- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053304
感想・レビュー・書評
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空気によって動き、歴史認識の欠如に無自覚で、都合の悪いことは最後には誰かに押し付けてなかったことにする。この国の昔からの「癖」を抉り出す好著。
他の国はよく分かりませんが、まずは疑ってかかることが肝要って何だか哀しいな。
それにしても何にもまして先ずは記録とはこの作家の今を本人自らが指摘しているようで、政治家としてはともかくジャーナリストとして作家として真価が今こそ問われてますな、このお方は。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
みなとLib
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不毛な戦争へと至った流れを知りたくて手にした。この当時から石油が世界の産業、経済、に大きく影響を及ぼしそれが戦争への流れを作っていったことが分かった。この不毛な戦争へと突き進んでいった中に、陸軍なら陸軍内だけの海軍なら海軍だけの情報や決定権が読み取られた。総力戦研究所がさらに他機関とのつながりが強かったら、、、と思ってしまう。
反省あっての戦後の筈が、やはり縦社会の弊害が今なお日本の社会システムの中で生きているように思えてならない。とても残念。
読むのに長くかかってしまったが、それだけに内容は濃かった。
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読みにくかった。でも、かなり勉強になりました。
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史実に基づき、戦時中に内閣直下に置かれた総力戦研究所での議論をもとに、大戦時の意思決定を紹介する本。総力戦研究所について知る上にはよいが、政治史としては内容が薄いし、著書出版後の歴史学発見も当然反映されていないので、評価は低い。但し、一般的に「陸軍が悪かった」「東條英機が悪かった」と片付けられる戦争評価に対し、東條は決して独裁者ではなく彼一人の問題ではないこと、戦争責任は日本社会の意思決定のあり方に大きな原因があったことを強調しており、その点は大きく評価できる。
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2014年2月16日 読了
なぜ戦争が止められなかったのか、日本の持つ特性について少し分かった気がする。
日本はどこに行くのだろうか? -
小説の雰囲気あり。
著者は都知事をやめたので、特に直接政治から離れて、物書きに戻ってほしい。 -
自分の立場で都知事の去就についてどうこう言うべきでない。
ただ、、誰も書けなかった本を氏が多数著していることは忘れてはならない。この『昭和16年夏の敗戦』なんて、その最たるものである。
日本の近代史を学んだ者の多くが「どうして勝てるはずのないアメリカと戦争したのだろう」という疑問を抱く。同じ疑問を抱いた人間は、開戦前の昭和16年夏の日本の中枢にいた。総力戦研究所というものものしい名前の元で行われた、「米英と戦ったらどうなるか」という研究の結論は以下のとおりである。
「中国大陸での戦線がドロ沼化しているなかで、米英と戦端を開き、そのうえソ連参戦が迫っている。
『ソ連参戦』を座して待つか、もはや石油備蓄も底をついた。佐々木は両手をあげた。思わずギブ・アップのポーズをとり、教官にたしなめられた。」
問題は、当時の日本政府を取り巻く環境がそんな疑問を許さなかったことにある。石油禁輸による時間切れの恐怖、政党政治を倒すことに成功した軍部、そして暗い世相を打破してくれることを願った世論…。
これこそ、戦後日本が第一に研究すべき政治学上の大問題なのに、この本が出るまではロクに知られてこなかった。
一人の読者として、良質のノンフィクションをまた世に出してくれることを願ってやまない。