小さな男*静かな声 (中公文庫)

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著者 : 吉田篤弘
  • 中央公論新社 (2011年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122055643

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小さな男*静かな声 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 3読目。
    文庫本ははじめまして。
    大好きなお話。
    表紙をちらりと見ただけで、幸せいっぱいになってしまう。
    こういう本をもっと何度も読みたい。
    はじめましての本との出会いももちろん大切だけど。

    お久しぶりの「小さな男」と「静かな声」のお二人。
    お変わりないような、ちょっとだけ前よりお二人に近付けたような。
    私も成長したのかしら。
    それとも込み入ったことになりつつあるのかしら。
    ただひとつ確かなのは、前よりもこの二人のことが好きになってしまったということ。
    そして他にもミヤトウさんや、小島さんや、妹さんや、弟さんのことも。
    前もかなり好きだったのに(小島さんに関してはもしかしたら少し胡散臭いものを感じていたかもしれないけど)、もっと好きになってしまった気がする(小島さんの胡散臭さまでも)。
    これも私の成長の証かもしれない。
    成長というより老いの証なのかもしれないが、こんな特典付きなら大歓迎だ。
    またこの本をめくる日が待ち遠しい。
    今すぐにも読み始めたいくらいだけど、お久しぶりですの距離感が心地良い気がするから。

    今回の収穫はもうふたつ。
    ひとつは「小さな男」の秘密(大げさ)。
    吉田篤弘さんのエッセイに書かれてたいろんなお話が「小さな男」のつぶやきの中にちらほら散らばっていた。例えばノートのこととか。
    なんとなく「小さな男」と吉田篤弘さんが重なる瞬間があって、にこにこ、にんまり。
    そうかそうか、と何かが分かったような気分。
    次の再会の時にはもっと近付けてるといいな。

    もうひとつは重松清さんの解説。
    とっても素敵な解説だった。
    この本の紹介文としては最良のものではないか。
    私の長々とした駄文が、こんな素敵な解説に化けてくれたらいいのに。
    その気持ちもまた次の再会に取っておきましょう。

  • ”そこには共有の喜びと独り占めの喜びが、矛盾しながらも同居していた。” (p335)

    まさに、です。
    わたしにとって吉田篤弘さんの本は、まさにこれなのです。

    わたしは、彼の本が大好きです。他の作家の本も楽しんで読むけれど、彼は好きな作家でダントツ1番なのです。

    同じ様に音楽の中でもダントツ1番のアーティストがいます。こちらに関しては本とは違って、他の音楽は聴かなくていいから、彼らの音楽を聴きたいってくらい大好きです。

    それでわたしは、彼らのようなわたしの中の「ダントツ1番」を知り合いに薦めて共有したいだなんて思いません。独り占めしたいと思ってます。彼らの言葉や詞や物語や歌は全部、わたしのために向けられたものだって思いたいし、そんな気が(勝手に)しています。
    だからわたしは、知り合いにおすすめの本や音楽を聴かれても彼らを薦めません。(良いファンではないですね。ただ、私が薦めなくても、彼らの作品を好いている人を見つけたら、嬉々として話しかけたいと思ってはいます。残念ながら未だ見つけたことはありませんが。)

    でも、でもです。
    吉田篤弘さんにしても、某バンドにしても、私以外にも沢山のファンはいます。私が薦めなくても、彼らの生み出すものを、私と同じ様に「好きだ」「素敵だ」と思う人たちが多くいるのです。私はそういう私以外のファンの人たちと(直接の知り合いではないけど)、大好きなものを「好きだ」「素敵だ」と共有できることに喜びを感じるのです。

  • 好きすぎて、今まで感想を書くことができませんでした。
    ものがたりの筋が?言葉の言い回しが?一人称と三人称の交錯が?
    いやもう別にそんな評論めいたことはどうでも良いのです。
    小さな男が、静かな声が、その声を嫌う彼女が。
    アレキサンドリアが。詩としての灯が。自転車が。
    日曜日の新聞が、支度中が、ココアが。
    クリームソーダが、心の中の姉が、「ついに」が。

    この本の中の文章すべてが、活字すべてが、一冊まるごとの存在が。好きで好きで大好きで愛しているのです。

  • 変わりたいと思うのは簡単だけど実行するのは難しいなぁ。あらたまっていくって表現がしっくりしてクスリとなる。弟になりたかった話とか、独りではなくて一人が好きなのだとか。そんなニュアンスの記述があったなぁ~。いや読み終わるのに何ヵ月もかかったので。重松清氏の解説にもフムフムなのである。

  • 読み始めてすぐ、「雑貨屋とかに置いてある大人のオシャレ童話?!」と後悔したが、まあ少し様子を見よう…とちびりちびりと読み進め、「ロンリーハーツ読書倶楽部」が出てきた時点で、もう、安心して手に取れる素敵な本に変わった。

    どんな本かは、巻末の重松清による解説が、まさに言い当てている。私が感じた印象どおりとおりのことが書いてあり(読み飛ばせる部分がなくて時間がかかる点とか)、しかも内容についてはほぼネタバレなしなので、買おうか迷うのなら、この解説を読めば間違いないです。

