継母礼讃 (中公文庫)

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制作 : 西村 英一郎 
  • 中央公論新社 (2012年10月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056886

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継母礼讃 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 【R15】◆耳・眼・鼻。 尻・肌・髪・血管…。官能がフェティッシュに・部分に解剖され、神話がコラージュされ、行為者は観察者と被観察者に解体される。芸術と神話が喚起する妄想こそは豊満で、その歪んだ膨らみゆえに美しいが、全体に溶け合うことがない。現実は神話・芸術と対照的にきわめてちぐはぐで卑小にとどまる。◆リョサはどういう意図で第十四章のマリアを置いたのか、はかりかねている。続編やリョサの他の著作を読んで、もう一度読み返してみたい。【2014.04.16】

  • こういう話だったのか。予備知識なしにリョサのイメージだけの先入観で読んだものだからびっくり。最初は戸惑いながらもいつの間にか引き込まれどっぷり堪能。神話とエロスの美醜に悪酔い、禁断の書物を読んだ気分。しかし美形のアンファンテリブルは定型だな。だんだんと美しく可憐なキューピットがよりおぞましく、むしろフランシス・ベーコンの醜悪な様相に無垢な魂を見出してしまうのはきっと作者の巧妙な罠のせい。リョサなのにすらすら読める。リョサを読んだ感を満喫するには物足りないけど十分に面白かった。

  • あらすじは割と単純というか、途中で予測がつくものだけど、間にいくつかの絵について、本編の内容を暗示させるような、絵の内部から語りかけてくるようなエピソードが絡めてあるのは面白かった。ただ、せっかくの構成や仕掛けに比して、あっさり終わってしまったかな。

  • Mario Vargas Llosa, he was awarded the novel award, had fetishism ('_'?)   first, i thought, it was a fantasy drama of the eroticism. but, it was the boy's project.

  • ノーベル賞受賞した作家の作品を読んでみようと
    読みやすい厚さの作品を選んで買ってみたら
    おもいっきし官能小説だった。

    背徳的で淫靡な物語でありながらも
    フラ・アンジェリコの「受胎告知」や
    フランシス・ベーコンの「頭部Ⅰ」などの
    有名絵画と古代ギリシアの神話、伝承を取り混ぜて
    幻想的な世界を作り上げている。

    ともあれ
    おっさんの鼻毛切るくだりで10Pも書いちゃうんだから
    ノーベル賞作家っていうのはやっぱり凄いと思う。

  • バルガス=リョサは、私にとっては『緑の家』に続いて2作目だが、随分と作風が違うようだ。ただ、ここでも小説の構成には独特の創意が凝らされていて、ストレートな「読み」では全体像を把握し損なうかも知れない。しかも、本編には数点の絵画も添えられている。表紙にも採用されているブロンツィーノの「愛の寓意」は、まさしく小説のタイトルそのものだが、フラ=アンジェリコの「受胎告知」などは、小説の構成そのものとともに、解釈に戸惑いもする。妖艶でコケットリーなエロティシズムと、無垢だけが持ち得る明るい残酷さが共存する作品だ。

  • 【隠語有り・電車の中で読むの注意】
    ちょうどこの本の前にオンダーチェ『イギリス人の患者』を読んでいて、その中にカンダレウス王が側近ギュゲスに妃の自慢をしてそれから…というエピソードが記憶に残ってたところでいきなりこの本の巻頭にはその絵があるのでした。ヤコブ・ヨルダーエンス「カンダウレス王寝室のギュゲス」 、妻が美しいと自慢するあまり、その裸身をこっそり覗きたまえという王から家臣への欲求。そのエピソードを踏まえて描かれるこのリョサの小説は、裕福な男のの後妻にはいった豊満な妻が思春期の義理の息子を悶々とさせるという、なかなかそそる内容です。官能的な描写が延々と続くが欲望に振り回される登場人物たちが滑稽にも思えてきて愛おしい。身体にすり込まれる香油、湿ったこもった場面の空気、発酵する体液の匂いが立ち上る作品。

    巻末、中公文庫既刊の宣伝ページに谷崎の『夢の浮橋』、ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』が含まれているのもニヤリとさせるぜ、このご愛嬌!やるな中公!

