樹上のゆりかご (中公文庫)

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著者 : 荻原規子
  • 中央公論新社 (2011年3月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054523

樹上のゆりかご (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • あの上田ひろみだとは思わず読みはじめ、夢の話でようやく気付いた。嬉しかった。
    読んでいると空気が薄くなったように感じる。
    それほどに濃厚な学生生活の話で、学生の頃の苦い気持ちを思い出し、学校って不思議なところだなと改めて思った。
    有理のやり方は卑怯だし下手だとは思うけど、気持ちはわからなくもない。
    みんなが一致団結して取り組んでいる中で、一人乗り切れないのは辛い。
    男性のためのイベントなんか嫌だ、と主張したって悪くないはずなのに、それが許されない空気。
    みんなと別の考えを持つことが悪く思えるというか。
    鳴海くんはいつも集団の中心にあって、みんなが持つべき正しい感情を正しく扱っている象徴のような人。
    有理とは正反対に思える。
    だからこそ有理は、鳴海くんに執着し、ぶち壊したくなったんだろうな。
    空気が排除しようとしている自分という存在を認めさせたい、本心を暴いて鳴海くんにも潜むみんなと同じじゃない感情を自分に向けさせたいというような暴力的な気持ちになったんじゃないだろうか。
    にしても、あの戦い方を女のやり方だと思いたくはない。
    続きがあったらいいのにな。

  • 主人公の女の子がなんだか面倒くさい性格で、読んでると疲れる。
    思春期特有の自尊心の強さが読んでいて痛い。

  • 荻原作品の中で一番これが好きです。というのも、この物語の舞台である都立辰川高校のモデルとなってるのが自分の母校ということで、思い入れがハンパないわけで。
    フィクションである小説を現実世界と照らし合わせて語ることは無粋かとも思いますが、そもそもこの小説を中学時代に読んだことをきっかけに高校を志望したくらいなので、私にとってはこの物語と自分の高校時代は切り離して考えることはどうしてもできないのです。

    ファンタジー要素一切なしのまっすぐな青春小説。
    ひょんなことから生徒会の活動に関わることになった高校2年生の上田ひろみが、執行部の仲間たちや行事の運営、そしてそれに関わる不穏な事件を通して成長していく・・・というシンプルなお話。
    思春期の少年少女の不安定感がなんとも心地よく伸びやかに描かれています。

    この小説は、「女の子」とは?「男の子」とは?そして「辰高生」って何だろう?と悩んだり戸惑ったりするひろみの心理描写と、独特の校風を持つ辰川高校という舞台がとてもマッチしていて好きです。
    やっぱり高校生が行事に一生懸命になる姿って胸が熱くなります。
    それと、物語の鍵となる近衛有理という女生徒と彼女が演劇コンクールで演じる『サロメ』が物語全体の雰囲気をミステリアスにしていて、とても魅力的。

    携帯電話とか出てくるし、舞台は現代らしいのですが、「第七十二群」とか「男子クラス」とかが立高に実際に存在したのは30年くらい前。
    なのでその時代をモデルにしたと思われるこの小説内の学校の雰囲気はなんだかとても古風な感じです。
    思えば『RDG』の学校の描写も結構品が良い感じな気がしますね。

    この作品には魅力的な伝統行事がたくさん登場しますが、私が在籍してた頃には既に「キャンバス作り」も廃止されていたし、火を焚いてファイアーストームするのも禁止されていました。
    変わるものもある。でも変わらず受け継がれているものもあるんだなぁ、とこの小説を読んでしみじみと感じました。

    今、高校時代を振り返ってみると、やっぱりあの空間はなんだか変で独特で、そして特別な空間だったような気がします。
    そんなわけで、あとがきで荻原さんが「このような学校生活は、今どき異世界よりも遠いファンタジーではないか」と書かれているのにとても共感しました。
    だからこそ、この小説で描かれているような「高校生活」って眩しくって愛おしいものなのだと思います。

    余談ですが、さっきなんだか無性に懐かしくなり高校時代のものを漁っていたら、昔の演劇コンクールの演目一覧が出てきました。
    すると荻原さんが在籍していたと思われる1976年に本当にオスカー・ワイルドの『サロメ』が上演されてました。(ちなみにその年の2年F組のクラス展示内容も本当に「多摩の石仏」についてでした)
    小説で『サロメ』を題材にしたのは物語上の演出だろうと思っていたので、かなりびっくりです。でも、その時代に本当にサロメを舞った女性がいたのだと思うと、とても不思議であたたかい気分になりました。

