黒船の世紀(下) - あのころ、アメリカは仮想敵国だった (中公文庫)

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著者 : 猪瀬直樹
  • 中央公論新社 (2011年6月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122054943

黒船の世紀(下) - あのころ、アメリカは仮想敵国だった (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 戦争前に日米双方で互いについて同じ不安を持っていたことを知った。以前「昭和16年夏の敗戦」も読んだが、日本はなぜ誤った道を歩んでしまったかが悔やまれる。(アメリカがうまく立ち回れただけで正義となったしまったのかも知れないが)

  • 追い詰められたのは外圧(アメリカ)であり、世論(日本)でもあった。
    戦争になれば日本に残された戦法は紀州しかなく、それは日本に勝ち目がないことは山本はわかっていた。

  • 大変面白い本。

    未来戦記に限らず、将来の国際情勢を予想する類の書籍は、現代ではあまり見かけない。昔は外国に対する不安が高まっていたとはいえ、現在の状況はあまりに寂しい。
    大局観のない、世界での役割に無頓着な日本という国をよく表しているといえよう。将来の日本はどうあるべきなのか、停滞期であるからこそ議論したい問題だと思う。

  • ■概要
    本書は、黒船を起点に日米戦争に至る日本人の精神を、日米未来戦記を解き明かすことで描いたノンフィクションである。Ⅲ部構成で、日米未来戦記がどのようにⅠ勃興し、Ⅱ流行したか、最後にⅢ物語と現実が交錯していくさまを描いている。


    ■サマリー

    [Ⅰ太平洋へ向かうベクトル]
    黒船の衝撃が旧体制を崩壊させ、日本人は外圧対策として日清、日露戦争へと進んだ。日露戦争後、脅威の対象は、太平洋を越えて対峙する黒船の国アメリカに向かった。最初の未来戦記、水野広徳の『次の一戦』は、そうした米国に備えよと軍備拡張を主張した。米国では、極東で力を増す日本の脅威を綴ったホーマー・リーの『無知の勇気』が人気となった。



    [Ⅱ日米未来戦記の流行]
    第一次大戦の時代、日米未来戦記はブームを迎えた。樋口麗陽、押川春浪、佐藤歌鋼次郎、、、といった流行作家が次々生まれた。米国は悪だ、恋やヒーローの冒険、軍拡プロパガンダ、出版社の思惑などが互いに刺激しあう。一方、第一次大戦下の欧州を視察した水野は、近代戦争の悲惨さを知る。英国では、ジャーナリストのバイウォーターが、軍事データと知識に基づく緻密な日米戦シュミレーション『太平洋海権論』『太平洋大戦争』を書き上げた。



    [Ⅲ物語と現実の交錯]
    水野は、『海と空』『日米興亡の一戦』で東京が空襲される悲惨な姿を描いた。他の作家たちの空襲は、SFや楽天的なエンターテイメントの要素が強く、開戦の空気を励ますことになった。山本五十六は、バイウォーター『太平洋大戦争』をほぼ踏襲する作戦を立て、戦争の結果も同じシナリオを辿った。


    ■特徴
    ・通常の歴史書と違って、一般庶民の空気感を読み進めながら感じることができる。
    ・詳細で緻密な文章から、知らなかった歴史の事実をいくつも発見することができる。
    ・「日本人は、なぜ米国と戦おうとしたのか」「なぜハワイを奇襲したのか」など、推理小説のように読むことができる。

  • 昔、ミカドの肖像や土地の神話を読んで、猪瀬直樹氏とは興味深い視点で書く人なのだなと思っていた。
    それとは別に最近太平洋戦争の話が気になっていて、春から夏にかけてやっていたNHLスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」をみたり、本を読んだりしていたのだが、この本が文庫で復刊したというので読んでみることにした。
    黒船の世紀とあるが、最初こそ幕末のことで話が始まるが、大凡は数々の未来戦記を紐解きながら太平洋戦争に向かっていった当時の日本や米国の事情を綴った本である。
    うなったのは、このようにユニークな視点で当時の世情を切り取り、国民が戦争に向けて前向きな世論に乗って行ってしまう雰囲気を記したところだった。

    私の浅はかな知識では、戦争に向かう大衆の勢いというか情勢は、政府や軍によって産み出されていたのだと思っていたのだが、この本を読むとその認識がぐらついてしまう。
    何人もの作家が世界の事情から米国との対戦は避けられぬと、ならば日本はこうだから戦争はこう戦うべきだと書いて、それこそが世情を煽ってきたというのが本当の事情らしいと読んだ。
    しかも日本側だけではなく、米国や英国側からも同じように太平洋戦争に関する本がいくつも出版されている。
    NHKスペシャルを見たときにも思ったのだが、政府や軍には本当に太平洋戦争までやろうと考えていた人は多くなかったようで、何とか開戦を避けようとしていた人たち、開戦しても戦線拡大を避けようとする人たち、しかしそれを押し留めるところへ意見を強力に収束させることが出来ず、はたまた世論の声を押しきれずに破滅的な戦争に進んでいったように感じられた。
    これは結局、最近の政局にも言えることなのだが、日本にはこういう大事のときにリーダーシップを取って国を動かせる人が産まれないということ、そういう人材を産み出せる仕組みが備わっていないということなのではないかと思った。
    ときおり偶然に出てきた強いリーダーシップの保有者に頼っているだけだったのではないだろうか。
    米国もいくつもの失敗をしているが、リーダーシップを備えるための教育や社会の仕組みははるかにしっかりとしているように思える。
    と、戦争の話だけではなく、日本の仕組みにまで思いを馳せさせてくれた良著だと思う。

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