八日目の蝉 (中公文庫 か 61-3)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054257

感想・レビュー・書評

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  • これは映像で観たいなと思う。どんどん読み進めてしまう。最後は胸がギュッとなる。母親ではないけれども母親になれた人と、母親なのに母親になれなかった2人の母親に、その娘。幸せになってほしい。

    • raindropsさん
      四季子さん、こんにちわ。
      この本、確かドラマも映画もあったと思いますよ。
      四季子さん、こんにちわ。
      この本、確かドラマも映画もあったと思いますよ。
      2022/01/11
    • 四季子さん
      raindropsさん、こんばんは。コメントありがとうございます。映画は存じていましたが、ドラマもあったのですね。教えてくださってありがとう...
      raindropsさん、こんばんは。コメントありがとうございます。映画は存じていましたが、ドラマもあったのですね。教えてくださってありがとうございます。それと、いつもいいね!していただいてありがとうございます。
      2022/01/11
    • raindropsさん
      いつも四季子さんの感想を楽しみに拝見させていただいています。
      またいい本があれば参考にさせてください。
      いつも四季子さんの感想を楽しみに拝見させていただいています。
      またいい本があれば参考にさせてください。
      2022/01/13
  • 誘拐はもちろん犯罪だけど、その犯人の希和子を必ずしも糾弾したくなくなるような、そんな不思議な物語。
    一番可哀想なのは恵理菜。自分に一度でも愛情を注いでくれた人を恨みたくなんて無かったよね…

    小豆島の綺麗な海・空・木々が浮かぶような描写も素敵。

  • ずっと昔に友達に勧められて積読してあった「八日目の蝉」。やっと読了できた。
    自分を正当化して罪を大きくしていく一方で、優しくしてくれる人間への罪悪感とこの先の不安を抱えて生きていく希和子にすごく感動させられた。我が子のように薫を可愛がり、何よりも愛し、罪を背負ってでも育て、歳を重ねた後でも幸せになってくれと願う事ができるのって、ある意味本当の母親でも難しいことかもしれないなと思った。
    みんな等しく女で、みんな等しく親で、みんな等しく人間である。「自分だけが」「なんで私が」と思ってることの大半は「自分だけじゃない」ことが多いし、みんな何かに対して「なんで私が」って思っているんだと改めて気付かされた。
    空っぽになっても、生きていく目的を失っても人は何かに縋りながら頼りながら生きていくしかないんだなと実感した。

    「八日目の蝉」とうタイトルの意味を理解できたし、みんなが体験できないことを体験するのもまた人生だなと思えた。

  • 人様の子供を奪い誘拐するという行為は紛れもなく犯罪であるには間違いないのだけれど、誰かに守られなければ生きていけない小さな存在を愛しく感じた瞬間から彼女は母親になったのだ。

    傍にいられないとしても、
    幸せを祈り、どうか未来が光り輝くものであってほしいと願う、その想いはとても純粋なものだった。

    たとえ共に過ごした時間は短いものだったとしても、そこに愛は存在していた。
    二人は確かに母子だった。

    自分の体験と照らし合わせながら、娘を想いながら、本を読み映画を観て音楽を聴いて、切なくて何度も涙した。

  • 最後のシーンの美しさとあたたかさがなんとも言えません。

    希和子のしたことは確かに犯罪。それでも確かに希和子は薫の母親だった。未来は見えないのにどうか逃げ切ってほしいと思わずにはいられなかったです。別れ際の言葉に涙が溢れます。

    お腹の中の子どもにいろんなものを、きれいなものをすべて見せてあげたい、という気持ちが芽生えたとき、恵理菜は自分のなかで渦巻いていた気持ちと自分、過去に向き合うことができたように思います。
    子に無償の愛をそそぎ、守ろうとする「母親」の姿が血の繋がっていないはずの希和子と重なります。

