北関東地方の架空の町、汐灘を舞台にした3作品の1作品目。
20年前に少女暴行殺害事件が起きた。幼い少女を暴行したうえに砂浜に埋めるという残虐な事件。容疑者として浮上した庄司は、警察の執拗な取り調べにより犯行を自供し、裁判でも争うことなく犯人として服役していた。
8年前に刑期を終えひっそりと暮らしていたが、周囲から性犯罪者に向けられる目は厳しいものだった。
庄司には、兄がおり、本の虫で、家じゅう本だらけだった。庄司は兄の援助で大学にも進学し、大学院へ進むことも決まっていた矢先に、逮捕されてしまっていた。
12年の刑期を終え、ひっそりと暮らしていた。庄司の無罪を信じて応援する支援の会が集会を開く直前に、再び同様の事件が発生した。少女は死には至らなかったが、意識が戻らない。その容疑者として再び庄司は逮捕されてしまった。容疑は隣家への不法侵入。しかし容疑不十分で釈放されたが、支援する会の活動はしぼんでいかざるを得ない。
支援をする買いの中心人物で弁護士の有田は庄司の再審無罪を勝ち取り、成功をおさめようと躍起になっていた。
汐灘警察署刑事の伊達は、庄司と幼いころからの友人で、20年前に庄司が逮捕されるのを目の当たりにしていた。その後刑事となり、今回の捜査を担当するが、庄司犯人説を強硬に主張する脇坂は、20年前庄司を取り調べ、自供させた本人で、今回の庄司逮捕も脇坂の捜査によるものだった。
一方、20年前に事件で幼い娘を殺された父親、桑原は事件後妻と離婚し今では、マルベリー・モータズという高級外車を販売する会社の社長として地元でも有名な実業家として知られていたが、心臓に病気があり、薬に頼りながら庄司を殺害することに執念を燃やしていた。
庄司がかくまわれているアパートも突き止め、監視しながらチャンスを狙っていた。そんな桑原に脇坂が近づく。
伊達は、脇坂の捜査に疑問を感じ、20年前の事件も冤罪ではないかと疑問を持つ。そんな中、有田のもとに庄司のアリバイを証明する写真の存在を知らされる。勢いがつく有田に脇坂が近づき、庄司を保護しようとした矢先、庄司が行方をくらます。脇坂は、庄司の家で、庄司が20年前の事件の犯人でない証拠を見つける。
20年前の事件の真犯人は誰なのか?
今回の事件の犯人は誰か?
庄司の無罪は証明されるのか?
脇坂は庄司を犯人にできるのか?
桑原は庄司を殺害するのか?
伊達は庄司を救うことができるのか?
結末は衝撃的だった。