    百貨店の寝具売り場という、起伏のあんまりなさそうな仕事を持つ「小さな男」だけれど、その日々は実に満ち足りている。自分の周りの世界を丁寧に観察し、深く考え、驚き、幸せを感じて生きているから。
    「静かな声」の方はというと、主人公というより、脇役気味に感じたけれど、この物語の要であることは間違いない。彼女のDJ、眠れない夜に聴いてみたい。

  • 読み出してしばらくは、大好きな映画のおとな りを思い出していました。大きな起伏のない物語で、最後の方で、小さな男と静かな声が交差するのではないかと。
    ネタバレのない範囲で行くと、おとな りの結末とは違うゆるりとした接点しかありませんでした。
    それでも大事な物語が一つ増えた気分です。

    吉田さんの作品に触れるたび、知っていることをもっと大事にしようという気分になります。どうあがいても生涯知ることができないことの方が圧倒的に多くて、偶然にも知ることのできたことを大切にしようと、そういう気分になります。クラフトエヴィング商會の本とか、せっかく出会えて知れたのだから、仲良くしよう、大切にしよう、と。
    知っていることと知っていることのあいだには、とてつもない知らないことがぎっしり詰まっている(本文引用)から。

  • タイトル通り「小さな男」と、「静かな声(を持つ女性)」のパートが交互になる構成。大きな事件はとくにおこらず、二つの物語もほんの少し交差するだけだけれど、ディティールで共感できるので、寝る前に1章ずつ、ゆっくり読むのが丁度良い感じでした。とくにラジオDJで独身30代の「静かな声」の静香さんサイドは、共感できる部分が多かったかな。

  • 「くどくど」は酢味噌和えなんかどうだろう。
    「くりごと」ってひらがなで書くと栗の煮物みたいだよな。ってなことを考えながら読んでました。

    「小さな男」の章と「静かな声」の章が交互に、そして一人称と三人称の語りが交互に、手編みのような本でした。
    「小さな男」の章でじんわりと、「静かな声」の章で軽やかに読みすすめるかんじで、そのリズムも気持ちよかったです。

  • なんとも不思議な、なんとも静かな、なんとも楽しいお話です。みんなが思っていることなのにこんなに上手に表現できるなんてほんとすごい。

  • 語るっていうのは、ことばを灯す、みたいなことなのかな。
    うまくいえないけど。

  • ここ最近の吉田篤弘本。

    百鼠の文庫で語られていたように、一人称と三人称の物語。しかもそれが一人ではなくて二人で。

    案外ね。読みやすかったですが。でも、確かにじっくりと読んでみたいなぁ、2度3度と。

  • 図書館をぶらぶらしてたら、吉田氏と、吉田氏のユニットの本はほとんど持っていると思っていたけれど、なぜかこれは持って無かったので借りてみた。ううむ、彼の長編はやはり苦手だなぁ。

  •  貸本喫茶ちょうちょぼっこを思い出した。読むのに時間がかかるという。その通り時間がかかった。主人公はラジオのパーソナリティの女性だったり、迷路のような百貨店で勤めていて読書会にも顔を出す小さな男だったりして、話が交互に進む。読んでいて、ちょうちょぼっこの女子達を思い出す。彼女らは天野忠を読んでいた。私はもちろんモテたかったので、そこで天野忠を借りて読んだ。何も感想なんぞなかったが、なんとか感動してみせ、共通の話題が出来たと思った。が、ストーカーおじさんと思われたのだろう、私が登場する日には必ず警備員代わりの彼氏らしき男が来た。喧嘩も弱く頭も悪い私は、京都の本屋にいそうなオサレ野郎にぼこられるのが怖くて退散した。
     この小説に、そんな貸本屋の女が登場してもおかしくなかった。旅人も登場しておかしくなかった。ってか登場している。ポルトガルとか、遠い国に、自由に生きている人が楽しく描かれている。この小説はスターバックスツタヤ書店で購入されるがスタバでは読まれない小説である。街の、木や麻で出来た家みたいなカフェで読まれるような小説である。BGMは小野リサか古内東子とか「き、み、みたいにきれいな、おんなのこが、、、」とかだいたいそのへんである。

     私はこの小説が好きだ。
     特に文章が好きだ。
    【「花火大会って? 俺らだけで? そんなもの金がかかってしょうがないだろうが」と<支度中>の旦那。「そうじゃないのよ」と虹子さん。「そんなパーッとした花火なんかじゃなくって。もういい歳なんだしさ。アタシが考えてんのは線香花火大会。いろんな線香花火を集めてくるの。いいわよ、きっと。ちっちゃな火を眺めてさ、昔のことなんか思い返してメソメソしたりニヤニヤしたりするの」
    「なんだいそりゃあ、辛気臭いなぁ」と誰かが反論。
    でも、わたしは虹子さんに一票。花火ってドーンと派手で晴れやかなものばかりじゃなく、昔はどちらかというとそういうものだった。子供のときのあの花火。ドーンじゃなくてパチパチだ。それが花火の音だった。】

