- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122056145
感想・レビュー・書評
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R2.4.17 読了。
映画化されると聞き手に取った。妻に先立たれた夫と幼い娘の物語。家族の形にこだわらなくとも良い。そう思える。重松さんの作品はやはり優しさにあふれている。
人は生まれてからいろんな人達に支えられて、愛されて、育てられて、大人になっていくんだということをあらためて気づかせてくれる作品でした。
なんか読後のいまなら「ありがとう」って、素直に言える気がする。
・「一所懸命なひとがいる。不器用なひとがいる。のんびりしたほうがいいのはわかっていても、それができないタチのひとがいる。いいじゃないか。みんなとは違う。悪くないじゃないか。がんばって、つい夢中になって、みんなからはずれて、はぐれてしまう。ときどき意地を張りすぎたり、みんなのもとへ帰るタイミングを逃したりする。それもいいじゃないか。」
・「目の前の今日を、あたふたしながら生きているだけだ。」
・「悲しみや寂しさは、消し去ったり乗り越えたりするものではなく、付き合っていくものなのだとー誰かが、というのではなく、僕たちが生きてきた日々が、教えてくれた。」
・「悲しみを胸に抱いたまま生きていくのは、決して悲しいことではない。そのひとがいないという寂しさを感じる瞬間は、そのひとのいない寂しさすら忘れてしまった瞬間よりも、ほんとうは幸せなのかもしれない。」
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感動した。この映画の原作が読みたい。
その一心で手に取ったのがこの本。
原作にほぼ忠実に描かれているんだなと思いながら
いくつも台詞や情景表現に感動を覚えた。
人間でリレーをする存在なんですよ。
数えきれないほどの今日を昨日に変えていって、いま僕たちはここにいる。
知り合ってからすべての時間が親しくなる歴史になっている。
何気ない言葉だけど、深い。そして重い。
亡くなった人の命も
自分につながる大切な人の思いも
全部一緒に生きている! -
当たり前にいる人が突然居なくなってしまうこともあるということが分かり、毎日を大切にしたいと思える本だった。
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優しい優しい物語
結婚してからの義父母との付き合いは色々と面倒だけれど 主人公は(面倒な気持ちも抱えつつ)奥さんが亡くなった後もこれまで通り付き合っていく
父親にしろ母親にしろ 一人で子供を育てていくのは本当に大変だと思う
周りの人達の余計なおせっかいに思える言動も あとから思い返せば全てが自分の助けになっていたんだと思えるこの主人公の素直な心も素敵だった
子供は放っておいても育つとはいうけれど根底に愛情があってこそ
自分がどれだけたくさんの人の愛を受けて育ってきたかを子供に教えられること やはりそれが一番大事なんだろうなと感じた -
妻に先立たれ残された幼い我が子を連れた
夫の再出発の物語
本作は、これだけに留まらず「のこされたものたち」の生き方や、大切な人を亡くすこととの付き合い方…
これらの繊細で微妙で曖昧にされていることが、しっかりと軸になっている作品でした。
「一所懸命な人がいる。不器用な人がいる。のんびりした方がいいのは分かっていてもそれが出来ないタチの人がいる。いいじゃないか、みんなとは違う。悪くないじゃないか。頑張ってつい夢中になって、みんなから外れてはぐれてしまう。時々意地を張り過ぎたりみんなのもとへ帰るタイミングを逃したりする。それもいいじゃないか。
みんなとうまくやっていくことが一番大切なんだと考える人より、一所懸命頑張ることの方を大事にする人になって欲しい。」
「悲しみや寂しさは消し去ったり乗り越えたりするものではなく、付き合っていくものなのだ」
重松清さんの作品は心に響くフレーズが幾つもあり温かい涙が溢れてきます。
優しくもしっかりとした輪郭をもって生と死に向き合い、読者にそっと語りかけ、ゆっくりと背中を押してくれる様な温かい作品でした。 -
結婚3年目、30歳という若さで、朋子は逝った。男手一つで娘・美紀を育てようと決めた「僕」。娘の幼稚園入園から小学校卒業まで、ふたりの道のり。亡き妻の両親や義兄夫婦との絆。あたたかくて不器用で一生懸命な家族のかたち。
沁みます。。。 -
泣けた。
父の娘を思う気持ちや、亡くした妻への想い、現実を生きなければいけない辛さなど、真に迫っていて、娘の成長を追うように章立てで描かれているのもいい。
でも、再婚してほしくなかったなぁ。
乗り越えられたのはすごいし、
新たな幸せとも思うけど、
やっぱなぁー。
カロリーヌまた出てきた。
好きなんだねぇ。
私も一作読んでみたけど、
あんまり好みじゃなかった… -
重松先生の作品によくある設定だとはおもったのだけど、ひとつひとつの情景が目に浮かぶような、その表現にまたもや吸い込まれて、最後には涙が止まらなくなる。
心の中を文字に表現するのは難しいと思う。
でも、その表現力に今回も出会えた感じ。
読んだ後、とても幸せな気持ちになる。
たくさんの悲しみや苦しみを超えて、少し解放される喜びがあった。
美紀ちゃんは素敵なママになれるはず。 -
奥さんが早くに亡くなり、男手一つで娘を育てる主人公の物語。
絶対感動系や…と覚悟して読んでやっぱり号泣。
でも感動だけじゃなく、子どもが成長するごとに抱える苦労や心のすれ違い、愛、周りの人々との関係等、リアルさもあって読んでてどんどん引き込まれていきます。
物理的な大変さだけでなく、まだまだ子育て=母親の務め、それが普通でしょ!と思う人の方が多く(自分もそのうちの一人なのかも…)、世間からの悪気のない言葉に傷つけられたり、男性一人親による子育てって本当に大変なんだろうなあ…、と改めて思いました。 -
小説を読んで、涙が堪え切れなかったのは初めてだ。
結婚三年目で妻を亡くした父と残された1歳半の娘の話。
残された者たちは死と言うものをどう乗り越えていくのか。
いや、乗り越えていくという表現は少し違う。
乗り越えているのではなく、共に生きていっている。
死んだ者だけが永遠とされる。
確かにそれは残された者の重ねる悲しみ以外ないだろう。
たくさんの愛に囲まれ、注がれ、そして成長していく。
家族という血の繋がりが紡ぐ集合体。
若い頃はそれが鬱陶しく思ったり反発もするものだが
年齢を重ねていくと、その愛おしさが胸に沁みる。
自分も何物にも代え難い愛情を注がれて生きてきたのだろう
それ以上のものを自分の子供には与えてやりたい。
そんな気持ちにすらなった。
素晴らしい愛に満ち溢れた物語だった。