堂島物語(1) 曙光篇 (中公文庫 と 26-13)

著者 :
  • 中央公論新社
4.23
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本棚登録 : 199
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055193

作品紹介・あらすじ

米が銭を生む街、大坂堂島。米問屋である山代屋へ、十六歳と遅れて奉公に入った貧農の倅・吉左には「暖簾分けを許され、店を持つ」という出世の道は閉ざされていた。しかし、刻々と変わる米相場の世界を舞台に、相場師としての才能を発揮していく。本格時代経済小説の登場。

感想・レビュー・書評

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  • 面白い!
    米問屋とか、経済小説とか
    苦手なので今まで避けていた。
    しかも、本の表紙だけ見ててっきり
    漫画本だと思い込んでいた。

    イヤイヤ~
    米相場とか全く分からなくても
    しっかりと説明してくれるので
    問題無く読み進められる。
    また、この作者の描く主人公って
    素朴だけど人間味のある人が多くて
    こんな息子が欲しかった~
    と思わせるんだよね~。
    1日で読了!

  • 絶対的

  • 主人公の吉左は、貧しい農家に生まれ、総領だが継母に追い出されるようにして丁稚に出された。奉公先は、大坂は堂島の中規模な蔵米問屋、山代屋。相場師の才ある吉左は、奉公の合間に先物取引(つめかえし)を通じて米商いのコツを覚え、日々成長していく。将来大物商人の予感が…。

    吉左のものに動じないあっけらかんとした性格は、読んでいて気持ちいい。江戸時代の蔵米を小切手で売り買いする米問屋の商いの仕組みが分かるのも、読んでいて楽しい。

  • 歴史小説という体裁を取った、株の本ですね、これ。読むきっかけは”マストリード”シリーズから。商人と台頭と武士の凋落が、当時の最重要取引である米の売買を背景に、鋭く描き出されている。今はまだ、個人的趣味の域を出ない主人公の才腕が、今後どのように市場をかき回していくのか、っていうのが本筋ですね、きっと。枝葉として描かれる、兄弟や想い人との関係性も、アクセントとしての見どころになってきそう。6巻までの大長編だけど、これからの展開に期待が膨らみます。

  • 享保期の大坂の米市場を舞台にした物語。時代小説でありながら、取引市場の仕組みや雰囲気を感じられて面白い。主人公の吉左は、継母に追い出されるように大阪の米問屋に奉公に出される。当時としては遅い16歳の時である。しかし、村にいたときに寺で暮らしたこともあり、読み書き算盤だけでなく、和尚の崇高な精神も学んでいた。おかげで、米取引で身を立てるために周りの様々な情報に耳目を開き、本当に役立つ情報を自ら選んでいく姿が凛々しく思う。吉左は、黙認されていた「つめかえし(今の先物取引)」で儲けていく。今後、どんな風に設けていくのか楽しみである。

  • 凄く面白くて、4巻まで一気に読了。
    自分も先物やるので、当時の米相場のやり方が緻密に書かれているのがまず面白い。
    そして主人公が非常に実直で三方良しを努めているのが、読んでいて清々しい。自分も丁寧に生きよう、と改めて思う。
    時代小説らしく淡々と描写されているのに、こんなに面白く感じるのは自分でも意外だった。

  • 十六歳と遅れて米問屋へ奉公に入った、貧しい百姓の少年、吉左の成長物語。
    “奉公モノ”というと、周りが意地悪な人ばっかりなイメージもありますが、この作品は、藤助や、お亀、月照様など、吉左の味方もいるので心強く(勿論嫌な先輩キャラはおりますが。。)、吉左自身も応援したくなるようなキャラなので、彼の成長が楽しみです。
    当時の米取引の状況も詳しく書かれていて、その部分も興味深く読めます。

  • 16歳と遅れて奉公に入った貧農の倅・吉左。
    奉公先は米が銭を生む街、大阪堂島に店を構える山代屋。
    米相場の世界を舞台とした本格時代経済小説。
    吉左の才能と周りの人物に注目。
    江戸時代の米安の理由や米相場の仕組みも分かってくる。

  • 面白い。
    星4つにするかどうか迷う。

    エンターテイメントとして正しい文法で書かれている点を高く評価したい。

    一つは、読者を楽しませてくれる仕組みを持っているという点で。
    一つには、読者に新しい知識を与えてくれるという点で。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「堂島物語」
      ってコトは、大阪が舞台?エンターテイメントならサクッと読めそうですね!
      「堂島物語」
      ってコトは、大阪が舞台?エンターテイメントならサクッと読めそうですね!
      2012/08/27
  • すぐ続きを読みたくなる。

  • 働くことの芯の部分を快活に、心情豊かに描く。

  • 基本、投機は好かんけど、中々おもろいな。続きが気になる。

  • 軽快な読み口で一気に読ませる。第一巻では登場人物の大まかな人物像を描き、次巻以降が本格的な物語りになるのだろう。米相場という現代人には馴染の少ない題材だが読んでいて飽きないのは作者の妙だろう。次巻が楽しみ。

