聯愁殺 (中公文庫 に 18-1)

著者 :
  • 中央公論新社
3.13
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本棚登録 : 891
感想 : 145
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122053632

感想・レビュー・書評

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  • ’21年3月14日、読了。

    いやぁ…「麦酒の家の冒険」の様な、徹底的に論理を闘わせる展開を予想して読み始めました…もちろん、そういった小説、でしたが…なんともグロテスク(?)な読後感。真っ黒。トホホ。

    あと…西澤保彦さんは毎回、そうですが…登場人物の名前、難解で馴染みのない名字で、読めない&覚えられない!ハハハ。

    まあ、これはこれで、楽しんで読みました!

  • 途中までの推理合戦がアホらしく思えるほど真実は奇なり。
    最後の怒涛の伏線回収と恐怖を感じる動機や、これから続くであろう殺人の連鎖。
    警察を一酸化炭素中毒で殺したのは、理由は分かるが、どうやって殺せたのかは不明。ここが気になる。
    事実に少しずつ近づくのではなく、間違った推理を全く無視して一気にゴールに近づいたのは爽快感すら感じる。
    その爽快感を味わうためには前半の茶番推理合戦が必要だが、本当に必要なのかと思ってしまう。
    これは実写化を見てみたい。

  • 全編を通して推理が行われる、とても濃い本格ミステリ。
    〈恋謎会〉のメンバーたちの推理はどれも読み応えがあり、その過程だけでも十分に楽しめる。
    手帳の書かれている場所、空室、などなど奇妙にも思える事実の様々な解釈が面白く、一人二役や性別誤認といったトリックも乱発される。

    そして真の解決も十分に驚かされるもので、時や場所を誤認させる叙述トリックが巧く、ラストも予想を裏切られる。

    また、氷川透は解説内で本作のことをメタミステリと言っており、
    「解決編で初めて重要な情報を出しつつ、本格のスタイルを守るという離れ業をしている」という超絶技巧に気づかされた。
    なるほど確かに
    「問題編/解決編(問題編の一部)/真の解決編」
    という構図になっており、メタミステリとも言えるかもしれない。

    推理合戦、伏線回収、様々なトリック、そしてメタ的な構成、高度な技術。
    これは深い作品だなぁ...

  • 4年前の事件の真相を―― 思い当たる節がなく連続殺人鬼に襲われ、運良く助かった梢絵は<恋謎会>なる組織に自身の狙われた理由の解明を依頼します。 突拍子のない推理合戦の中、各人が持ち寄ったヒントを結び付け真相に辿り着くものは・・・・。

     自分も一員として推理合戦するぞ!という意気込みで読み始めた本作。 各々の推理はあまりに奇天烈、犯人はおそらく既に死亡しているのを良いことに想像力合戦が始まります。 しかし見落とせないのはいくつかの偶然では片付けられない被害者たちの繋がり、どうやら単なる無差別殺人ではないようです。 突拍子のない推理には自信があったけど登場人物がそれを上回ってきたのでびっくり、真相が明かされたときこの作品が読者も交えての推理合戦なんかじゃないことに気付かされました。


  • 先生方が色んな推理をしてて
    根拠もびっくりで
    色んな事実が浮き彫りになってきて
    でも結局本間のことわからんし
    梢絵も空白の期間があったりするし
    よくわからんと思ってたけど
    話が終わったあと
    まだ小説に残りページあったし
    どうなるかと思ってたけどこうか。

    双侶さん
    こんなあっさりやられて
    弱すぎる
    恋謎会の人たちも
    梢絵を送ったん知ってるはずやのに
    梢絵を疑えよ。

    梢絵の狂い方がやばすぎて
    何人目で捕まるんやろうか。

  • あらすじから「黒後家蜘蛛の会」的なものを想像して読み出した。推理集団「恋謎会」が連続無差別殺人事件の被害者にして唯一の生存者を招いての推理談義が始まる。が、正直言うと結末のオチに向けてそれらは全て伏線でしかない。最後に全ては明かされるがそれまでの過程の推理も全部犯人にとっては必要なものだった事が後々わかる。

  • 時系列のトリックに驚いた。全てが繋がった時気持ちよかった。

  • 西澤保彦『聯愁殺』読了。多重推理、多重解決、とにかく冒頭で明示される事件について、ほとんどのページを割いてユニークな面々が推理合戦をする。そして氷川透の解説がまた名文。メタミステリの真の定義について触れていて非常に納得のいく解説をしている。そして、ラストの展開、ほんと最高だった。

  • ミステリを読み慣れた人ならば、冒頭に登場するある場面ですぐに連続殺人の輪・・・ミッシング・リングが何なのか見当がついてしまう。
    集まった「恋謎会」の面々は、さまざまな角度から推理を推し進め、そのたびに矛盾点が見つかり真相へはなかなか近づくことが出来ない。
    けれど、早々に真犯人はこの人では?と想像がついてしまう。
    が、そこからがこの物語の真骨頂である。
    突然襲いかかってきた犯人。
    見ず知らずの高校生は、何故梢絵を殺そうとしたのか?
    動機がわからないまま、事件によって梢絵の人生は大きく変わってしまう。
    連続殺人はいったい何のために起きたのか?
    ターゲットは全員だったのか、それとも誰かひとりを狙った捜査攪乱のための連続殺人だったのか。

    真相が見えた。
    次の瞬間にはまた新たな展開が待っている。
    そして、また新たな展開が。
    「恋謎会」の面々が推理していく過程は少し中だるみ感がある。
    何度も繰り返される推理の応酬は、いかにもミステリ作家らしい推理あり、元刑事らしい推理あり。
    それはそれで楽しめるのだけれど。
    好きか嫌いか、好みによって分かれる物語かもしれない。
    結末を予想しつつ読み進んだけれど、最後まで面白く読むことができた。
    好みにあっていたのだろうと思う。

  • 着眼点はやっぱり面白かったし、議論を通して結果が導かれる過程が丁寧に描かれていたから、そういう点でも興味深く読み進めることが出来た。論を尽くしても尚、最終的に正解が出ないという結末とか、これから起こるであろう悲劇を予兆した最後とか、二転三転の展開にまんまと翻弄されました。でもやっぱり、「七回死んだ男」の方が個人的には好みでした。

著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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