  • ハッシャバイ、ベイビイ、樹のてっぺん
    風が吹いたら ゆりかご揺れる
    枝が折れたら ゆりかご落ちる
    赤ちゃん、ゆりかご、もろともに
    Hush-a-bye, baby, on the tree top,
    When the wind blows the cradle will rock;
    When the bough breaks the cradle will fall,
    Down will come baby, cradle, and all.
    *
    おとこのこって なんでできてる?
    おとこのこって なんでできてる?
    なめくじに かたつむりに こいぬのしっぽ
    そんなもんで できてるよ
    What are little boys made of?
    What are little boys made of?
    Slugs and snails
    And puppy-dogs' tails,
    That's what little boys are made of.
    おんなのこって なんでできてる?
    おんなのこって なんでできてる?
    おさとうと スパイスと すてきななにもかも
    そんなもんで できてるよ
    What are little girls made of?
    What are little girls made of?
    Sugar and spice
    And everything nice,
    That's what little girls are made of.

  • 『これは王国のかぎ』で中学生だった少女の高校生の話。

    何か、若干こじらせ気味に成長した気が。。
    変に冷め気味というか。。
    あの奔放さは魔人だったからで、元々学生生活はこんなスタンスだったのか??

    正直、ヤンデレな少女がメインな話でタイトルも彼女の考え方からきているので
    サブキャラ、という感想を持ってしまった。。

    夏郎との交流で 物語の主人公に自ら突っ込んでく!までいかなくとも前向きになっていくのだろうか。。

    前作のキャラクターを期待して読むと
    ちょっともやもやする。。

  • 「これは王国のかぎ」の続編とはいえファンタジーではなくて、学園もの。高校生になったひろみのお話。

    お話に起伏があるわけではなくて、読んでるうちにハラハラドキドキはないけど、読み終わるあたりにくると、だんだん読んできたものが消化されてまとまってくる感じ。

    サロメの解釈を語り合ってるのがいい。

  • ”これは王国のかぎ”でジンになった少女のその後の話し。アラジンな体験はほんの一瞬ちらりとでるだけだが、それなりに思い入れがあるせいか最後までさっくり読めた。

  • 解説を読んで、ずいぶん昔に読んだこれは王国のかぎの主人公の物語だと気づきました。
    もう一度読もうかな。
    と同時に、上田ひろみと江藤夏郎の今後も気になりました。

    追記
    なんか読み返したくなる本なんですよね…
    ゆりかごについて考えたくなるんです。

  • ミステリアスでこわかった
    こんなのは、読んだことなかったから新鮮で
    おもしろかった

  • この鮮やかな“ゆりかご”の日々よ

    ずいぶん前に「これは王国のかぎ」を読んだので、主人公がどんな女の子だったか、いまいち思い出せないまま読了。けれども、もし覚えたとしても中学生の時の彼女とは重ならないのではないだろうか。それほどまでに高校生活とは密度の濃いものだと改めて感じた。女の子なら大なり小なり覚えがある感情が、本の中にたくさん詰まっている。サロメやマザーグースの取り上げかたも大変興味深かった。
    私は校内イベントをくだらないと不貞腐れていた人間なので、大人になった今この作品に触れて、もったいないことしたなぁと憧憬の念を抱くばかり。

  • 「これは王国のかぎ」の続編。でもべつに前作を読んでなくても本当に平気。ハールーンも出てこないし。
    とはいうものの、おもしろかった。
    こんな風に高校生活を送れたら楽しいだろうなとやり直したくなるくらい。
    たった1日の為にバカみたいに、何日も前からそこ一点に集中して準備してばか騒ぎして盛り上がることができるのは学生時代の行事ならではだったんだよなーと、今さらながら思う。
    「サロメ」の解釈も面白かった。女はこうなんだよって、男に教えてるのはちょっと痛快。
    でもあんな女はやだなー。

  • 解説の人が大学生になったヒロミも読みたいと書いていて、同感。

  • これは王国のかぎ、の主人公が高校生になった。
    前作の内容がおぼろげにしか覚えてないけど
    まあ、問題なく読めた。

    友人に誘われ生徒会活動に関わることになったひろみ。
    学校のイベントにおいて悪意を持った事件が起きる。
    その犯人と目される人物と生徒会長との関係。

    主役をはるタイプではなくて、人の影に隠れているような、誰かと誰かの橋渡しばかりしているけれど
    でもひろみにしかできないこともある。

  •  私はこの小説を、純然たるフィクションの小説として読むことはできない。私も辰川高校のモデルとなった高校の、荻原さんといくつもちがわない卒業生だからだ。行事の描写はほぼそのまま、私自身の体験と重なる。あまりにもリアルすぎる描写を読むことにのめりこんでしまって、話の筋書きが頭に残らないくらい。そして学校の様子が30年以上も前の母校そのままであるのに、CDとかカラオケとかケータイといった現代のアイテムが出てくることに妙に違和感を感じてしまう。そのような読まれ方は作者にとっては不本意かもしれないが、同様の感想を抱く同窓生は多かろうと思う。
     同窓ではない世の大多数の読者にとって、辰川高校の描写は現実離れして感じられるかもしれない。しかし30年前にこんな学校が本当にあって、合唱祭やら文化祭やら体育祭やらにありったけのエネルギーを注いで青春していた高校生がいたのだ。私は自分がその一員であったことを心の底から幸せに思う。