  • 米相場を描いた時代経済小説シリーズ第一弾。

    小作人の長男として生まれた吉左は義母との関係に悩んでいた。
    義母は自分の子供に後継となって欲しい。その気持ちを露骨に示してくる義母に殺意を覚えた事もあるが、その気持ちも理解出来るのであった。それに兄として兄弟達も可愛い。
    義母が死ぬか、それとも自分が死ぬかしか無いと考えた吉左は川に身を投げるがひょんな事で命を救われる。
    命を救われた吉左は生まれた変わった気持ちに包まれていた。そんな時に庄屋の紹介で大阪への奉公する事に決まったのだった。
    奉公先は米問屋。丁稚の仕事をやりながら商人としての勉強を続けて先代である隠居の月照様に薦められて相場の世界へと足を踏み出していく。。


    吉左の過ごしてきた毎日はとてもとても悲惨でした。
    義母に疎まれ寺へ入り、父親の体調が優れないと呼び戻され、体調が良くなるとまた疎まれる。自分を必要とされない辛さを噛み締め続けた毎日だったように感じます。
    金。その力を思い知った吉左は商人として、そして相場師として才能を開化していく姿は救われる思いがしました。

    この物語は吉左が成長していく物語ですが、吉左がとても親思いでどんな酷い仕打ちを受けようとも親への仕送りを心掛け、兄弟達の手習いをさせて自分の道は自分で決めれるようにさせている所がとても魅力的だと思えました。


    「自分は堂島一の米仲買人になる。」その決意を元に吉左は明日と向かう。

  • 時代劇経済エンタメ小説。
    主人公成長物語とベタ要素にすでに完結という安心。
    変わった舞台設定を楽しめるので続きが楽しみ。

  • 人類の金融史上で初めて先物市場が開かれたのは、なんど日本。しかも江戸時代のこと。大坂の堂島米会所だ。そんな米取引にまつわる立身出世の物語り(だろう)。まだこの一巻だけだが、おもしろくてすっとこの大坂の米商人の世界に引き込まれた。FXや株取引に興味がある人にはなお身近に感じられる小説だろう。
    主人公:吉佐は貧しい百姓のせがれ。継母に疎まれて、寺に出され、家に戻され、丁稚に出されとつらい少年時代を重ねたが、そんなつらさを知っているからこそ、丁稚生活を苦に思わないところが強みになった。そうして吉佐は米商人に向けて成長をし始めるのであった・・・・。

  • 家族のため、米問屋へ奉公に行く吉左。
    様々な苦難の中、相場師として才能を発揮していく。

    冒頭20ページの決断に度肝を抜かれ、引きの強さに鼓動が高まった。
    男前すぎるぞ!吉左。

  • 苦労者吉左のサクセスストーリー
    コメ取引の面白さがわかる
    本格時代経済小説の名に偽りなし

  • 江戸時代の経済小説とは面白そうだと思い読んでみました。
    当時の米に関する商いを知る事が出来て、とても勉強になりました。こんなに昔から先物取引が行われていたのだなあと感心して調べてみたら、なんと”1730年に江戸幕府が、大阪堂島米会所に対し米の先物取引を許可したのが、先渡し契約の無い近代的な商品先物取引の始まりである”と書いてあって驚きました。
    世界初というところに、江戸時代の安定と経済の活発さを感じました。
    文章は読みやすく、さらさらと読む事が出来ました。登場人物は良い人達が多いです。主人公は素直ですが、素直過ぎて感情移入がし辛くも感じます。理由の無い素直さではないのですが。物語は、どんどん出世して行くのが爽快でもあり、上手く行きすぎではないかと釈然としない気持ちもあり、というところです。
    先の展開がとても気になりますので、4巻まで読んでみようと思います。

  • 青春物語でもあり、経済小説の面もある1人の少年の物語。
    同作者の軍配者シリーズが面白かったので手に取ってみた。
    貧農の家に生まれた吉左が、人の心の機微を読みながらもひねくれずに、自分の身を立てようと志を立てる様子に取り込まれる。
    経済小説に伴う相場感覚とでも言いましょうか…あの取引の背景のような時勢・情勢などを読む“読み”の感覚がどうにも苦手なんですが、これなら読めました。
    とても気になるところで切られていたので続きが気になる。

    それにしても、この作者の描く少年は見ていて気持ちがいいですね。

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著者プロフィール

1961年北海道生まれ。98年に『修羅の跫』で第4回歴史群像大賞を受賞しデビュー。以降、時代小説や警察小説を中心に活躍。本書はドラマ化もされた「生活安全課0係」シリーズの主人公・小早川冬彦が、警視庁本庁から日本各地へ活躍の場を広げていくシリーズ第2弾。著書に「SRO 警視庁広域捜査専任特別調査室」「スカーフェイス」「警視庁SM班」などのシリーズ他多数。

「2023年 『スカイフライヤーズ 警視庁ゼロ係 小早川冬彦Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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