サウスポイント (中公文庫 よ 25-5)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054622

感想・レビュー・書評

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  • 特に中盤以降感じていた、半音上にずれてるみたいな地に足つかないふわふわした感じ。

    非現実的な人物やストーリーに、突然ブッ込まれる現実。
    誇張はあるけど、意外にそんな矛盾が現実かも。

    その違和感が

    天国ってこんな感じなのかなぁ、ハワイが近いんじゃないか

    の一文で救われた。

    この違和感も意図して描いたものかな、とか冷静に思ってしまった。

    2020.6.5

  • 『サウスポイント』読了。
    すごく素敵な小説でした。羨ましい展開なのに、ほろ苦い印象。会話の内容がとても素敵でした。ハワイに行きたいな〜…こんな、素敵な会話を今を生きる私たちは出来るのか?それとも、ハワイだからそうさせているのか?不思議な感じがした。いつか行きたいと思う国になった。
    その人が生きた証をウクレレやキルトを用いて、ハワイの気候や自然に寄り添い、残そうとするその過程がなんだか印象に残る。
    その過程で偶然にも再会を果たす二人。なんだか、とても羨ましい展開なんです。
    気がついたら私も今まで出会った人たちの顔を思い浮かべていた。
    元気にしていると嬉しい。
    今はSNS等で繋がっているご時世だけれども。
    心のどこかで思い出して、その人について幸せを願っていることがどれだけ素敵か。再認識させてくれる小説でした。

    2022.4.29(1回目)

  • そのときにそうだと思うことをしていけば、
    ちゃんとつながっていくのだと思う。
    日常の中のしあわせを見逃さずに、
    味わって生活していきたい。

  • 愛読ばなな様。

    単行本の方は表紙がなんかぱっとしなくて気にしなかった。

    装丁がどうであるかってでかいよねぇ。

    海が好きで、パッチワークが気になり、右脳で生きてる私にはどんぴしゃなお話でした。

    人のつながりってのは、理性
    だけでは説明がきかない。

    もっともっと、惹かれるものに惹かれてゆきたい。

    再読必須。

  • " ママといっしょに寝ても、ママはだれよりも遠かったし、ママにおんぶされて寝ても受け止められている感じはなかったなあ。そんなことを思い出した。ママは私を愛しているけれど、たいていいつもそれどころではない。自分がハイでいられるかどうか、それがママの人生の最重要事項だった。それからママは自分以外にはほとんど興味がない。でも、優しいママなんていうのが幻想だっていうのももうわかっていた。例えばここの家の人たちだってきっと単にとことん空気が読めない人たちで、自分勝手。
    パパは死ぬまで私の名前を読んでいたけれど、お酒に酔ったような状態だったのは確かだ。自分に娘がいるという気持ちにも酔っていただろう。
    人間なんてだいたいみんなそんなもの。だから人には夢のようなものやキルトがひつようなのだろう。たまにその中から甘い懐かしい豊かなものが立ち上がってきたときの思い出だけが。
    ほんのわずかにしょげた私が窓から空を見上げると、おそろしい量のつぶつぶの星が夜空を満たしていた。すごい、と息を飲んで、首を出して上を見上げた。天の川が空を渡っている。向こうがこっちを見ているみたいな光だった。首が痛くなるころには気持ちは元に戻っていた。無数の星の光がこちらにせまってくるような感じのそのきもちわるさをみていると、あたりにも遠く多すぎるものに圧倒されていると、ただ感じのいいことだけなんて面白くもなんともないな、と思えてきて、救われる思いだった。 "

    このひと文がすごく好きで何度も読みたいと思った。

    " 「ここでインチキなことをするとほんとうに百倍になって天の雷が下るような気がする。そして美しい考えはよその百倍くらい身を結びやすいんだ。そして人々の悲しみはすばやくなぐさめられる。どうしてだかわからない、奇跡は簡単に起きて、あまりにも簡単すぎてみんな奇跡ということを忘れてしまうくらい。」 "

    と珠彦くんがハワイのことを変なところなんだって住み始めてすぐに思ったって言ってた。吉本ばななさんが「ビッグアイランド」ハワイ島に恋をしているのがたくさん伝わってきて、自分もいつか住んでいる土地と思いを通じ合えるようなほんとうの意味で地に足をつけた暮らしをしていきたいと思った。

  • かなり好きな作品だった。よしもとさんらしい、素敵で癖のある登場人物。複雑な家庭で育った主人公たち。きれいな言葉と、きれいな時間と、うまく表現された淋しさと切なさと、悲しさ。
    一語一句も読み逃してはいけない気がする、よしもとさんの言葉が、すっと入ってきた。

    情熱的ではないけど、運命のような2人の愛が、ハワイという大らかな場所でまた実を結ぶあたりは、一気に読み進めてしまった。家族という存在の大きさも響いてくる作品だった。

  • 家庭環境には恵まれなかったテトラと珠彦。
    二人の初恋と再会の物語。
    素敵な、神秘的な物語に心洗われました!

