日本の近代2 - 明治国家の建設 1871~1890 (中公文庫 S 24-2)
- 中央公論新社 (2012年9月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122057029
作品紹介・あらすじ
近代化に踏み出した明治政府を待ち受けていた数々の試練。廃藩置県、征韓論、一揆、士族反乱、自由民権運動など、動乱の時代はやがて憲法制定、国会開設へと向けて収斂していく。命がけで"国造り"に参画した男たちの物語。
感想・レビュー・書評
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明治前期をざっと読んでいこうと思いつつ、読み進めながら小難しく感じたのは、政治史というより政治哲学が重要な話題になっているからだと思う。古いところだと国学や儒学の話が出てくるし、新しいところだと国家神道や教育勅語のことが出てくる。「国体」とはどういうものとして捉えられてきたか、ということがこの時期を理解する上での焦点なのだろう。
また、少しずつ近代史にふれるうちに、かつて授業で習ったときとは印象の違う近代人物観が見えてくるようになってきた。本巻でいえば井上毅が特にそれに該当して、昔はある意味尊皇的な保守偏重の人物と思い込んでいたけど、意外なくらいに世界情勢や国内統治の現実を考慮に入れたバランス感覚があった人物なのかなと見方を改めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何度も中断しながらようやく読了。明治国家の土台を築いた政治家たちが日本における「近代」の意味をどう考えていたのか。この分野の様々な研究、知見を紹介しつつ時折挿し込まれる坂本の洞察が読みどころである。
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明治維新以降の我が国の近代国家建設のためのプロセスを追った本。アクター間の対立がはっきりと記されており、臨場感がある。
この時代は多くの制度が出来上がって行く時代なので、前提として、何が成立したか、どの人物や組織がどこと対立していたかということを頭にいれておいた方がよい。なぜなら、かなり話が込みいるからだ。戦争などの大事件があるわけでも無いので、退屈な時代かもしれないが、近代化のための制度導入が進んだ時期であるので、政治制度に興味がある人にとっては面白いと思う。