     でかい花火より線香花火が好き。
     俺はこう思った。「それは、でかい花火大会とかで遊びまくってやりまくってきた奴だからこそ言える台詞ちゃうんか」
     だが、そんなツッコミは小説内ではなされない。「なんかええ話やん」とカモミールとかアールグレイとかよもぎ茶を飲みながら納得しなければならない。

    【わたしは最初、当然のようにその写真を表にして壁にピンで留めてみた。でも、写真だけを眺めているうち、どうしてこれが「当然」なのかと自分を訝った。それで葉書を裏返し、ミヤトウさんの「読めない」文字の方を表にしてあらためて壁にピンで留め直した。壁に静かな湖の写真が貼ってあるのもいいけれど、「こんにちは」とか「では、お元気で」といった言葉を見るたびミヤトウさんの声が聞こえてくるのも悪くない。
    それから、しばらく考えた。
    絵葉書というのは一体どちらが表でどちらが裏なんだろう。】

     どっちなんだろう。ねえ? どっちだと思う?
     もしおっさんから「どっちだと思う」とか言われたら?
     だが、この話は、34歳の、静香さんというちょっと綺麗な感じの人がラジオドラマのように進めてくれて、どっちだと思う? と問いかけてくれるので、何もわかない。不思議やね、でも、それがええやん、となる。

     私がもしこの小説を書いていたら、話の途中で、登場する女性すべてで旅行することにして、旅先のインドでひどい目にあって全員発狂状態で帰国後入院。ショックを受けた小さな男は半狂乱となって仕事も手に着かず百貨店をクビになり、その後アサヒスーパードライを飲みながら「うーみーはひろいーなーおおきーいーなー!!!」と叫びながらハローワークに放火する。

     もちろんそんな展開に... 続きを読む

  • 朗読劇のような、あるいはひとり芝居のような語り口。
    ともに一人暮らしの、味ある小さな男と静かな声の主。
    ふたりの直線じゃなく点線でつながっているような、ゆるい距離感がなんとも面映い。
    そのほかの登場人物や小物たちまでもが、派手じゃないけどそれぞれの色を放っているようで愛おしい感じ。

    せんえつながら、空想だか妄想だか、自分と似た何かを感じてしまった。
    まるで自分自身をのぞかれているようで、なんとも体がモゾモゾ。
    うまく表現できないけれど、個人的に身の置きどころに困るような、とっても不思議な感覚を味わった作品だった。

  • 小さな男と静かな声の日常生活が
    交互に描かれていて、二人の生活が
    時々ニアミスで近づいたり、思いがけない
    共通な友人が居たり、まったりと読めました。

  • 小さい男の小さな生活と、静かな声の主のやはり静かな生活。なんでもない物語が淡々と語られているだけなのだが、読んでいると心が落ち着く。読後に「なんにも得るものがなかった、時間の無駄だった」とがっかりしてしまうようなものでもない。読めば分かる良作です。

  • わたしは最初、当然のようにその写真を表にして壁にピンで留めてみた。でも、写真だけを眺めているうち、どうしてこれが「当然」なのかと自分を訝った。それで葉書を裏返し、ミヤトウさんの「読めない」文字の方を表にしてあらためて壁にピンで留め直した。壁に静かな湖の写真が貼ってあるのもいいけれど、「こんにちは」とか「では、お元気で」といった言葉を見るたびミヤトウさんの声が聞こえてくるのも悪くない。
    それから、しばらく考えた。
    絵葉書というのは一体どちらが表でどちらが裏なんだろう。



    *・*・*・*・

    小さな男と静かな声の、交互に描かれる日々。
    丁寧に日々をきりとって、一人で生きていくオトナを描く。
    すごくよかった。解説でもやもやしていたものがストンと言語化されていて、またそれもよかった。

  • 吉田篤弘独特の世界、時間の流れがゆったりとしている。堪能しました。入院してる私には相応しい小説でした。

  • 重松清さんの解説は、まさに、その通り!!実験的な構成をとっているにもかかわらず、それが最大限に活かされた作品。たまらんわぁ。

  • 小さな男と、静かな声の女の物語。並行して進むと思うと、ちょっとだけクロスしたりしながら、それでも日常が淡々と進む。

  • 堅めに書かれた文章の中、ところどころにくすりと笑えるエピソードや表現が挟み込まれている。読んでいてとてもリラックスできる、素敵な作品。
    2013/9/21

  • 好きです!!
    ・ロンリーハーツ読書倶楽部
    ・元ジァンジァンのもぎり嬢、ミヤトウさん
    ・あらたまりつつある
    大好きです!!

  • いかにも吉田篤弘と称すればよいのか。タイトル通り小さな男と静かな声の語りが淡々と続きます。しかもそれぞれのパートが一人称の部分と三人称の部分が交互に展開されるので、ひとつの事象に対してカメラが引いたり寄ったりする感覚が面白いです。しかも小さな男と静かな声も近寄ったりもするので、その交叉する部分も面白いです。
    淡々とした文章が心地好く、文章に身を任せる快感も素敵でした。

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