  • 「足りないものはないから失うものもなにもないんだよ。命以外には。」と言う珠彦くんも仮病使ってでも帰りたい気持ちを大切にするテトラちゃんもけちけちしてなくてとても好き。透き通るような自然の描写にハワイ島の風の匂いを感じる。

  • ーパンケーキ屋が終わって、甘い粉の匂いがする彼女が玄関に入ってきて、おふくろはまだアトリエにいて、じゃあごはんでも作りましょうってことになって、彼女が夕食のしたくを始めると、幸彦がウッドデッキに出てひたすらウクレレをひいて、まずポキが出てきて、みんなビールを飲み出して、その頃にはおふくろがアトリエから出てきて、何か温かいものができるのを待っている時間は、とてもいいものだったんだよ。ハワイにいるということのなかでもかなり上のほうに入る、いい時間だった。ー


    わたしはばななさんの、日常のなかにあるまぶしくてあったかい、幸福を言語化してくれるところが強烈にすきで、それを見つけると、はっとしてそのことばたちをメモしてしまう。
    思わず目を細めてその情景を想う。

    今回は、初恋とハワイと、愛と死と祈りのキルトのおはなしだった。テトラちゃんと珠彦くんの。

    マオという名前を聞いて、あれ?と思った。
    インド、信仰宗教、スピリチュアル...。
    なんだか既視感があると思ったら、何度も読んだ「ハチ公の最後の恋人」に出てくる、マオちゃんとハチの家族その後のおはなしだったので、ものすごく驚いた。
    ふたりが、いっしょにいてよかった。

  • 2021.8.22

    『ハチ公の最後の恋人』の後続編

    ハワイのお話。
    よしもとばななの本はやっぱりスピリチュアルで、悲しくて暖かい。

    ハワイに私も行ってどんなところか知りたいなと思った。
    主人公のテトラと珠彦くんはハチ公の主人公2人に通じるところがある。
    運命的なものを受け入れるところとか。



  • かなり好きで付箋貼るのも忘れてガンガン読んだ

  • 再会の物語。
    ハワイ島行きたい。

    「でも、今を創ることが未来を創るのだ。そうなったらそのときの自分にたっぷり悲しんでもらえばいい。」

  • あらすじだけ読んだら何てことないんだよね~。小学生のころの初恋の相手に大きくなって再会したというはなし。
    だけど、よしもとばななの文章はどうしてこんなに心に染み渡るんだろう。
    平易で、優しい言葉で紡がれる、まさに紡ぐという言葉がピッタリの文章が、いつどんな気持ちで読んでも、その時の自分にちょうどいいかたちで寄り添ってくれる。
    何か所かで涙し、何度も立ち止まり言葉を反芻しました。
    やっぱり、ばななさん好きだわ~。

    この作品全体に流れるウクレレの響き、ハワイの光と風に癒されました←聴いたことも行ったこともないけど。
    ウクレレ弾いてみたくなったけど、ハワイの自然と溶け合う音と書かれていたから、日本で弾いてもダメダナ・・・

  • 読み終わってホッとした
    よしもとばななの小説に出てくる女の人は、魅力的なのに押し付けがましくないから好きだな

  • 『本は読めないものだから心配するな』(管啓次郎)で紹介されていたからだけれど、やはり今年はハワイ島に行くとおもう。
    吉本ばななだなぁと思った、久しぶり。恋愛と死がすぐそこにある感じがする。
    あの頃の二人はもうどこにもいない、と歌ったのはユーミンだったかね、だからもういっしょに生きて行くことはできない、のではない、ここでは。
    つぐみ、とか、キッチンとか、好きだったはずなのに本棚にない。

    管さんも書いていたが、吉本ばななは立て続けに何冊も読めない、と。確かに。なんだろう何かが濃過ぎるのだ。

  • 奔放な人々の家庭に育った二人の男女の初恋と再会を描いた内容.互いを忘れずにいた珠彦とテトラであるが,記憶のとどめ方・保ち方にはやはり男女の差が出てくるということなのだろうか.珠彦とテトラの再会がややこしいので,サウスポイントという地点そのものに象徴性があるようにはあまり読めなかった.まあ,初恋が実ってよかったですね,という感じ.

