- Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122053472
感想・レビュー・書評
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日本語には、想像。空想。妄想。といった頭の中だけで思い描くチカラの代表的な言葉がある。
想像力の欠如が招く危機。空想が生み出す非現実。妄想が暴走する犯罪。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
■「モルグ街の殺人」…1841年。
『罪と罰』………………1866年。
『緋色の研究』…………1886年。
デュパンとホームズの間には45年もの径庭がある。
■「お前が犯人だ」……1844年。
『刑事コロンボ』………1968年。
コロンボはいつ犯人に目をつけたのか? 本作の語り部の「ぼく」は、「グッドフェロウ氏の率直さは度が過ぎていて、ぼくには不快に感じられたし、そもそもの最初から疑惑をかきたてていたのである」と言っている。
■「黄金虫」……………1843年。
『宝島』…………………1883年。
金無垢のコガネムシに導かれるように始まった宝探し。
古い羊皮紙に浮かび上がる意味不明の記号。
暗号解読のすえ明らかになった謎めいた指示。
髑髏の左右の眼のとりちがいにより一旦は計画失敗。
そしてついに、二体の骸骨に抱かれた、海賊キッドが残した秘宝の発見にいたる。
傑作!
■ところでこの丸谷訳の「黒猫」。
「縄をずっこきにして猫の首にかけ、樹の枝にぶら下げたのだ」とある。 ……で、「ずっこき」って何!?
原文――― "I slipped a noose about its neck and hung it to the limb of a tree." 。 -
かっこいい名探偵の活躍に心ときめかせたい。そんな不純な動機から、ミステリー小説の世界へときめき探求の旅に出ることにした。まずは海外古典作品から。
エドガー・アラン・ポー(1809-1849)の『モルグ街の殺人』(1841)に登場するオーギュスト・デュパンが、文学史上初の「名探偵」なのだそうだ。奇人/天才タイプの探偵、彼を尊敬する友人で凡人の語り手、愚鈍な警察、意外な犯人、といったあらゆる典型がここに(などということは、江戸川乱歩がうん十年前に既に言っている、とWikipediaに書いてある)。
特別感銘を受けた…ということもないが、これが元祖か…!と噛みしめて読んだ。
その他、『黒猫』『アッシャー館の崩壊』など。おどろおどろしい。好きだったのは『犯人はお前だ』。これは語り口にユーモアがあってよい。
ときめき度:★☆☆☆☆「ちょっとこれじゃない」 -
調書のように延々と現場の情報を書き連ねたような話から、怪奇ムード漂う物語など、バラエティに富んだ短篇集。推理小説慣れしていないので、特にデュパンの話に代表される前者は集中力を要した。短篇集の中には両者をうまく折衷した話もあり、「黄金虫」は読みやすかった。
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ミステリーの元祖、「モルグ街の殺人」目当てに読みました。
正直犯人に納得できませんが(笑)読んでおいて損はないでしょう。 -
「黒猫」
じわじわと狂気が迫ってくるのが不気味。殺人の告白までの煽り立て方も怖い。悲鳴が聞こえてきそう。
「アシャー館の崩壊」
アシャーさんの家で狂っていく兄妹の話。ホラー映画の雰囲気そのまま、というかこれが元祖ですか。最後のシーンは効果音がドン!とか鳴ったら飛び上がりますね。