- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053397
感想・レビュー・書評
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十字路を過ぎるひとびとのおハナシ。
彼らの頭に巡るアレコレが、愉快で奇怪。日常が非日常になり、日々がへんてこに動き出す。
十字路に注視してたら、その道の師に出会えるだろうか。出会いたいなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
帯表
物語がはじまる十字路へ
多彩にきらめく六篇の物語
帯裏
水の匂いがたちこめている。あの夜と同じ丸々とした月が空にある。
あの夜と同じように十字路の真ん中で二つの影が交叉している。
僕は深呼吸をして「そこにいますか」と角の向こうに声をかけた。
角の向こうからも深呼吸が聞こえる。
「ええ。ここにいます」
「話したいことがあったんです」
「わたしもです」-(「黒砂糖」より)
本書は『十字路のあるところ』(二〇〇五年十二月 朝日新聞社刊)に収録された小説六篇に加筆・修正を加えて短篇集とし、改題したものです。 -
言葉遊びが沢山。梅雨にぴったり。きれい。
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タイトル買い。
独特な空気の作家さんですね。
読むたびに違った側面が切り取られそうな、不思議な本です。スッキリした読後感を求める時にはオススメしないかなぁ…。 -
読書部課題図書その3
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地下にずっと水が流れているような、そんな音がした。
どこまでも続いてゆく、十字路。
その先にそれぞれの物語が繋がっているような、そんな感じ。
一人称だったり三人称だったり、文末が言い切りだったり丁寧語だったり、文章のテンポ感が違って書かれていることで、より「それぞれの物語」感が出ていたのかなと思う。
あとがきに登場した地名が馴染みのあるものばかりで、どのお話がどこなのか想像してわくわくしてしまった。写真見てみたい。 -
2014 4/2
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短いストーリーの一つ一つに、きちんとそれぞれの世界。でもすべてが吉田篤弘の世界観一色に染められて。私の大好きなゆらゆらと頼りなげな、なのに決して崩れたりしない世界。
この世界の住人だったら幸せだろうなあ…と、思わせられます。
まだ、この空気感を生み出す文体の魔法には迫ることができていません。もっと何度も読み返します。ひとまず再読完了。くつろぎました。 -
2014年1月
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この人の小説は感想とか意味とかをあまり考えずに、ゆっくり、何度も読んでしまう。手元に置いておきたくなる文章。『つむじ風食堂~』も『それからはスープの~』も、この作品も実際の思い出、体験、取材がもとになっているのに、読んでいる時はあまりそうは感じない。でも、さらっと忘れてしまわない文章なのは、取材や実体験と、取材したことを潔く捨ててしまった部分と、作り話の部分のバランスが絶妙なのかな?…すごいな。
ぼんやり休憩したい時に。
(初登録:2010.11.24/読み終わり:2013.9.22)