  • 「これは王国のカギ」の続編と銘打つ必要は無いです!主人公が一緒なだけ。私は上田ひろみのその後だとも思いたくないです。「これは〜」に思い入れがあり過ぎるだけに。

    とはいえ、話は面白かった!

    「サロメ」とちょっとだけ「マザーグース」ちょうど「サロメ」を読んでいたのでゆーりちゃんとひろみちゃんの談義は面白かった!

    この年代じゃなくてももしかしたら社会に出て様々な場所で、体験する女子(女性)ならではの思い。
    学校というゆりかごもあるけど、社会にもなにげにゆりかごはあると思ってる。

  • 何とはなしに一緒に手にとった『これは王国のかぎ』の、まさかのその後。
    胸をえぐられた。

  • とある都立高校のできごと。

    生徒会、合唱際、文化祭、演劇…
    ああ懐かしい懐かしい。

    「サン」とか「クン」とか、なぜカタカナなんだろう、と、
    2002年に読んだ時には気づかなかった違和感。
    それは自分が年をとったからだろうか。

  • 『これは王国のかぎ』の続編のような位置づけだろうか?
    『これは王国のかぎ』が千夜一夜物語がベースだったのに対し、今回はワイルドの『サロメ』。実際私自身が高校の時大好きな物語だったので愛着もある。
    現実世界で、男性に弾かれている――社会の中で自分が弾かれていると感じている時に読みたくなる作品。

  • そんな高校生活羨ましい…!
    と思えるイベントの数々。

    夢の話は別の小説に繋がっているのかな?
    そっちを先に読めばよかった(>_<)
    ひろみの恋心も匂わす感じで終わってるので、続き出ないのかな。
    気になります。

  • 読んでいるうちにだんだんその独特な世界観に引き込まれていく本でした。
    「これは王国のかぎ」の続編として出版されていますが、前作を読んでいなくてもほとんど支障はないでしょう。ただ、読んでいるとより楽しめるとは思います。

  • 10年ぶりに再読。ひろみが戸惑い有理が反旗を翻した「名前のない顔のないもの」についてようやく身近に感じることができた。学生時代を終えてからも人はなんらかの「ゆりかご」に属し、渡り歩き、あるいは同時にいくつも関わる。そして「名前のない顔のないもの」からプレッシャーを受けたり、居心地のよさを感じたり、ほどよい距離でつきあったりしていくのだと思う。本書に登場するひとすじなわではいかない生徒たち、先生たちが好き。

  • ひょんなことから高校の生徒会執行部の一員として動くことになった主人公が、元男子校だった高校の闇「名前のない顔のないもの」と向き合うことになる、青春小説。

    舞台は「東京の西のほうにある都立辰川高校と邦立高校」。
    まんま、都立立川高校と国立高校である。
    といってもメインは「辰川高校」で、しかも結構昔(男子校だったころの習慣が残っていたり、学校群制度がある頃)のイメージで形作られている。

    合唱祭や文化祭など、行事の準備の様子が細かく描写されていて、読んでいると無性に高校時代が懐かしくなる。
    周りに立川高校出身者がいないのが残念。

  • 心情細やかに描かれる青春グラフィティ。
    前作未読ですが、普通に読めました。
    高校生活の日常に訪れるちょっとした出来事の起伏や揺れる感情など、誰しもが経験する学校生活をひとつの形に表した作品だと思うのですが、主人公が優等生女子で妙に達観しているので、お話が粛々と進んでいく感じです。個人的にはそこが変に生々しくなくて良かったです。
    主人公が時々前作を懐かしむような吐露をするので、前作を読んでみたくなりました。

  • 作者の書くファンタジーが好きなので、青春小説と書かれていましたが、興味を惹かれて読んでみました。
    男子の多い優秀な高校に通う主人公が、合唱などの行事に力を入れていく過程で、生徒会に参加したり、友人関係で悩んだりしながら学生生活を送っていく。
    女学生の心情がリアルに感じたのですが女性作者だからだと思っていました。しかしそれだけではなく、作者の実体験も含まれていることが書かれていて、納得しました。青春時代を思い出すには性別も優秀さも違うのですが、昔を思い出す清涼空気を感じることが出来ました。

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