働者としての都市生活者への変遷を考慮すれば、なぜ都市部を中心にした若者(当時は農家の次男以下が多かった)が長男と違って安定した土地を分け与えられずに都市で根を張って生きていく過程であると捉える視点がないのかと不満に思う。
    また現在において考えると、生涯雇用など望めない時代における不安定さが社会の根底にあるのだから、ますます何事も決めつけてしまわない身軽さを身につける事こそ世渡りの秘訣と言えるので、好き嫌い関係なくモラトリアム人間の時代が来たと言えよう。

著者プロフィール

1930年東京府生まれ。日本の医学者・精神科医、精神分析家。学位は、医学博士。1954年慶應義塾大学医学部卒業。1960年「自由連想法の研究」で医学博士の学位を取得。慶應義塾大学環境情報学部教授、東京国際大学教授を歴任。フロイト研究や阿闍世コンプレックス研究、家族精神医学の分野では日本の第一人者である。著書はいずれも平易な記述であり、難解な精神分析理論を専門家のみならず広く一般に紹介した功績は大きい。2003年没。主な著書は『精神分析ノート』(日本教文社,1964年)、『モラトリアム人間の時代』(中央公論社、1978年)、『フロイトとの出会い―自己確認への道―』(人文書院、1978年)など。

「2024年 『フロイト著作集第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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