予告探偵: 西郷家の謎 (中公文庫 お 75-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054103

感想・レビュー・書評

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  • 破天荒な探偵と振り回される助手という構図。よくあると言えばそれまでだが、迂生は榎木津探偵と関口氏を連想した。比較対象が悪いのかも知れないが、正直あまり魅力的な人物造形はできていないように思う。ミステリとしてはこんなモン見抜けてたまるか、という大ネタが仕掛けてあって、素直に騙されるしかなく、読み返して伏線はちゃんと張ってあるんだなと感心(?)するタイプ。その辺で違和感を懐いたとしても、このオチが見抜けるとは思えず、怒る人はいるんだろうな。迂生は喜びましたよ。ただ、予告状の真相をあっちの方向で解決したのは残念。

  • 最後の最後のオチには確かにちょっとびっくりしたけど予想を大きく外れる事はなく。それも描写が丁寧だったからある程度は想像がついたんだろうなぁ。ミステリとしてはオーソドックス。

  • は?なにそれ?ありえない…。
    と最初は思ったんですが、でも思い返してみると、所々フラグは立っていたなあ、と。
    そうして読み返したり、解説を読むと、なんかちょっと好きかも…不本意だけど好きになってるかも…みたいな自分がいました。笑

  • 「謎は我が解く」
    自ら予告状を投函した摩神は、予告通りに西郷家を訪れる。
    西郷家の当主や兄たちの見守る中で一人娘である花鈴の結婚相手が決まる。
    惨劇はその夜に起きた・・・。

    途中から何となく違和感を感じていた。
    だが、その原因が皆目わからない。
    当主に忠実すぎる使用人たちや、何かしら問題を抱えていそうな兄弟。
    新進気鋭の芸術家と将来を嘱望されながら事故死した当主の双子の妹たち。
    妹たちが事故死した夜に転落死した当主の妻。
    解くべき謎は数多く残されたまま、新たな事件が起きてしまったのだが・・・。
    個性といった言葉では足りないくらい強烈なキャラクターの摩神。
    卑下思考が強いものの平凡な男性・摩神の友人の木塚。
    彼らの関係が残り数ページになって一気に明らかになっていく。
    「えっ?何これ?そんな・・・」と絶句したラストには賛否両論あるのかもしれないけれど。
    肩透かしを突然くらい勢い余って転んでしまったような・・・そんな気分になった物語だった。

  • 大戦の傷跡がまだ深く残る1950年12月,300年以上続く由緒ある旧家,西郷家に「すべての事件の謎を我が解く」という手紙が届くところから物語が始まる。骨格は,古き良き時代の本格ミステリ風の雰囲気。探偵役の摩神の登場の仕方が,自分が謎を解くという手紙を送りつけるというものである辺りは,古典的な本格ミステリのパロディっぽい雰囲気も醸し出している。しかし,真相はその斜め上をいくもの。ちょっとした伏線はあるが,最終段階で舞台が火星であること,使用人が火星人であることなどが明かされる。SF的設定を入れたミステリであり,1950年というのは火星歴の話。東京から疎開というのは,地球から火星に疎開してきていたという真相。ちょっとバカミスっぽい雰囲気すらある。
    フーダニットとしての意外性はほとんどないが,設定そのものの意外性は高い。SF的設定を含んだミステリは嫌いではないので個人的な総合評価は★3。でも,。ロボット三原則まで出しているわけだし,本格ミステリだとして真剣に読んでいたら,真相に怒り出す人もいるかも。

    ○ 登場人物
    摩神尊 
     探偵役。自分が謎を解く姿を予見することができる。
    木塚東吾 
     文筆家。ワトソン役。旧弊主義的表現を好む。
    西郷瑛二 
     西郷家の9代目の当主。事件の黒幕的存在
    西郷涼馬
     瑛二の長男
    西郷倖也
     瑛二の次男
    西郷花鈴
     ヒロイン。花鈴の婿選びが,本作品の主たるイベント
    西郷美和佳・優里佳
     西郷家の先代の双子の娘。美貌を兼ね備えた芸術家。故人
    西郷有加利
     瑛二の妻。故人
    柿沼勇
     柿沼コンツェルツンという財閥の御曹司。花鈴の婿候補のひとり
    緒方博隆
     文部省事務次官。花鈴の婿候補のひとり
    星宮秀介
     東京から疎開してきた自称画家。花鈴の恋人。実行犯。
    南雲游平
     有加利の幼馴染。原子力研究の技術責任者。
    桐野淳蔵
     西郷家の執事。
    茨木比奈子
     西郷家の侍女頭
    那波 
     警視庁の警部
    虎岡
     那波の部下

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    それは大戦の傷跡がまだ深く残る一九五〇年十二月、
    三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。
    便せんに書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。
    それが意味する「謎」とは―。
    本格推理の名手が“難攻不落のトリック”をひっさげて読者に挑む、
    新しいエンターテインメント意欲作。

    ++++++++

    後の作品「木塚家の謎」を先に読んでしまったのでさかのぼり読書です。
    ラストの大どんでんがえし、謎解きではない部分
    (ある意味それも謎なのか)での驚きが大きかった。
    続編を読んでいて主役の性質を知っていても、やられた~と思いました。

    結局バカミスなのかな?これ。
    気軽に!な割には摩神探偵の色々を思うとなかなか深い気もしてきます。
    面白かったです。

  • 木塚家の謎の方から読んでしまったので、ちょっと読むのがとまってる。

  • 最初は主人公の語り口からして俊介シリーズのような分りやすくて古典的なミステリで攻める気かなと思っていたのですが、読み進めるうちにちょっとした違和感が積み重なり、最後は唖然としました。読んでいる最中に思いついたけど一笑に付したアイディアがまさか正解に繋がるとは…。いや見事にやられました。次巻のタイトルが気になって仕方ないので、続けて読みます。

  • このオチは…もう…人を選ぶんじゃ無かろうか。
    最初の方はセオリー通りで微妙に退屈だったけど、後半はわりとすとんすとんと。
    ううーん、でも評価しづらい後味でした。

  • 本格ミステリーの直球が結末で落差のあるフォークに…読者を翻弄。

著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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