  • ハワイ島だからこそ包める物語。

    きらきらとせず、どろどろと自覚した上での、清々しさ。

  • 素敵なお話でした。

    なんで私たちは身の丈に合った以上の幸せを求めてしまうんだろう…そんなことを考えながら読んだ。
    よしもとばななさんの本は、辛いことももちろんあるんだろうけど、いつも満ち足りている。

  • 世界の果て、天国に近い場所ハワイのサウスポイント。
    日本では絶対に感じることのできない魂の輝き。
    ハワイにいつか行って、魂の震えを感じてみたい。

  • よしもとばななさんの本って
    読むとココロが癒される

    これ読んでないなーと手にとったら
    ハワイの話だった
    ハワイ行ったことないけど
    ギラギラする太陽の照り返しとか
    読んでてカラダに感じるようだった

    「ハチ公」の後日談だったんだね
    また改めて読みたくなっちゃった。

    最近、いろんなところでハワイと縁がある

    やっぱ、呼ばれてるのかなーー(笑)

  • 読んでしまったら、何度も読み返したくなった。
    ものすごく不思議な話ではあるのに、なんだか自分もそれを経験したことがあるような気がした。この小説が持つ空気感を例えるなら、ハワイでいきなりざあざあした雨と生暖かい風に吹かれて、それが止んだ後に海を眺めると、遠くの方が白くなっていた、という感じ。
    登場人物それぞれの生き方にすごく惹かれたし、同時に強く共感できて、深いデトックス感を味わいつつ、やっぱり少し切なくなった。そんな小説です。

  • ある時パッと現れて読んだ 。
    この夏、欧州を周遊したときに自ら得た言葉がそのまんまの言葉で書かれてあった 。

  • 管啓次郎「本とは読めないものだから心配するな」つながりで。運命的な恋人同士ならパッとわかる、偶然出会う。あまりに近しい人を亡くして、亡くした人になりかわろうとする。というのは、「キッチン」と「ムーンライトシャドウ」の頃から変わらない、ずっと大事にされてることなんだなあ、というのをまず感じた。子供のとき、お互い強く好き同士だったのにいつか離れてしまったふたり。大人になって、ふと耳にしたハワイアンソングの歌詞が、わたしが夜逃げする時に送った手紙そのものだったことから...という物語。なぜそんなことしなければいけなかったんだろう?という再会から、ハワイのあたたかく甘い空気のなかで、わだかまりも時間もこえて、出会い直すような物語。◆世界は恋愛だけでできてやしないんだ、そんなに雑なものではないんだ、もっときめ細かな夢のようなもので、ひとつの糸は必ず布全体につながっているんだp.52◆眼の前にいるこの人は幸彦さんの薄い影。そして私は昔の私の幽霊。ここには生きて躍動しているものはなにもない、そういう印象がある。p.140◆「ここにいると、足りないものはないから、失うものもなにもないんだよ。。命以外には。」p.147

  • ◯その「そうだよ」を聞いたときの甘酸っぱさを一生忘れないだろう
    ◯一生忘れないよ、あの驚いた顔も、あの風の感じも空が真っ青で飛べそうなくらいに近く感じたことも。自分が彼に会えてどんなに嬉しかったかも。

  • ハワイのきらきらしたすてきな感じを、そのまま手渡された様な本。

  • 家族のかたちはそれぞれ。
    理想や憧れを持ちすぎてしまうと
    自分が苦しくなってしまうものだと思った!
    その面、珠彦の生き方はとても賢くまたどこか
    切なさも感じる。
    どのキャラクターも魅力的で素敵だったなあ

  • あの本の続編だったとは知らず、読んでいる途中で気づく。
    よかった。そして、あの本をもう一度読み直してから、もう一回読みたい。

  • ハワイ島もう一度訪れたい。

    ばななさんの小説はわたしを癒す。
    今回も心が静かに着地していく。
    でも、
    まだ、足りない、もっと読んでいたい。

    p231
    でも今は古くから見ていた夢の中でまどろんでいよう、そう思った。やがてその夢の力が私を支える日がくるだろう。そんなふうにこの島は、あの世とこの世がとても美しい結び目でつながっている不思議な場所なのだから。
    私はあの日、サウスポイントではっきりとそれを見た。

    p229
    大丈夫、大人がふたりでいるだけなんだから。これから起こることは、全部自分のせいなんだから。もはや親のつごうではないんだから。

    こんな、やわらかくも強い言葉が紡ぎ出される物語が私は好き。
    たおやかさ。

    退廃的な、うら寂しさを感じたヒロのまち。
    日が傾いてて、日陰になった野っぱら公園にも人は少なかった。田舎の貧しさみたいなものもあったな。一度だけ行ったことがある。
    ここは、その時の私には、必要ではない場所だった。

    今の私が訪れたら
    どんなふうに感じるのだろう。

    もう、海外はいいや、って思っていたけど
    ハワイに確かめに行きたいな。

  • なんてことない作品だなあと思った。なんてことなさすぎてちょっと退屈してしまった(?)。

  • ばななワールド、時々恋しくなる。読んで良かった。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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