  • 変態礼讃! アンファンテリブルものだが、続編を先に読み結末を知っているだけに、ふたりの愛の純粋な歪みっぷりを大いに楽しめる。こういう愛情を分かてる人が理想だ☆ 偉大な恋愛物語だ。

  • ・萩尾望都の作品に登場しそうな、天使顔のルシフェル。
    ・リゴベルトの滑稽とルクレシアのだらしのなさ。
    ・絵のモチーフ……美しく官能的なものから、おぞましいものを経て、受胎告知へ。
    ・フランシス・ベーコンがあんなふうに描かれるとは。
    ・デ・シシュロという画家は初めて知った。

  • 中公文庫からリョサの文庫が!『緑の家』や『密林の語り部』にはペルーという国の独自の土地文化的なことも含めて正直難解な部分もありましたが、これはある意味わかりやすい。どこの国のお話であるかということを、さほど気にせず読めてしまうので、気軽に手に取れるかも。ある意味リョサらしくない、官能小説?みたいな趣きもあるし。

    タイトル通り、継母に恋した少年と父親と継母の三角関係(・・・って言っちゃうと安っぽいけど、基本設定はそんな感じ)がストーリーの軸になっていますが、各章の合間にリョサがお気に入りの絵をモチーフにしたと思われる本編とは無関係(だったり関係あったり)な幻想的で短いストーリーが盛り込まれていて、それが全体の雰囲気を独特の神話めいたものに昇華しています。この文庫には元ネタの絵がちゃんと口絵として収録されていてとても親切。オチは想定内のような思いがけないようなものでしたが、続編があるそうで、12月には出るみたいなので楽しみです。

  • 美しい金髪の巻毛の無邪気な青い目をしたクピドは長い睫を震わせ、耳朶を咬みながらアモーレと甘く囁く。注ぎ込まれる甘美な毒。ウェヌスは夏の太陽と熱い砂浜を夢見て、血管を流れる葡萄酒のような熱い血に酔い痴れる。6枚の絵が紡ぎ出す幻想、美しい女体、純真無垢な悪意、粘液質の欲望はベッドの〈魔術的空間〉で絡まり合い、至高の快楽へ変わる。美と醜、聖と性が対比され、美しい旋律を紡ぎ出す。『ロリータ』の倒置だ。《おまえは…おまえはだれなのだ?》トランプの城は壊された。クピドは堕天使ルシフェルとなり夜空に飛翔する。

    〈彼は睫をふるわせ、訴えるような目つきをした。泣きべそになって口をゆがめ、えくぼのある頬をぴくぴくさせて哀願した。〉

    巻頭の6枚の絵画。
    ヤコブ・ヨルダーエンス「カンダウレス王寝室のギュネス」
    フランソワ・ブッシュ「水浴の後のディアナ」
    ティツィアーノ・ベルチュリオ「ビーナスとキューピッドと音楽」
    フランシス・ベーコン「頭部1」
    フェルナンド・デ・シシェロ「メンディアータ10への道」
    フラ・アンジェリコ「受胎告知」

    日本語訳も美しくて書き写したくなる表現がたくさんあった。訳者あとがきによると原文はナボコフやジョイスのような言葉遊びにあふれているらしい。川端の淫靡なエロさに対してリョサは開放的なエロさだ。

    カバーの絵はアーニョロ・ブロンツィーノ「愛のアレゴリー」。原題はBromzino,Allègorie avec Vènus et Cupidon 直訳すると多分、ウェヌスとクピドの寓意。なんで愛のアレゴリーなんだろう?解説にもあるようにこの絵がこの物語を全て表している。

