食べごしらえおままごと (中公文庫)

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著者 : 石牟礼道子
  • 中央公論新社 (2012年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122056992

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食べごしらえおままごと (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 食卓から紡ぎ出される
    思い出は、人生を豊かに
    すると思います。

  • 石牟礼道子のエッセイ。食と記憶の中の風景と

  • 今のようにどこかで買ってくるのではなく、自分で収穫して、自分で作ってたべるのがあたりまえだった時代のたべものの話。

    時代は昭和初期で、もちろんその頃自分は生まれていなかったのに、まるで、自らが同じような経験をしたことがあるかのように光景が浮かんでくる。
    つくづく、文章の力というのは素晴らしいと思う。

    話し言葉もすべて方言で書かれていて、天草弁がどんな調子で話されているのか、想像しながら読むのも楽しい。

  • しょうゆや味噌まで手づくりしていた昔に思いをはせた食エッセイ。今の時代に同じことをやろうとすれば、女はとてもじゃないが会社で仕事などできないだろう。

    にも関わらず、昔の暮らしが、今よりずっと豊かに思えて、うらやむ気持ちを止めることができない。

  • 私たちが忘れてしまった日本の土の味と、食べものとともにある人びとの営み。私はその時代も感覚も知らずに育った。そのことの残念さ、虚しさを噛み締める。
    美しく、しかしどこか憂いを帯びたことばで綴られた、読みやすい一冊です。苦海浄土など長編を読むにあたってもぜひ。

  • 百年の孤独のような味わい。なぜかとても悲しくなってくる。

  • 一昔前の田舎の人が、どのように作物や獲物を食べ物にしていたかがよくわかるだけでなく、どんな思いでその行為を行っていたかがわかる。
    昔の人がお米一粒でも捨てたりしなかったのは、ここに書かれたような苦労をして(今の農業よりずっと過酷)やっと手に入れたものだからなのだと改めて思ったし、添加物などもちろんなく、すべて捕ったものか作ったもので作った食事がいかに滋味に富んだものであったかは、化学的な味になれてしまった身としては想像するしかないが、どんなにおいしかったことだろう。
    今だって、大金を払えば、この本にあるような食材を使った手のかかった料理を食べることはできるかもしれないが、ここに書かれているほどの喜びと感謝をもたらしはしない。
    たった数十年で、こんなに変わってしまった日本人の食生活が恐ろしくもある。
    『苦海浄土』や『椿の海の記』などの代表作を読んだ後に読むと味わいが増すので、先にそれらを読んでほしいと個人的には思う。
    この豊かな恵みをもたらした海が汚され、こうして貧しいながらも満ち足りて暮らしていた人々を不幸のどん底に落とし、決して完全にもとの海にもどることはなく、このささやかな平和な暮らしも消えてしまったことを思うと、本当に辛い。
    この本自体は幸せを描いているのに。

  • 九州の風物が、食べ物とともに味わえる良質エッセイ。名作だと思います。

  • 読み進めるうちに、映画「阿賀に生きる」の映像が頭に浮かんできた。作者の名前を見て、あの「水俣」の、とつい思ってしまったが、「阿賀に生きる」に描かれた阿賀野川流域と同様、水俣にも豊かな自然と風土、四季折々を慈しみ、節目節目を大切にする人々の生活があったのだ。この本ではそういう暮らしが「食べごしらえ」を通じていきいきと描かれている。それは公害病という災厄に見舞われても、その災厄と様々な形で付き合わざるを得ないということも日常に取り込みながら、続いてきたのだろうと思う・・・阿賀野川流域がそうだったように。

  • 随筆に扱われている滋味にあふれた食べものも魅力的だが、最も味わうべきはこの文章の美しさだろう。ここで話される地方のことばが、何ときらきらしく思えることか。一気に読むのがもったいなくて、ゆっくりゆっくり読んだ。FBNでも取り上げられてます。http://www.frenchbloom.net/2012/10/29/1417

  • 生きることをかみしめながら、口に運ぶものを自分の手でこしらえる石牟礼さん。
    その豊かな記憶の広い世界が描かれていた。

    食べごしらえ、おままごとの中に描かれていることもすでに失われているものが多い。私などよりも、描かれている出来事を体験したことのある読者の方が受ける感銘は大きいのではないかと思う。文章の感触は失われなくてもそういうことはありそうでうらやましい。

    FOOD2040によると、2040年には日本の食品の70%が家庭外で作られるようになるとされているから驚いてしまうが、徐々に進行しつつある気はする。服の主流が既製服になったように、既成食になっていくのか。

    そうした意味でも今読んでみると、苦い記憶のようにつきささるエッセイだった。冒頭文の猫が草を食む描写などがすばらしい。

  • 水俣病問題を描いた作品「苦海浄土」で知られる……が読んだことはなかった石牟礼道子の書く食のエッセイ。
    いわゆるグルメと呼ばれるような華やかで豪奢な食ではなく、風土と記憶の中にある食を取り上げ、どこか厳粛で静謐な雰囲気の文章でまとめている。
    自然があって、料理をする人間がいて、食べる人間がいる。間違いない食の真理の一側面を描いているが、作者自身それを失われつつあるものとして捉えているように感じるのが寂しい。紹介される料理も興味深いがいろいろと考えさせられる本だった。

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食べごしらえおままごと (中公文庫)の作品紹介

食べることには憂愁が伴う。猫が青草を噛んで、もどすときのように-父がつくったぶえんずし、獅子舞の口にさしだした鯛の身。土地に根ざした食と四季について、記憶を自在に行き来しながら多彩なことばでつづる豊饒のエッセイ。著者てずからの「食べごしらえ」も口絵に収録。

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