    本当の母親のように自分を愛した誘拐犯の希和子、本当の母親なのにうまく愛することのできなかった恵津子。また、愚かな父親ですら、自分が母親になることで許そう、受け入れようと思えた恵理菜は本当に健気で強い…というか、強くなろうとしている姿に感動しました。

    あと、千草が本当にいい子です。
    八日目の蝉。きっとこれから、お腹の子どもと一緒に素敵なものをたくさん見られるよ。

    偽りの母子の未来はなかったけれど、それぞれの未来に光が差し始めたラストがよかったです。

  • この本にはある意味出会いたくなかった。
    もう一度読むのが、切なすぎる。

    けど、また、希和子を応援しながら
    読むんだろうな。

    得意じゃないジャンルだけど、
    やっぱり読めてよかったです

  • 愛人の子供を誘拐し4年間も育てた女性の方が悪い!

    しかしそうさせた男の行動の方がもっと悪い!

    妻とうまくいってないだの、離婚して君と一緒に居たいだの
    ただ居心地の良い不倫相手を手放したくないだけじゃん!
    しかも妻も不倫相手もほぼ同時に妊娠させやがって

    不倫相手には「今生れると困る!」と言って中絶させ
    妻は子供と幸せな3人暮らし

    そりゃぁ恨むに決まっているでしょ

    不倫相手に育てられた4年間は子供(恵里菜)にとって家族とは?と言えるぐらい暖かい暮らし
    一方、実の母親との暮らしは…子供置いて夜な夜な遊びに出るわ、掃除もろくにしないわ、料理作らないわぁ~~、誕生日会とかのイベントやらないわぁ~

    恵里菜が言った言葉
    「あの女(不倫相手)のせいで家族がバラバラ」
    「あの女が悪い」
    「あの女・・・」「あの女・・・」
    じゃない!憎むのはお父さん
    「お父さんが家族をバラバラにした」
    「お父さんが不倫相手とちゃんと別れていないからこうなった」
    「お父さんがあの女の人生狂わせた」

    と‥‥。

    大人になった恵里菜が友達2人と旅に出る。。その場所とはどんなものがあるのか

  • 先月『朝が来る』を観て再読したくなった(永作さんが呼び水に)。1章が私にとっての7日間で、2章が8日目ってことかな。352頁からの薫(恵理菜)のセリフに救われる。世間に翻弄される人たちと、でもそこにある確かな絆...。母性はおそらく一生わかったつもりのままだろうが、そんな自分も生きていていいんだと最後は心穏やかになれる一冊。

  • 数年ぶりの再読。

    以前読んだ時は正直面白いと思えなかった。

    久々に読み返してみて、前回とはあきらかに違った読後感を味わっている。

    ただ、この感覚は何なんだろう。

    決して心温まるストーリーでも、ましてや謎解きミステリーでも、ファンタジーでもSF作品でもない。

    不倫相手の子供を誘拐し、逃亡しながら歩んだ月日。

    決して褒められる事ではないが、何とも言えない不思議な読後感に浸っている自分がいる。

    説明
    内容(「BOOK」データベースより)
    逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。
    商品の説明
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    角田/光代
    1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年「幸福な遊戯」で第九回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で第一八回野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で第一三回坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で第二回婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で第一三二回直木賞、07年『八日目の蝉』で第二回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 誘拐がダメ、とか、不倫がダメ、とか、そういうことはさておき

    人の数だけ、正しさや、苦しみがあると思いますが、ぼくは、千草に、強く共鳴しました

    「私、自分が持っていないものを数えて過ごすのはもういやなの」

    千草は、この世界の中でも、きっと少数派の人間で、どうして私は、って生きているのを感じるのが痛くて

    ないもの数えて苦しむより、あるもの数えて前向こうよ!
    そんなこと、できるんなら、みんなやってる

    できない人が言うから、千草だから、心に響いたのだと思いました

    「見たくないって思うかもしれないけど、でも、ぎゅっと目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもないと、私は思うよ」

    生きにくい人にとって、世界がそうあってほしいと、心から思います

    映画も拝見し、小池栄子さんの演技が素晴らしかったです

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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