  • 第一章を読んでいる時、”このエロさは本当に『都会と犬ども』や『緑の家』『世界終末戦争』を書いたバルガス=リョサの作品かと思わず表紙を見直した。が読み終るとエロさだけでは無かった。
    基本の話の美少年と継母、父親の三角関係はありがち(?)ではあるが、挿入画や神話をもとに語られる幻想的な世界と現実世界の対比や父親の儀式等の繊密な描写と相まって、とても美しくでも少し滑稽でそして途轍もなく残酷だった。
    いやー堪能した!!!続編の『ドン・リゴベルトの手帖』も続けて読みたい。

  • 2014初読み。継子にそそのかされて父親と三角関係になる危険な話、だけど、もっとファニーで雅やかな、牧歌的性幻想といった趣。リゴベルトの丹念なる自分へのお手入れの様が、微に入り細に入りで面白い。
    カラー図版も入って、本としても優雅なり。

  • みんなそれぞれ際立ってるな~。
    ルクレシアの尻。リゴベルトのこだわり。アルフォンソの表裏。
    しかしフォンチートは悪いやっちゃ。

  • モチーフになった絵画のカラー絵つきで、イメージしやすく、大変楽しめる本でした。
    めくるめく官能、悪魔的な(前母の)少年、レズビアンフレンドっぽいメイドというツボをついた登場人物達がいずれも魅力的に書かれています。

    また読み直すと思います。

  • ノーベル文学賞作家の作品読了というとかっこいいけどエロスがテーマの小説だったのでさくさく読めた。
    内容は過激だけれど、芸術かわいせつかという話にならなさそうなのは、比喩が繊細なのと絵画や寓話をモチーフにした挿話がふんだんに使われているからだと思われる。

  • 最初はただのシチュエーションを楽しむエロい小説かと思って読んでたけど、エピローグでおお!!と驚かされた。
    シンプルながらすごい話だなと。

  • エロである。。。

    中央公論新社のPR
    「美貌の継母ルクレシアを慕う、幼い息子アルフォンソ。その正体は、無垢な天使か、好色な悪魔か? 夫リゴベルトは衝撃の事実に直面する。」

  • 「絵になる・・・」「絵のような・・・」という言葉がある。理想的な関係(とくに、恋人同士)を指すことが多い慣用句だが、絵というからにはそれを鑑賞する者がいる。
    「継母礼賛」の登場人物たちは、それぞれが「絵に描かれた二人」であり、またそれを「覗き見る者」(=介入者)でもある。ルクレシアは父子二人に対して継母、アルフォンソは夫婦に介入する間男、リゴベルトは義母と子の妖しい関係を知ってしまう夫という、ある関係の当事者でありながら、他の関係の第三者といいう立場を持っている。これらの関係は表紙および挿絵の絵画に表わされ、そのイメージは幻想的な寓話として挿入される。
    物語の終盤では、リゴベルトが妻と子の関係を知ることで、三つの絵画はつながり、いびつなコラージュ作品になる。異なった意味をもつイメージ群は重なりあうことなく、全ての関係性は破壊される。

    寓話の中でも、とくに「受胎告知」の物語が謎めいている。平凡な人生を望むマリアにアルフォンソに似た天使が唐突に受胎を告げるのは、絵画という時を止められた世界へ次元を超えて作用する存在(=作者)を思わせるし、リゴベルト・アルフォンソ父子の元に残った侍女フスチニアーナの今後も想起させる。

  • 図書館の新刊コーナーで発見。ノーベル賞作家という事で借りてみたら…凄いなこれ。挿入されている絵に物語がついていて絵をよく見てみるとそれが興味深かったり。そして継母をたぶらかし最後には追い出してさしまった息子。生々しかった。

