水晶萬年筆 (中公文庫)

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著者 : 吉田篤弘
  • 中央公論新社 (2010年7月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053397

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水晶萬年筆 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 飄々としてつかみどころのない物語たち。
    読んでいると、幻を見ているような錯覚に陥ってしまう。
    Sの文字に翻弄される物書きの話や、影の魅力にとり付かれた画家の話など。
    吉田さん特有の言葉遊びも楽しい。
    淡い恋心を感じる場面もあって、ほのぼのとした気持ちになれた。

  • 十字路のある町の静かで不思議なおはなしたち。

    「水晶万年筆」、「黒砂糖」、「ティファニーまで」がお気に入りです。
    「黒砂糖」の夜中にトランペットでファンファーレを拭きながら種をまく、という場面が素敵だなぁと思いました。
    「アシャとピストル」が一番よくわからなったけど、あの妙なおかしさと緊張感と怖さはなんなのだろう。

    掴みどころのないふわふわとしたお話と静かでどこかノスタルジックな情景、時にぞくっとする場面…不思議な
    魅力のつまった短編集でした。

  • 最近のお気に入り、クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘さんの本。書店で購入の際、カバーも付けてもらわずに「そのままでいいです」などと気取って言って、その滑らかな手触りを楽しみながら帰った。なんだか、自分の物になった事が嬉しくて足どりも軽やかに(笑)
    6篇の短編集。どの話も十字路が出てくるが、その場所にモデルとなる場所がある事に驚いた。それほど、この話の背景がどこか異国のような、それでいて懐かしいような、またファンタジックな世界なような、とても現実的なような…不思議な世界に感じられたから。
    ふわふわ漂う中に、心に響く事も書かれていたりして、とても心地良い本です。癒し系というのともまた違う気がするが、疲れた時に読んで、ふわふわ漂いながら世界観を楽しみたい。

  • 『十字路のあるところ』を文庫にまとめたものとのこと。
    十字路が登場する6編の短い物語が収められています。

    どれも吉田さんだなぁという感じでしたが、特に好みだったのが「ティファニーまで」。
    この言葉をこねくりまわす感じが、なんとも吉田さんです。
    「足がつむじをまげる」とか、「低鳴る(高鳴るの反対)」とか、「道草の繁殖」とか。
    こんな発想ができるのが楽しいなぁと思います。
    辞書を見ながら、言葉をこねて、心の中だけで吉田さんを"師匠"と読んでみたい気持ちになりました。

    そのほか、「黒砂糖」の読後感が好きです。
    また、「雨を聴いた家」の何かのはじまりを感じさせる結末が印象的でした…なんとなく妖しげで色っぽくて…。

  • 路地の十字路に隠れている言葉達と、遊んでいる気持ちになる。物語は遊んでいるうちに心にじわじわと沁み込み、はんなりと忘れられない。文章のリズム感のよさなのか、読んでいてとても心地いい。
    六篇の短篇集が収められている。十字路に降る雨や、落ちる陰や、漂う甘酒の匂いまで、どれもこれもが愛しい。

  • いわゆる煤けた東京の下町を舞台とした短編集。全6篇の6つの街それぞれが仄かな光の屈折により現れた蜃気楼みたいでこれは儚いメルヒェンだ。まぁその狙いのあざとさが見え隠れするにせよ、束の間都市の裏通りの異次元を彷徨うのはとても心地よいこと。

  • はじめて吉田篤弘という作家に出会った文庫本。
    言葉の選びかた、並び方から句読点の位置まで、すごくきれい。
    違う場所のすこし湿った澄んだ空気を吸ったような心地になる本。

  • 表紙がとにかく好み。
    水晶萬年筆と言う題材も好みすぎて。

    「十字路のあるところ」の文庫版ということは読み終わったあとがきで知ったのですが、テーマは十字路だったのかぁ。
    てっきり街だと。
    ティファニーの緑の館と水晶萬年筆の不思議なアパートたちが好きです。
    そんな不思議な家々がある情景に思いを馳せながら、本を閉じたのでした。
    個人的に吉田篤弘さんの本は、話の流れよりもパーツパーツを取りだして、手のひらでビー玉を転がすかのように楽しむのがいいかなーと思ったり。

  • 澱みなくさららと流れるような調べ。水読みに導かれ、影を描き、道草に迷い、月夜の晩に種を蒔き、買えないものを売り、物欲失う隠居のルパン…6つの物語は吉田さんの独特な世界観に綺羅びやかに彩り魅了する。意味は求めずただ歩むのです。十字路で足を止め行き先を見定めまたゆくのです。この歩みがなんとも心地良い。一編一編のタイトルも素敵。「雨を聴いた家」「水晶萬年筆」「黒砂糖」がお気に入り。 (2011年3月)

  • ことばあそびのような、冗談をまとった詩のような小説。文章が、ことばが、ひと文字ひと文字が、とてもきれい。すりガラスとか、濃いピンクから紺色へのグラデーションになった夕暮れの空とか、きれいに張られた蜘蛛の巣についた朝露とか、そういうものと並べて置きたい。

  • 読みしなからなんかデジャブ。
    あれ?この話知ってる…。

    「十字路のあるところ」の改題、加筆修正、文庫化でした…。
    紛らわしい!!!

