廃墟のとき (中公文庫 あ 61-5)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055070

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  • 生きることをやめ、期限をきめて最後の日に向けて、スタートを切った女の話。

    最初は読みにくかったけれど、後半は展開が早く、体の関係を持った男、桧山という心がつながりそうな男、それらの間でどんな結末を迎えるのか、興味を持てたかな。

    最終的には罪を犯すことで、違う意味のリスタートを切らざる得なくなったのだけど・・・。

    人は死を意識すると、なんでもできるように気持ちになるし、恐れるものも、失うものもない気持ちになる。
    でも、あくまでそんな「気持ちになる」だけであって、今回の主人公も言っていたけど、期限を長く設定することで、気持ちも変化する。

    日々の中で、少なくても生きていくお金があり、出会いがある以上、死を恐れる気持ちが芽生えてもなんらおかしくない。

    私もそれは同じだと思う。
    いつ死んでもいいと、心では思っているけれど、果たしてそうなのかなと。
    守りたいものができてしまうと、人は弱くなる。
    何度も語られていることだけど、それは真実に思える。

    それにしても、甘い言葉で誘ってきた男に関しては、あそこまで裏があるとは思えなかったな。
    私も軽く騙されるだろうし、ミサが「自分は特別なんではないか」と思う気持ちも理解できる。

    彼がなにを求めているのか、私には最後までわからなかったけど、遅かれ早かれ、あのタイプの男は淘汰される気がしたよ。

    ミサに共感できる部分は少ないけど、死を考える人間の気持ちは、人それぞれだと思うから、ミサはミサの思う生き方を貫いたんだろうね。

    でも、貫き方が甘かった。
    生きることに執着しているってことなんだよ。

  • 切ないはなし。取り返しがつかないところまで いくまえに 本当に大切な人がだれなのか わかるといいんだけどね。

  • テーマも斬新で登場人物も細やかに描かれ、いつもながらの丁寧な心理描写も見事で飽きる事無く一気に読めました。

    明野さんの作品は読んでいる間、終始脳内映像で人物が動いています。

    今回も主人公の美砂、そして美砂に関わる男性2人も絶えず脳内で動いていました。

    一筋縄では行かないストーリー 本当に明野さんの作品は面白いです。

  • まあ普通かな。

  • 救われない話はわりと好きな方だが、これは凹む。ホラーじゃないのに、ゾクッとする感じ。

  • 世界が色を失ったとき、
    死に時をきめた38歳女性の自滅ショーがはじまる。


    "「愛している」と言い合うより、
    誠実であるような気がした"
    という台詞が、妙に刺さった。

    後半の急展開、頼りなく崩れていく見せかけの日常

    10ヶ月、3千万で何をするのか。
    どう死んでいくのか。

    生きていく環境において、
    手放せないものは変化するのだろうか。
    そんなことを考えた。

    どう生きるかという本は多いが、
    どう死にたいかという本はそこまで多くない。
    もっと死に方について考えたくなる。



  • 唐突に臨界点を迎えた、人生に倦んだ三十八歳の美砂が、離婚し仕事も辞め、鬱病に気付かないまま十ヶ月後に自殺すること、それまでの間を可能な限り飾り立てることを決める。同じように絶望した男性や魅惑的な別の男性と関係を持つ中で自覚なく気力が回復するが、弄ばれ脅されることになる。滑らかな鬱描写に寄り添った。

  • うーん、もっと悪女のような女子になって、世の中や男をめちゃくちゃにするのでは、っていう期待があったんだけどな。あの百田さんの本のような。でも彼女くらいの自殺願望での変身くらいでは、そこまで破滅的なキャラにはならないのかもしれないね。結局男女の中で溺れる程度で、どうしようもなくなって逃げる、みたいな。殺さなくても何もかも捨てて逃げれる立場なのになーと思った。

  • つーか、殺しちゃった後からパリに行って死ねば良かったんじゃないの⁇
    ただのわけわからんおバカの話でした

  • 最後があっけない。思うとおりにはならない。不思議な展開

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著者プロフィール

明野照葉

東京都生まれ。一九九八年、「雨女」で第三十七回オール讀物推理小説新人賞を受賞。二〇〇〇年、『輪廻RINKAI』で第七回松本清張賞を受賞、一躍、注目を集める。ホラーやサスペンスタッチの作品を得意とし、女性の心理を描いた独自の作風はファンを魅了してやまない。『汝の名』『骨肉』『聖域』『冷ややかな肌』『廃墟のとき』『禁断』『その妻』『チャコズガーデン』(以上中公文庫)、『女神』『さえずる舌』『愛しいひと』『家族トランプ』『東京ヴィレッジ』『そっと覗いてみてごらん』など著作多数。

「2020年 『新装版 汝の名』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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