  • 天使のように美しい少年とその父、そして継母の異常な関係を、官能性と生理現象に、7枚の絵画の登場人物たちの独白を組み合わせて描いた、意欲的な作品。

    少年の狡猾な遊戯と、それをとりまく雑多なイメージの混合と表出や含意を他意なく楽しめる人にはいいんだろうけど、生理現象の描写(ベッドシーンではなく、お手洗いや身体の手入れなど)が長過ぎて、個人的には気持ちが悪かった…。

    せめて谷崎潤一郎みたいな豊潤で美しい文体であればまた別な楽しみを見出せたかな、と思いましたがそれもなく…。
    リョサの他作はすごく好きなので、単にこの作品が私にとってダメだったんだろうとは思うのですが…。

  • 「緑の家」(http://booklog.jp/item/1/400327962X)で汗の匂いのするような艶めかしい誘惑のシーンとかがあったので、こちらも読むことに。
    美しい継母と美少年、父親の三角関係・・・と、「フランス書院」的、あるいはイタリアンエロチカ(「青い体験」とかの映画)的な展開に期待するものの、うーん、継母のルクレシアがいまひとつ魅力的に描かれてないし、ベッドでのシーンもあっさり。幕間(?)に挟まれる絵画の物語も、まー、なんというかそのまま。「思いもよらぬ結末」ってほどでもないしね。あまりにもお上品、というかセックスの匂いのしない官能小説ってどうなの? え?官能小説じゃないの?

    ただ、父親であるリゴベルトの夜ごとの儀式がすごい。

    トイレで力んでは、

    「《さらば、糞よ、もう戻ってくるんじゃないぜ》という冷笑と怒りとともにしわの扉を閉めてしまおうとしていた。」(P65)

    とやたらカッコいい。

    「それは、その儀式が持つ魔術的な力、原始人が歴史の黎明期にすでに知っていた、永遠の一瞬を捉えて人間を完全な瞬間的存在に変える力だった。」(P107)
    「浴室は彼の寺院であり、シンクは生け贄の聖壇だった、彼は最高の司祭となり、自己を純化し、生命をとり戻してくれる毎晩のミサを今、行っていた。」(P108)

    って、単に鼻毛を切っているだけなのに大袈裟。

    しかも、

    「《ルクレシア、その可愛い音の調べも君だ。それは、君のコンサート、君の響きだ》」(P36)

    と、妻のおなかに耳を当てて音を聞くのが大好きというヘンな性癖の持ち主。

    これも「城の中のイギリス人」(http://booklog.jp/item/1/4560070660)とかと同じ馬鹿官能小説の仲間入りだ!

  • ノーベル賞作家が書くエロス的世界とはどんな物かと。。。。
    面白いかと問われればさほどではないけれど、凝った構成の作品です。
    最初に6枚の絵画が有ります。3枚はロココ絵画。非常にふくよかな女性のヌード画です。2枚は抽象画。そして1枚は静謐な宗教画です。そしてそれらに沿って物語が語られます。
    実は始めそれに気付かずに読んでいたのです。しかし全体のストーリーから逸脱するような奇妙な章があって、それは7枚のうち2枚存在する抽象画に当たる章でした。
    40歳で再婚し、夫と幸せな性生活を行うルクレシアと、夫の前妻の子である美少年フォンチートの物語。無邪気を装う少年の残虐性と言うのは、テーマとしてはありふれたものでしょう。とはいえ流石に、構成の面白さや表現によって月並みさは感じさせませんが。
    印象に残る本ですが、良い本と言ってよいのかどうか。。。

  • 単行本で既読。

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あどけない美少年フォンチートに翻弄される継母ルクレシア、妻を女神のように崇拝する夫のリゴベルト。密やかに、優雅に進行する危険な三人の関係と、神話や絵画から紡がれる幻想が重なり合い、思いもよらぬ結末へと導かれていく。ノーベル賞作家が描く、香りと色彩に充ちた華麗なエロス的世界。

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