    でも何回読んでも面白いです。
    そしてやっぱり路地に雑草を生やす仕事の人の話が好きです。

  • あとがきにある土地に、この本を持って散歩に行きたい。

  • ときどき思い出すようにして、一章ずつ読み進めた本を、読み終えてしまった。

  • 東京のどこかの街角で出逢う静かな物語でした。イメージしにくいところは多少ありますけど落ち着いて読める作品です。

  • ・「魚の絵が好きで」
    「魚ですか」
    「水の中は自由だからーと言ってました。とにかく自由じゃないと駄目なんです。自由気儘に描いていれば、その自由が絵を見る人にも伝染するはずだと」
    つみれさんは、自由、というたび、少し困ったような顔になった。
    「自由を求めるあまり、ずっと不自由だった人です」

    ・「あのですね、何もせずに何かをしたような気になれることはないでしょうか」
    とてもいい質問である。そして、いい質問には答えが何通りもある。

    ひとつーそもそも「何もせずに何かをしたような気になろう」という怠け心こそ、文明の推進力である。
    ふたつー何もしたくないのなら何もしなければいい。
    みっつーと言いたいが、我々が本当に何もしないでいられたら、もう少し住みやすい世界が出来ていたのかもしれない。
    よっつー住みやすい世界なんてくそくらえだ。

  • 濃い小説を読み終えて次も濃そうって時に読みたくなるのが吉田篤弘さん作品。
    いくつかの共通の言葉が6編の短編に潜んで物語を形成しているような印象。
    その言葉は現実として地に足がついているのに物語はふわふわと非現実でそれに伴い人物は両方の世界を繋げる言葉を浮かばせる。すごく中間的な場所に居る小説集という感じ。「アシャとピストル」がいちばん境界が曖昧で読んでいていろいろな気持ちになった。
    でもお気に入りは表題と同じ「水晶万年筆」かな。

  • キーワードは十字路、植物、水、先生、など普通のありふれた言葉ばかりなのこれからの先の人生で折に触れこの短編集を思い出しそうです。
    透明感にあふれ、日常からちょっと逸脱した人たちの住む街。
    そこの住人に私もなりたい。

  • クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘が描く6編の短編集。

  • 私は身をもって風に乗るところを見せてしんぜようと身構える。幸い本日は風に乗るには最適な晴天日和。我が研究室は最上階の四階にあるが、この際、エレベーターなどという無粋なものはうっちゃって、非常口から外の踊り場へと文字通りおどり出る。非常口というその名がいい。日常を脱するための最良の出口である。非常口を出て踊り場から見おろせば足元に螺旋階段が渦巻いている。
    こういうことは言葉で理解するより体で覚えるのが何より。人を知りたければ人と交わり、町を知りたければ町を散策し、風を知りたければ風に吹かれよーーいずれも何かの本で読みかじった誰かの言葉だが、私に言わせれば、本当に風を知りたければ自ら風を起こすくらいでないと何ひとつ始まらない。




    「君は目が回っているのだ。いいか、その中心にあるのが足のつむじだ」




    サクラバシ君はつけられるものなら坂にだって文句をつけたい輩である。正確に言うなら、坂とビルと「ビルの最上階の研究室に身を置くことになった自らの運命」に文句をつけている。が、ひとたび何かに到達しようと決めたなら、おりたり上ったりを繰り返すのは避けられない。町など所詮は人がつくったもの。当然さまざまな不条理に充ち、だからこそ、さまざまな驚異にも充ちている。ついでにさまざまな魅惑の扉を隠し持っている。

  • 6つの短編集。

    今の気分に合っていなかったのか、全然楽しめなかった。。
    どれも話の設定がすぐには分からない書き出しなのもイラっとしたし、現実的な話なのかファンタジーなのかもすぐには分からなくてイラっとする。

    つむじ風の時は全然思わなかったのに、それと雰囲気は同じなのに、これはなんだか馴染みませんでした。

    ティファニーまでの師匠のような言葉遊びは面白かったです。

  • ほわほわしていてロマンチック。

  • 「ティファニーまで」と
    「黒砂糖」が特に好き。
    しっくりくる言葉が見つからないと
    自分でつくりだしてしまう感覚は
    とてもわかるし、
    夜の甘い匂いと
    哲学的なファンファーレの響きも
    とてもいい。

  • クラフト・エヴィング関連で。

    雰囲気がすごい好きです。水晶万年筆かー。素敵な言葉だな。物自体もいつかは手に入れてみたい。

    どこにでもある十字路にちょっと立ち止まってみたり、あるいはアスファルトの下の森や、水の底に思いをはせながら、街を歩いてみたい。

  • 十字路を過ぎるひとびとのおハナシ。
    彼らの頭に巡るアレコレが、愉快で奇怪。日常が非日常になり、日々がへんてこに動き出す。
    十字路に注視してたら、その道の師に出会えるだろうか。出会いたいなぁ。

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水晶萬年筆 (中公文庫)の作品紹介

アルファベットのSと「水読み」に導かれ、物語を探す物書き。影を描く画家。繁茂する導草に迷い込んだ師匠と助手。月夜に種蒔く人。買えないものを売るアシャ。もう何も欲しくない隠居のルパン-人々がすれ違う十字路で、物語がはじまる。流れる水のように静かにきらめく六篇の物語集。

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